かくれんぼ
水野スイ
「かくれんぼ」
きっと、僕はずっとここに居た。
誰にも見つからないように、顔は手で隠して体は縮めて。
でも誰も見つけてくれないから、僕は結局居なかったんだ。
だから、僕は僕を忘れたかった。
でも、今僕の心の隅々まで、何故か忘れてしまったはずの寂しさが満ちていた。
でも、それはどこかまやかしの幻想で満ちており、本当は欠けている。
なんなら、最初から何も満ちていなかったのかもしれない。
手のひらに落ちた水の粒も、心が痛いと感じたあの感情も。
いつのまにか、乾いていてここに居たいと感じるようになったあの日々も。
もういいの?という声が聞こえたら、目を開けて暗い穴から出ておいで。
もういいよ、という声が聞こえたら、誰かが君を見つけてくれるよ。
かくれんぼ 水野スイ @asukasann
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