第4話 謎の美少女


 そう俺ぐらいのコミュ障は全日制などほど遠い。

 何が楽しくて、やかましい教師とリア充の級友、それも年下の少年少女たちと共に、三年もの時を無駄にせねばならぬのか?


 通信制ならば、二週間に1回のスクーリングと呼ばれる対面授業だけでいい。

 それ以外は毎日公式のラジオ放送を聞きながらレポートを書き、ポストに投函すれば、あとは人と出会うことなどないのだ。


 そうだ、先ほども述べたように俺は選ばれた天才であり、リア充が巣くう学校などという枠に収まる人間ではない。

 などと、俺が持論を心の内で語っているうちに、入学式は着々と進んでいき。

 司会の宗像先生が「全員起立! 校歌斉唱!」と言い放った。


「え? 校歌?」

 知らんがな、そんなもの。だって、聞いてないもの……。

 とりあえず俺も皆を真似て立ち上がる。


 視線を式のプログラムに合わせると校歌があった。

 まあ真面目な俺はとりあえず、周囲に聞き取れないような、かすれた声で歌って見せた。いわゆる、口パクに近い。


 隣りの席を見ると、真面目な俺とは対照的にやる気のなそうな、(ここは同じか)一人の少女がいた。

 てか、全然歌ってねぇ!

 俺だけ真面目に歌って、バカみたいじゃない?


 やる気のない少女は小柄で金髪、肌は白く華奢な体形で宗像先生とは大違いなほどに貧乳、いや絶壁ともいえよう。

 長い髪を全て首元で結い、纏まらなかった前髪を左右に垂らしている。


 「くだらない」と言った目で、だらしなく立っている。

 入学式だというのに、肩だしのロンT。中にはタンクトップが見える。そして、ショーパン。

 この俺も背が高い方ではない。一七〇センチもないほどなのだが、彼女は小柄すぎて胸が見えそうだ。

 正直いって俺のどストライクゾーンだ。貧乳、マジ大好き。

 俺が下心丸出しで彼女を見下ろしていると、やましい視線に気が付いたようで、目があってしまう。


 なんということか、俺はギャルか、ヤンキーなどの類だと思っていたが、この娘は違う。

 外国人かハーフというやつだろう。

 その瞳はエメラルドのように透き通った色で、美術館に飾りたいほどに美しい。

 小柄、色白、華奢な体形、天然の金髪、緑の瞳、そして、貧乳……。

 最高かよ。

 なにこの娘? 天使? リアル天使なの?

 いや~、高校も捨てたもんじゃないですね。


「てんめ……なに、さっきからジロジロ見てんだよ」


 その天使ちゃんは押し殺した声で俺を脅した。

 前言撤回。こやつはやはり、リア充グループであり、俺のセンサーではコミュ力、1万を超えているぜ。

 しかも、言い回しからしてヤンキーなのだろう。


「すまない……」

「フンッ!」


 ツンデレなのか……。ヤンキーですが、これも中々に萌えますな。


 そうこうしているうちに、地獄のような入学式は終わりを迎えた。

 学校関係者や保護者たちが退場していく。

 俺も帰路につこうと、立ち上がろうとするが、宗像先生に呼び止められた。


「新宮! まだ帰るなよ! 今から生徒たちは別室で説明会をする」


 げっ! まだ終わんねーのかよ……。

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