第3話:庇護者
「あの、その、ミアと言います、宜しくお願いします」
蚊の鳴くような小さな声で、明らかにおびえた様子で、ミアが話します。
「まあ。ミアですって、姓もないのよね、平民わ」
「まあ、本当ですわね、それでこの学園に来るなんて、身の程知らずですわ」
「お黙り!
先程虐めは許さないと言ったはずですわよ!
あなた方二人は、二度と私の前に出る事を許しません。
アナタ達こそ身の程知らずも甚だしい、先ほど先生が言われたでしょ。
この子は王家の計らいで、特別に学園に転入してきたと!
それを悪しざまに罵るなど、王家に対する敵対行為です。
どうせ貴方達は側室になれなければ平民に落ちるのです。
早々にこの学園を去るか、私と決闘するか、直ぐに選びなさい!」
「そんな、レイラ様、そんなつもりで言ったわけではありません」
「そうでございます、悪気はないのです、ただ身分の違いを教えてあげようと」
「お黙りなさい、愚か者!
そもそも婚約者の決まっていない貴族令嬢は、それも下位貴族の令嬢は、側室をとってくれる殿方を眼に留まるように、お情けで学園に入れてもらっているのです。
それを王家の庇護を受けた光の聖女殿に教えるですって?
私の度重なる教えも覚えられない、愚かなアナタ達が口にしていい言葉ではない。
先生、直ぐにこの者達の退学手続きをしてください。
罪状は王家に対する不敬罪です、証人は私がいたします、よろしいですわね?!」
「御意のままに、レイラ様。
ああ、君達は王家に対する不敬罪で即時退学だ。
ああ、間違ってもレイラ様を恨むんじゃないぞ、これは凄い温情なのだぞ。
レイラ様が学園内の事で処理してくださったからいいが、これが普通の社交の場なら、本当に処刑されてもおかしくなかったのだからな」
担任にまで脅かされて、馬鹿二人は逃げてきました。
何者かに操られているかもしれないから、温情をかけようと思っていたのに、つい怒りに感情を爆発させてしまいました。
でも、こんなに幼い、小学生に見えるような子が、怯えていたら、本気で怒ってしまうのも仕方ないですよね。
「もう心配いりませんからね、光の聖女ミア殿。
何があっても私が護って差し上げますから、安心してください。
ですから、トイレに行くときもちゃんと言うのですよ。
こういう所では、トイレで一人になった時に虐められるのが定番なのです。
ああ、そうだ、私は既に独立した伯爵位を持っていますから、ミア殿を養妹にして差し上げますわ。
明日からはパリル伯爵家令嬢ミアと名乗ればいいわ」
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