第2話 返せない本
もう10月に入ってしまい、つい最近まで暑い暑いと愚痴まいていたが、今年もあと三ヶ月足らずになってしまった。
毎年、この時期のお客さんとの話題が「今年も、もう終わり。一年もあっという間」という話である。
私も、人生の折り返しを過ぎ、時の流れの無常さを常々感じる今日この頃です。
今しがた読んでいた、「老妓抄」(岡本かの子著)の中に「蔦の門」という短編で、50過ぎの女性の悲哀を描いたものがあるのですが、これなどを読んでいると、つい自分の人生と重ね合わせてしまっている事に驚きと喜びを同時に感じるのです。
人間は必ず老いと、そしてその果てに死があります。しかし、それこそが人間が自分自身を見つめるきっかけとなり、そして自分自身を生きる事に向かわせる道しるべとなるように思います。
この本はお客さんから借りてるものなのですが、なかなか返せなくなっているのです。
もしかしたら、その事を何度も考えたくなるからかもしれません。
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