第47話 お披露目
【金森日和】
「以上のお互いのプレゼンを踏まえて、後は孝平くんの判断に任せましょうか」
「オッケー、望むところだよ!」
「孝平くん……伴侶に選ぶなら、バリバリに稼ぐキャリアウーマンタイプよね?」
「孝平、結婚するなら安心して家を任せられる家庭的なタイプだよねっ?」
「そうだな……少なくとも俺は、どっちと結婚しても幸せになれると思う。そして……どっちと結婚したとしても、相手を幸せにしたいとも思う。答えになってなくて申し訳ないけど、今言えるのはこれくらいだ……」
「孝平くん……!」
「孝平……!」
今日も今日とて、あの三人はいつも通りな感じ。
そう……凄く、
私の記憶が確かなら、もう『勝負』の期限は過ぎてるはずなんだけど……結果は、どうなったんだろう……?
どっちを選んだにしろ、今までと同じってわけにはいかないと思うんだけど……。
私と同じことを思ってるのか、クラスのみんなもちょっとソワソワした感じで三人に視線を向けている。
と、そこに。
「ちわーっ、お邪魔しまーっす」
そんな明るい声と一緒に、一人の女子が教室に入ってきた。
えーと……リボンの色的に、一年の子だよね?
上級生の教室なのに、凄く堂々としてるなぁ……。
「えーっと……おっ、いたいた」
教室の中をちょっと見回した後、目当ての人? を発見したみたい。
「美月、何か俺たちに用事か? ていうか連絡してくれれば、こっちから出向いたのに。上級生の教室は落ち着かないだろ?」
「や、それには及ばないし。別に普通に落ち着いてるし」
どうやら、白石くんの知り合いの子っぽいね。
「少しでも彼氏と一緒にいたいっていう、いじらしい女の子アピールじゃん?」
はー、なるほどね?
あの子の彼氏が、白石くんだと。
ということは、あの子が白石くんの彼女というわけだね?
……………………。
…………。
……。
『んんっ!?』
私と同じタイミングで、クラスの皆の驚きの声が重なった。
「あっ、どもども!」
そんな私たちに向けて、彼女さん? は明るく笑って敬礼のポーズ。
「こないだからコウ先輩のセカンド今カノになった、紫垣美月でっす! 一つよろしく!」
『セカンド今カノって何!?』
「あ、そのくだりはもうやったんで大丈夫っす」
『何が!?』
ひらひら手を振る、えーと……紫垣さん? に、また私たちの声が重なる。
えっ、ホントにどういうことなの!?
白石くん、説明してくれないかなぁ!?
「えー……っと」
そんな私たちの視線を察してくれたのか、白石くんは苦笑気味に頬を掻く。
「こちら、新しく俺の彼女候補になりました紫垣美月さんです」
『増えたの!?』
今、かつてないほどクラスの心が一つになってるのを感じるよ……!
「約束の三ヶ月が過ぎて、どうなっているのかと思いきや……」
「まさか、増えるとはな……」
「どちらかを選ぶんじゃなくて、あえて増やす……か。これは予想出来なかったな……」
「まぁ、普通に意味がわからんからな……」
「流石は白石、俺たちの発想なんて軽く越えてくるぜ……」
◆ ◆ ◆
【白石孝平】
うん、まぁ、こうなるよな……。
クラスの皆の反応に、苦笑するしかない。
俺だって、第三者の立場だったら全く同じ反応するだろうし。
「派手にぶちかましたね、紫垣ちゃん……」
「初めて来る上級生の教室でそれをやる度胸は、素直に称賛しましょう……」
優香と玲奈も、やっぱり苦笑を浮かべていた。
「うっし、任務完了!」
一人、美月だけは満足げな表情で胸を張っている。
ていうか……。
「任務、って何なんだ……?」
「んー、決意表明っていうか?」
言葉を探すみたいに、美月は顎に指を当て視線を彷徨わせる。
「ほら、コウ先輩とカノパイたちって校内公認二股カップル的な存在じゃん?」
「うん、まぁ……」
だいぶ不名誉な響きだけど、事実である以上受け入れよう。
「だからまぁ、ウチも宣言しとこうと思って」
んんっ……?
美月、なぜ俺の後ろに回る……?
なぜ俺の肩に手を置く?
「ウチが、先輩のモノだって……こ・と」
んんっ!?
◆ ◆ ◆
【紅林優香】
孝平を後ろから抱きしめた!?
紫垣ちゃん、なんで自然な感じでそれが出てくるの!?
◆ ◆ ◆
【青海玲奈】
される方ならともかく、する方は考えたこともなかったわね……!
あれはあれでアリかもしれない……?
にしても、あの体勢だと……。
◆ ◆ ◆
【白石孝平】
「ふふっ……これでウチとの関係も、知れ渡っちゃったね?」
俺が抱きしめられてるこの体勢……どっちかっつーと、俺が美月のモノになってる感じの構図では……?
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