第三章:疑問
MIKAの部屋に入ってから二日経った。しかしまだ彼女と連絡は取れていない。今朝早くにも彼女のマンションを訪ねたが帰ってきた様子はなく、両隣の部屋の方や管理人、巡回をお願いしていた交番の方にも連絡してみたが、新たな情報は何も得られなかった。
今のところこれ以上手の打ちようがない。他にも業務を抱えている真純としては心配で気が気で無いが、何とか目先の仕事をこなしていくしかなかった。
現在進行形の仕事の中で厄介な事案の一つに、戸森と田端の事故の件がある。正直佐藤が言うように、そこまで手をかけなくても良い気はしていた。しかしこちらの過失がゼロなら、戸森が加入している保険会社や代理店は基本的に動けない。
といって被害者は社員の田端と担当作家の戸森だから、邪険に扱う訳にもいかなかった。その為まだ昏睡状態の奥様の様子伺いも兼ね、今日は岐阜の病院へと向かっていた。というのも事故が起こって一カ月半ほど経ち、重傷、重体の戸森夫妻とは違ってやや軽度の怪我で済んだ田端が、退院の目処が立ったと聞いたからだ。
そこで相手保険会社担当の高林と待ち合わせをし、先日請求されていた資料を手渡すと共に、見舞いをかねて今後の段取りについて話し合うことになっていた。戸森の方はまだ退院まで時間がかかると聞いている。
田端は事故後に運ばれた岐阜の病院を退院すれば、住居近くにある名古屋の病院を紹介して貰って通院することになっていた。そこで現在の怪我の状況と、退院後はどれだけ通院が必要になるのかを医師に聞いておきたかったのだ。
退院してもすぐには出社できないだろう。それでもいつ頃になるかによって佐藤との交代時期の見通しを立てなければならず、確認しておく必要があった。本業のエージエント業務とは少し外れた仕事ではある。それでも誰かがやらなければならない。今回自分にその役割が回ってきたことはやむを得ないことだと諦めていた。
まずは病院の待合室で高林と挨拶を交わす。彼とは以前に一度名刺交換をしている。五十代位の男性でベテランの人身事故担当者だ。真純もかつては営業の他に事故処理担当部署にもいたため、示談における大変さは十二分に体験していた。
怪我をされた人の病室に上司と出向いた時、刺青を入れた方達に囲まれたこともある。示談内容が納得いかないと帰して貰えず軟禁状態に陥ったこともあった。あまりにも手に負えない場合は弁護士に対処を依頼するが、その一歩手前までは保険会社の担当者が対応しなければならない。大変な仕事だからこそ経験を重ねた高齢の専門職も多かった。
田端の場合はこちらがごねない限り揉めることは無いだろう。後遺障害が残る怪我ではないと聞いている為、入院費や通院費、そして病院が完治と認めたその日までに対する一定の慰謝料と、会社を休んだ期間の休業補償を支払うだけだ。
問題なのは戸森夫妻だった。戸森自身は田端より重症だが意識もあり、複数個所の骨折と打撲で済んだ。その為同じく後遺障害が残る心配はなく、もうしばらく入院していればいずれ怪我は治るだろう。
しかし妻の加奈子は、事故後一カ月以上経つというのに意識が戻らない重体だ。このままでは寝たきり状態で脳死状態に陥るか、死亡する可能性もある。そうなると普通なら相手加害者への被害者による怒りがなかなか治まらず、示談は長引くものだ。
といって今回は相手の運転手がすでに死亡している。憎しみの感情の矛先を向ける相手がこの世にはいない。となると被害者の攻撃先がどこになるかといえば、まずは相手保険会社であり、その担当者に向けられるのだ。真純も何度かそんな経験をしてきた。
物損事故なら壊れた物を修理して直すことで示談する。だが人身事故の場合、そうはいかない。物でも思い入れの強いものだと揉めるが、人の怪我も治るだけでは被害者の気がすまないからだ。
だから人の場合は物の修理代に当たる入院費などの治療費を払う以外に、慰謝料というものが発生する。事故によって負った治療以外の目に見えない心理的なショックや、身体的なストレスなどをお金に換算し、慰謝料という名目で賠償金として支払うのだ。
実際問題として示談を終わらせるために必要なのは、ある一定の時間と間に入る担当者との信頼関係などもあるが、最終的にお金の問題となることが多い。ただ人の心の中や人が亡くなった場合の感情など、お金に換算できる類のものでは無いという考えは当然だ。
しかし法律上では裁判などをやっても、結果加害者がみせる誠意などという目に見えないものでは解決できない。結局賠償額の争いとなってしまうのが現実である。今回のように加害者が死亡していれば、誠意を見せてもらうことも叶わない。
刑事事件だって被疑者死亡により送検された場合、被害者感情として到底納得できるものではないだろう。だから担当者である高林の一番の関心事は、加奈子の容体と戸森の被害者感情がどれくらい大きいかということになる。
真純と落ち合った二人はまず、事前に取り付けてあったアポ通り加奈子の担当医と面会をした。そこで聞いた診断内容からは、いまだ予断を許さない状況が続いており、いつ急変してもおかしくはないという。懸命に処置をしているため意識を取り戻す可能性もあるが、過度な期待はしないでくださいとのことだった。
後は戸森と田端の治療の進捗も伺った。田端はあと一週間もすれば退院出来るらしい。その後は一、二週間通院をして問題ないようであれば、仕事に復帰できるとのことだった。これは医者が田端とも話した上での診断なので、本人も承知していることを意味する。
つまり遅くとも一カ月後には、復職できると考えていい。そこまで判れば今後は引き継ぎ期間も含め、佐藤には長くて二カ月ほどいてもらえば仕事に支障をきたすことはないだろう。このことは後で真鍋に報告しなければならない。
戸森の怪我は少なくともあと一カ月ほど入院が必要で、その後はリハビリが順調なら数週間の通院で済みそうだという。後遺障害も残る可能性は低いとの診断結果を教えられた。
担当医との話を終えた二人は、戸森らの御見舞いに行くために彼らのいる病室へと移動した。しかしその前に意識の戻らない加奈子がいるICUの病室を訪ね、彼女の様子を病室の外からガラス越しで様子を伺うことにする。
彼女の体にはあちこちにチューブが刺されており、眠るように横たわっている痛々しい姿を見て何とも言えない気分に陥った。これは高林も同じ気持ちだったに違いない。彼女はこのまま目を覚まさないかもしれない、と考えるだけで恐ろしくなる。
今の加奈子には死、または十数年以上生き続けながら眠り続ける可能性がある。もちろんまだ脳死判定はされていない。よって今後意識が戻ることもあり得る。それでも重い後遺障害が残ることもあるだろう。いずれにしても厳しい覚悟が必要となるに違いなかった。
その後すぐに戸森の元を訪ねることは二人とも気が重く感じ、まずは先に田端の病室へ向かった。彼のいる病室は六人部屋である。ドアを開けると、一番右奥の窓際にあるベッドに腰掛けている田端の後ろ姿が見えた。
先に通路を進んで部屋に入った高林が声をかける。
「田端さん、ご無沙汰しております。怪我の具合はいかがですか?」
窓の外を眺めていた田端は、ゆっくりと窮屈そうに体の向きを変えて振り向いた。事故でむち打ちになった首と折れたあばら骨にはコルセットが巻かれており、骨折した左脚にはギプスが嵌められている。そのためまだ不自然な動きしかできないのだろう。
ただ自分一人で起き上がることはできて顔色もよく、あと数日もすればギプスも外れ退院できるという担当医の話からすれば、不自由な生活もあともう少しの辛抱だ。
「どうですか、田端さん。気分はいかがですか。よく眠れますか?」
真純は高林に続いて頭を下げながら近づいて言った。
「ああ、紡木さんも来てくれたんですか。わざわざすみません。迷惑をかけてしまっていますが、仕事の方は大丈夫ですか?」
田端は意図的なのか高林の挨拶を無視するように彼とは目を合わさず、真純に話しかけてきた。田端は真純より三つ年上の四十一歳の独身で、名古屋から近いこの病院がある岐阜市出身だ。元大手出版社の編集者であり、その頃から同郷である戸森を担当していた。
“この小”大賞の受賞者である戸森は、シラカバ出版がエージエント会社に変わった際に紡ぎ家と契約し、その後大手出版社の担当者だった彼に紡ぎ家への転職を進めたという。
彼は大手での仕事内容に不満があったせいか、戸森の進言を聞き入れた。さらには出版社在籍時に担当していた別の若手作家二人を自分の転職と同時に紡ぎ家とエージエント契約させた、いわば名古屋支店の拡大にも貢献した担当者だ。一人は京都、一人は福井在住の作家で、今は入院中の彼に代わって佐藤が担当している。
出版社時代に彼が担当していた作家は戸森達を含め西日本に集中していた。そのことから名古屋支店を立ち上げる予定を知っていた戸森の推薦もあり、彼は支店設立と同時に真鍋と共に配属されたと聞いている。
支店在籍としては先輩で年上だが、転職組だからか真純に対しては丁寧な口調で話しかけてくる。人当たりが良く作家達の懐に入りこむことが上手い担当者で、支店には欠かせない優秀な人材だと思っていた。
そんな彼が戸森の誘いで岐阜のゴルフ場に行き、事故に遭ったのだ。彼は名古屋から戸森の自宅まで車で向かったものの、戸森が他に誘った二人の中堅出版社の担当編集者が、自分達の運転するワゴン車一台で行きましょうと言い出したらしい。そこで四人が同乗してゴルフ場へ向かうことになったという。田端の車は戸森の家に置かせてもらったのだが、問題はゴルフの帰りで起こった。
車を出した出版社の担当者が、急遽仕事のトラブルで別の場所に移動しなければならなくなったと言いだしたのだ。その為帰りの足が無い戸森は止む無く妻の加奈子を呼び出し、ゴルフ場へ迎えに来てもらった。だがその帰りの道中で事故に遭ってしまったのである。
事故が起こった瞬間、ゴルフで疲れていた田端は後部座席でうとうとと居眠りをしていたらしい。気付いた時には凄い衝撃で体のあちこちを打ちつけ、あばらと左足を骨折した。首はむち打ち、その他多くの場所を打撲したのだが、エアバック付きの後ろの席でシートベルトをしていたためにその程度で済んだとも言える。
というのも事故の衝撃はすさまじく、相手と戸森の車は即廃車の状態だった。さらには相手運転手が死亡し、加奈子は意識不明の重体という大事故だったからだ。
助手席にいた戸森も首の頸椎捻挫の他に、左足と左腕、左の鎖骨とあばらを骨折、腰やその他多くの場所を打撲していた。衝撃の瞬間体を左に捻っていたらしく、怪我は体の左側に集中していたようだ。
戸森の説明によれば、対向車線を走っていた車が運転席の加奈子に向かって突っ込んできたらしい。そこで彼女を咄嗟に庇おうとして体を左に捻るような動きをしたのかもしれないが、良く覚えていないという。
事故の衝撃で目を覚ました田端は、相手の車が運転席側に突っ込んでエアバックも開き、完全に押しつぶされ挟まっている加奈子と意識を失っている戸森を見て、慌てて痛む体をなんとか動かし車の外に出たらしい。そこで相手もエアバックが開いた運転席でぐったりして血を流している姿を発見し、慌てて携帯で救急車と警察を呼んだという。
事故当日、早朝は晴れていたが昼過ぎから小雨が降り始めていたそうだ。戸森達が帰る頃には雨が激しくなり、路面は滑りやすくなっていたらしい。しかも山の峠道でアップダウンと蛇行した道が続く片側一車線の道路で、夜は車の通りが極端に少ない場所だという。
そのせいか多くの走り屋達が峠道を利用し、危険な運転を繰り返す場所だったそうだ。その為道路には古いものから新しいものまで数多くのスリップ痕が残っていたらしい。加えて雨だったことから、戸森達の車のブレーキやスリップ痕もはっきりしなかったようだ。
ちなみに事故の相手の若い運転手、
そのことも影響しただろうが、事故の瞬間を見ていた唯一の戸森による証言と、衝突場所が戸森達の走行車線側であったことや衝突箇所などから、雨の影響と相手運転手のスピードの出しすぎによる、センターラインオーバー事故と認定されたのだ。
「仕事のことは気にしないでください。本社から応援が来ていますし、今のところ問題ありませんから。それよりそろそろ退院できるそうですね。ゆっくり休んでもらって、担当医から仕事復帰していいという診断が出るまでは、焦らず治すことだけを考えて下さい。大きな事故でしたし、体だけじゃなく精神的にも落ち着くまで休んだ方がいいでしょう」
「有難うございます。色々面倒をかけますが、よろしくお願いします。佐藤さんには一度こちらへ顔を出していただいた際に、懸案事項等は伝えて簡単な引き継ぎをしましたが、問題なさそうで安心しました。彼だって大手出版社の元編集者ですからね。私もこのままいけば、年明けには復帰できると思います。この年末進行さえ乗り切って頂ければ、その後はなんとかカバーできるように頑張ります」
「そう言って頂けると安心です。この機会を利用して、慌てずしっかりとリフレッシュして頂き、パワーアップして戻ってきていただけたら支店としても助かります」
「パワーアップですか。なかなかプレッシャーですね。分かりました。休んだ分、しっかり取り戻せるようにします」
彼はようやく笑顔を見せたが、すぐに表情を暗くして聞いてきた。
「ところで奥さんの様子はいかがですか? 戸森さんの病室なら私も何度か立ち寄っているので様子は分かるのですが、あちらの病室へはなかなか足が進まなくて」
心情として理解できる。事故からかなり時間が過ぎているというのに、意識不明のまま容体が改善しないと聞けば、同じ病院にいても顔を見に行くことは辛いだろう。しかも彼は運転席に挟まったまま、瀕死の状態である彼女の姿を見ているから余計だ。
「担当医に話を聞いてから先ほど高林さんとICUを覗いてきましたが、まだ意識は戻らないままで予断を許さない状況が続いているようです」
そう正直に説明すると、彼は項垂れたまま呟いた。
「そうですか」
彼と戸森とは担当者として長い付き合いであり、転職のきっかけを作ってくれた関係だ。特に紡ぎ家名古屋支店で担当するようになり、彼は自宅兼書斎のある岐阜へよく通っていた。岐阜といっても名古屋の事務所からは車で一時間弱もあれば通える距離だ。よって戸森の妻の加奈子とも合う機会は多かったと思う。
作家の妻というのは大きく分けて二通りあり、作家の仕事に全く関知しない妻と、積極的に関わるタイプだ。加奈子は後者らしい。マネージメントや経理の問題に関しては紡ぎ家が間に入るため、田端が全ての窓口になっている。しかし紡ぎ家との連絡や打ち合わせに関しては、必ずと言っていいほど加奈子が絡んでいたようだ。
戸森が紡ぎ家と契約する以前は、出版社の女性担当編集者と打ち合わせを行ったりする場合、場所が東京であっても彼女は必ず同行していたという。嫉妬深い性格からか女性担当者と二人きりにさせないためらしい。かかってくる電話も女性の担当編集者からだと機嫌が悪くなるので、彼は極力担当者を男性にしてくれるよう取り引きする出版社に要望を出していたそうだ。
しかし出版社側にも社内事情がある。必ずしも希望に応えて貰えないこともあったという。そこで余計な神経を使う遣り取りが煩わしくなった彼は、シラカバがエージエント会社として再建を試みていることを知り、当時大手出版社にいた田端に声をかけて紡ぎ家へ転職し、自分の担当をやって貰えないかと依頼したのだ。
それだけ戸森は彼のことを買っており、信用していたのだろう。さらに加奈子にも信頼を得ていた彼の尽力があってか、子供のいない戸森夫妻の仲は良くその後揉めることは少なくなったと聞いている。
「田端さんはまだ治療中ですから、賠償についての詳しい内容は退院後、通院して治療が完治してから改めてご連絡をさせていただきます。後日書類をお送りします。あと事故に関係してかかった費用か何か、ご自分でお立て替えされているものはございますか?」
それまで黙っていた高林が、ここぞとばかりに保険会社として最低限伝えるべきことを話し出した。田端は顔を上げて高林の方にちらりと視線を送ったが、黙ったまま首を横に振ってまた下を向いた。あまり話したくないとの態度がありありと見える。
それでもめげない高林は、話を続けた。
「退院後の通院治療費も全て直接病院からの請求を受けて、当社がお支払いしますのでご心配されることはないかとは思います。もし他に早く支払って欲しいものがあれば、ある程度の金額までなら賠償金の先払いは可能です。あと休業補償についても今日紡木さんから田端さんの昨年の源泉徴収票も頂いたので、お怪我の方が完治されましたら今後計算して慰謝料と一緒にご提示させていただきます。何かお困りのことがあればお伺いしますが」
「今のところは何もありません。何かあれば紡木さんを通してお願いするので、会社へ出社できるようになったら必要な書類を送っていただければ結構ですよ」
彼がそっけなく答えたので、分かりましたと一言だけ答えた高林はここで引き下がった。今回真純は高林と同席している場で田端と初めて会ったが、人当たりの良い彼にしてはあまりにも冷たい対応に違和感を覚えた。事故の被害者である彼からすれば、加害者側の代理人である高林を憎むべき敵の味方と思ったとしても仕方がない。
しかし妻が意識不明の重体に陥っている戸森がそのような態度を取るなら理解できる。しかし後部座席でうたた寝していて事故に巻き込まれた彼が、相手保険会社にここまで敵対心を持つのは何故だろうと疑問に思った。事故直後に彼と面談した時、高林が機嫌を損ねるような発言をして揉めたのだろうか。だがそんな不満があるとは聞いていない。
気になったため後で確認しておこうと考え、
「じゃあ高林さんとこれ以上何も話すことが無いようでしたら、これから二人で戸森さんの方へ顔を出してきます。私はその後もう一度顔を出すので何かありましたらその時に」
そう告げて病室をでた。高林も頭を下げて後をついてくる。同じ階だが田端のいる病室から少し離れた四人部屋に戸森がいるので、そこまで歩いて向かう間に質問した。
「高林さん、何か田端を怒らせるようなことがありました? 普段の彼ならあれほど無愛想な態度はとらないと思いますが」
彼は少し考える素振りを見せてから答えた。
「怒らせたといいますか、事故後に御見舞いも兼ね初めてご挨拶に伺った時ですけどね。救急車を呼んで警察に電話したのが田端さんだと聞いていましたので、事故時の状況を伺いました。どんな感じで事故が起こったのですかって。それはおかしくないですよね。紡木さんも以前は保険会社に勤めてらして、事故対応の経験もおありだと伺っていますから分かると思いますけど」
「そうですね。双方から事故状況を確認することは必要ですから。しかも今回、事故を起こした片方の運転手は亡くなられていますし。確か即死だったと聞いていますから、相手方から話を聞くことはできません。事故場所も山の中ですから他に目撃者がいない可能性が高いでしょうから」
「そうです。事故当時も前後に走っていた車はいなかったようですから目撃者もいません。事故状況を把握しているのは、戸森さん側の車に同乗していた方達だけです。しかも戸森さん側も運転者である加奈子さんはいまだ意識不明です。だからてっきり田端さんは事故状況を把握していると思って話を伺いました」
「それは普通の流れですよね。でも確か田端は事故時にはうたた寝していて、事故が起きて初めて目を覚ましたと聞きましたけど」
「はい。ですから彼が事故連絡をしたのは確かですが、起こった時の状況は見ていない、と言われましてその時少し興奮状態だったんですよね」
「興奮状態?」
「その時はまだ田端さんもベッドに横たわったままで身動きがとれない状態でしたから、そんなことを聞かれても知らない、と感情的になられたのだと思います。うたた寝していたことで事故の状況を見ていなかった自分が、まるで責められたように思われたのかもしれません。その後も何度か御見舞いに伺いましたが、私とはあまり口を利きたくないようで、今日もほぼ同じ態度でした。紡木さんがいらしたから若干態度は柔らかくなっていましたけど。ですから決して何か私が怒らせるようなことをしたとかではありません。事故状況を見ていないと伺いましたから、こちらとしては他にそれ以上お話しすることもないので、後は治療が終わるのを待って示談するしかありませんから」
「そうでしょうね。でもあれでまだ態度が軟化している方だったのですか。言われるように彼は自分を責めているのかもしれませんが、その辺りは私からも聞いておきます。彼との示談は常識の範囲内で計算して提示していただければ、問題ないと思いますから」
「そうですよね。賠償金の先払い要求もありませんし。問題は戸森さんでしょう。奥様の件も含め、休業補償も作家の場合は算出が難しいですから示談が長引く気がします」
彼は本当に困ったような顔でそう呟いた。だが聞き捨てならない言葉を耳にしたため問いただした。
「え? 加奈子さんの件で感情的になられるのも、休業補償の算出が難しいことも分かりますが、賠償の先払いの話って戸森さんからしていたのですか?」
「そうです。紡木さんはご存じありませんでしたか。支払いを急ぐものもあるから、慰謝料の先払いはできないのかと聞かれました。紡木さんも御承知の通り、奥様と合わせてこれまでの入院日数を合算して計算できる慰謝料の一部先払いはできますけど、限度がありますからね。退院もまだですから早いとは思ったのですが、休業補償の算出根拠となる資料のご提出を紡木さんにお願いしたのは先払いの話があったからです。戸森さんに伺ったら委託契約を紡木さんの会社としていると伺いました。田端さんの件もありますし、いずれご提出して頂く必要のある書類ですから先日ご連絡させていただいたんですよ」
「ああ、そういうことでしたか。提出が必要だとは思っていましたけど、まだ早くないかなあとは思っていました」
「そうです。通常なら退院してからもしばらく通院が必要でしょうし、示談の話は完全に治療が終わってから行うのが一般的ですからね。その方が精神的にも落ち着かれていますし、示談に必要な資料も通常ならもっと後からご提出頂くのですが」
彼の説明を聞いてようやく納得した。
「なるほど。戸森さんが賠償金の先払いを求めたので、少しでも多く支払えるように賠償額の算出根拠となる書類を早めに入手したかった。それなら先払い金を多く出すことができますからね。でもそんな話、私は聞いていませんでしたよ」
「そうでしたか。窓口は基本的に紡木さんがされていると伺っていたのでてっきりご存知かと思っていました」
「窓口は私で間違いありませんが、もう一度確認します。先払いは高林さんとの面談時に戸森さんから直接請求されたのですね」
「はい。そうです。前回の訪問時にそう言われました」
彼の様子だと嘘をついているようには見えなかった。それに彼が嘘をついても何の得にもならない。どういうことなのか、と頭を捻った。
「そうですか。何か特別な支払い予定でもあるのかな。賠償金の先払い請求は私も扱った経験がありますけど、それほど多いケースではないですよね。仕事ができなくなったことで手元にお金が無いと困る被害者など限られた場合が大半ですから。戸森さんが今お金に困っているというのは少し考えにくいのですけど」
「そうですか。引き落としやら何やらあるので、ある程度まとまって払ってもらえると助かる、とおっしゃっていましたけど」
「引き落としですか。家は確かローンも完済した持ち家と聞いていますし、引き落としがあるとすれば水道代などの公共料金やネット関係、携帯の通信料とか、あと国民年金や社会保険料、あとは個人で掛けている保険等ですね。普通の生活をしていたら諸々の引き落としがあるのは当然でしょうが、家以外にローンがあるのかな」
真純は担当では無いため、戸森家における細かい経済事情は把握していない。過去にはヒット作を出しているがここ最近は伸び悩んでいる作家の一人であり、田端も心配していたことは知っている。
そのため気分転換も必要だからとゴルフに行ったり、取材や色々な打ち合わせをしたりと、ここ最近彼は特に良く岐阜通いをしていた。
そんな会話を交わしている間に、戸森のいる病室に着いてしまった。詳細は後で聞くことにして高林に目で合図を送り、真純がドアをノックしてから先に入室をした。
「戸森さん、紡木です。ご無沙汰しています。お加減はいかがですか?」
ベッドに近づくと、彼は布団をかぶり横になったまま、ぎょろりと目だけを動かしてこちらを見た。背後にいる高林の姿を見たからか少し眉間にしわを寄せる。見舞いの品を渡しながらベッド脇にある椅子に真純達が腰かけると、彼は電動ベッドのボタンを押して二人と話しやすい体勢になるまで体を起こし、視線の高さを合わせた。
彼のいる病室は四人部屋だが二つのベッドは空いていた。田端の部屋よりも一人一人のスペースがゆったりとしている分広い。横になっているもう一人の患者さんがいたため、迷惑にならないよう小声で話しかけた。
「体はまだ痛みますか。担当している先生には先ほど症状を伺いましたが、入院はもうしばらく必要だそうですね。何か困ったことはありますか?」
奥さんも入院しているので、彼の着替えなどは近くに住んでいる彼の母親が見舞いがてら持ってきているようだ。独身の田端もまた岐阜の実家にいる母親が身の回りの世話をするために時々来院していると聞いている。
「紡木さんには特別何もないよ。保険会社の方にはあるけどね」
彼はちらりと高林に視線を移した。彼はそれを受けて真純が知らないと聞いた件であろうと気づき、口を濁しながら応えた。
「例の件なら、先程紡木さんから収入補償の賠償金計算に必要な資料をいただきましたので、今後数字が出ましたらまたご提示しに参ります」
「ああ、早めに頼むよ」
それだけ言うと、話は済んだとばかりに視線を窓の外に移した彼は、真純と目を合わそうとしなかった。これでは子どもの使いになってしまうため、思い切って尋ねてみた。
「賠償金の先払いをお願いしているようですね。何かご入り用なことでもあるのですか? なんなら会社の方でもお支払いできる分、お振り込みしますけど」
契約作家にはある程度必要な経費と会社が認めた場合、取材費や印税の前払いをすることができる規定がある。もし返済できなければ、他の作品の著作権を抑えるなどして必ず回収できる程度の金額に限られるが、戸森クラスなら百万程度は会社も出すだろう。
だが彼はその話題には触れられたくなかったようで、キッと高林を睨んだ。しかし先ほどの話からすれば、彼に口止めしていた形跡はない。だから窓口である真純に話しても責められる筋合いはなく、逆に窓口対応をさせておきながら勝手に話を進めている事自体おかしいのだ。そのことでこちらが怒っても良いくらいである。
「そんな必要はない。払われる分を少し先に貰うだけだ。最終的に示談してから貰うなんてことになったら、加奈子はあんな状態だ。いつになることやらわかりゃしない。だから先払いもできると聞いて、だったら口座に振り込んで置いてくれと言ったんだ。そうすれば引き落としやら何やら余計な心配をすることもない。無いなら無いで困りはしないけど、お金はあった方が安心だ。ただそれだけだよ。もう俺は疲れているから帰ってくれ」
彼は電動ベッドのボタンを再び押し、起こしていた体を横にして頭から布団をかぶってしまった。怪我人にそんな態度をとられてしまったら仕方がない。
「それでは今日はこれで失礼します。お大事にしてください。また伺います」
高林と二人して頭を下げ、病室を後にした。彼は廊下を歩き始めてしばらくしてから、
「いつもあんな風ですよ。ずっとあんな調子です」
眉間にしわを寄せ困ったものだと、真純の賛同を得ようとした。同感ではあったがあくまで立場的には戸森と田端の窓口で、彼らの意向に沿うのが仕事であるため、
「被害者ですから、あれぐらいの態度ならマシな方じゃないですか。私も経験がありますけど会っても貰えない、会えても怒鳴られるばかりで話にならない相手はいくらでもいますからね。今回の件は私が間に入っていますから、そちらの示談提示額が常識的な数字であれば、大きく揉めることはないと思います。そうじゃない場合は分かりませんが」
そう釘を刺すと、彼は首をすくめて言った。
「分かりました。元保険会社にいた方が間に入っていますから、こちらとしても変な駆け引きはしません。支払える金額の上限まで提示させていただきます。それ以上を要求されるならば後は弁護士に、というラインはそちらも理解されていらっしゃるでしょうから」
「そうですね。被害者感情は私の力でもなんともなりません。しかし賠償金に関してはきっちり提示してさえいただければ、こちらも早期示談できるよう努力できます。こういうものは、長引いてもお互い得をしないと思いますので」
「その時はお願いします」
そう言って二人は廊下の途中で別れた。彼は別件があるため帰ったが、真純にはまだ済ませておかなければならない用事がある。このままでは忙しい時にわざわざ岐阜まで来た甲斐が無い。先ほど通ってきた廊下を戻るようにして田端のいる病室へと向かった。
病室のドアは開いていた。中から看護師と誰かの喋り声が聞こえる。部屋を覗くと入口近くの患者の御見舞いに来たらしき人が、看護師と何やら会話をしていたようだ。その横を通り、右奥にいる彼のベッドへと近づいた。
先ほどは空いていたカーテンが閉まっていたので、彼の姿は通路から直接見えない。それでも側までいくと、ベッドに横たわって何かを読んでいる彼の姿が窓に映っていた。後でまた来ると告げていたから、時間を潰していたのだろう。
「田端さん、今、大丈夫ですか」
声をかけてから窓側から回り込む、ベッド脇に立った。彼は寝転がった状態で文庫本を読んでいた。ブックカバーがかかっていたので何を読んでいたのかは分からないが、視線をこちらに向けると栞を挟み、ゆっくりと体を起こしながら答えた。
「大丈夫ですよ。戸森さんはどうでした?」
「まだ体中をギプスで固定されたままだから窮屈そうでしたけど、顔色は良くてお元気そうに見えましたよ。ただ保険会社の人もいたので、会話は弾みませんでしたけど」
ベッド脇にある椅子に腰かけながら答えた。
「そうでしょうね。高林さん自体が悪い人だとは思わないですけど、やはりなんとなくいい気はしないでしょうから」
「田端さんもそうお思いですか?」
その問いに、少し言葉を詰まらせながら頷いた。
「まあ、そうですね」
「先ほどはいつもの田端さんらしくなかったので、そうかなと思っていましたが、何かあったのですか?」
何気ない素振りでそう尋ねてみた。彼はしばらく間を開けて言った。
「それはそうでしょう。こっちは被害者ですから。もちろん事故が高林さんのせいでないことは理解できますよ。でもなんとなく、ね。感情的にというか、何というか」
「それはそうですね。しかも事故を起こした相手側は亡くなっているわけですから、怒りの矛先というか持っていく場のない感情を、間に入る保険会社にぶつけてしまうのは分かります。私も以前はそっち側の仕事をしていましたから」
「そうでしたね。紡木さんは元保険会社の人だから分かると思いますが、戸森さんは奥さんがあの状態ですから、もっとやりきれないと思いますよ。まだ私なんかいい方です」
「そうですね。田端さんは事故が起こった時、後部座席で寝ていた訳ですから何が何だかわからなかったでしょう。起きてびっくり、って感じだったと聞きましたけど」
「そ、そう。ほんとそうだよ」
「それで目を覚ましたら、前に座っていた二人の意識は無かったようですね」
彼はその時のことを思い出したのか、険しい表情に変わり黙って頷いた。
「あ、すいません。余り事故のことを思い出したく無いですよね」
再び黙って頷いただけだった。それ以上口にしたくない様子だった為、話題を変えた。
「そうそう、田端さんは賠償金の先払いとか、必要ありませんか? 戸森さんは保険会社にある程度早く支払って欲しい、って要求を出していますけど」
「賠償金の先払い、ですか? そう言えば先程も高林さんが何やら言っていましたけど、何のことか分からないので無視していたのですが、どういう制度の事ですか?」
彼は驚いたように顔を上げた。戸森の病室を何度か尋ねているはずの彼も、この件については聞いていなかったようだ。
「知りませんでした? こういう事故の場合、基本的には完全に治療が終わってから、慰謝料や休業補償の計算を出して、全ての賠償金額を合算して提示します。もちろん治療費は病院の方から保険会社に請求させて直接払ってもらいますが、そういった諸々の費用も含めて最終的に提示した金額に納得すれば、書類に印を押せば示談完了です。それから示談金が支払われますが、手元に慰謝料などが入ってくるのは治療完了後ですから、かなり遅くなりますよね。それだと困る人もいるので先払い制度があるのです。例えば日雇い労働者とか十分な蓄えが無い人は事故で入院して働けなくなった場合、その間の収入が途絶えると困る人が出てきます。だからある程度の期間が経つと支払われるだろう慰謝料を途中で計算して、先に一部だけ支払うことができるのです。もちろん最終的な示談金から、先に払った分は差し引かれますから得をする訳ではありませんが」
「なるほど。そういう制度でしたか」
「田端さんはもうしばらくしたら退院されますし、入院中も会社から給料が支給されていますから問題ないとは思いますけど。でも戸森さんって先払いが必要なほど蓄えが無いのでしょうか。確かに作家さんは会社員と違って定期的な収入がありませんし、本を出版していない時は、それまで出した作品が増刷されない限り全く入ってきませんけどね」
「そ、そうだね」
彼は頷いていたが顔色が変わっていた。
「でも作品が出版されれば初版分の印税が一時的に入りますが、普通は入ってこない時期のことや、後からやってくる税金の支払いの為にもある程度貯めておかれますよね。厳しい作家さんは、その貯蓄を切り崩しながら生活していかれるそうですね。他にマンション経営とか投資とかやって別の収入源が無い限りは、ですけど。戸森さんは何かそういう副収入がないのですか? 奥様は確か専業主婦で他に仕事をしていなかったはずですよね」
「い、いや、そういう副業はしていない。加奈子さんも税金対策上、個人事業主の戸森さんの使用人としての収入があるようにはなっているけど」
「それだって戸森さんに印税が入らないと基本的に収入は実質ゼロ、ですもんね。だから先払いをお願いしているのは、ちょっと今の蓄えだと不安なくらい困っているのかなと思ったのですが。あっ、家のローンとかそういう支払いが残ってらっしゃるのかな」
「いや、家のローンはとっくに終わっている。ああ、多分色々引き落としとかあるから念のため、じゃないですかね。お金のことは加奈子さんに全て任していましたから、今は意識が無い状況だし、その辺り詳しく確認できないから心配になっただけじゃないかな。万が一引き落としが滞ると厄介ですからね、作家さんの場合は。新規にクレジットカードを作る時はなかなか苦労するって聞きますし。だから支払いが滞った記録があったりすると、今後カードが作れなくなるからでしょう」
彼の言っていることは間違いではない。だから明らかに良い訳ができた、とばかりに饒舌な口調で説明をし始めたのだ。ある意味判りやすい人である。前職で色んな人と関わってきた経験が無かったとしても、彼が何かを隠していることには気づくだろう。だから直球で攻めてみた。
「田端さん、戸森さんの件で何か知っていますね。賠償金の先払いの件は知らなかったようですが、先払いを依頼したとしても驚かない、理解できるほど戸森家の経済事情が厳しかった。そうじゃありませんか。それを田端さんは知っていた。違いますか」
「い、いや俺は、そんな、いや、それなりに厳しいことはなんとなく知っているよ。ここ何年かは書いてもなかなか売れないし増刷もかからないし、最近は新作すら書き上げられなくなってきていたからね」
「でもゴルフはそれなりの頻度で行かれていましたよね。今回の事故だってゴルフ帰りでした。経済状態が厳しい割には、決して安くない遊びというか気晴らしはしていたようですね。その点はどうですか。先程お金は奥さんに任せてあるって田端さんはおっしゃいましたけど、承知していたんですか。聞くところでは、昔の奥さんは割と嫉妬深いだとか仕事に口を出すことで有名だったようですね。そんな人が家計事情の苦しい時に、ゴルフ代なんかを簡単に出しますか。それとも今回は会社の接待だとか言いませんよね。そんな請求は上がって来ていませんし、うちではそういう経費はまず認められませんから。それとも他に出席していた出版社から出ていたのですか。田端さん。確認すれば分かることです。正直にお話いただけませんか」
「正直にと言われてもね。ゴルフの支払いは各自清算でしたよ。私が自腹で戸森さんの分を支払ったりもしていませんから。それは間違いないです」
彼は真純と視線を合わせようとはせず、俯いたままそう答えた。
「でも戸森さんの家が、経済的に困っていたことは間違いないのですね」
「そ、そうだとは思う」
「何か大きな借金があるのですか?」
「いや、それはないと思う。苦しかっただろうけど、そんな切羽詰まって借金に追われる程のことは無かったはずだ。もしあればいざとなったら、持ち家を抵当にいれてお金を借りることも出来るだろうし。でもそんなことはないよ。少なくとも俺は聞いてない」
「そうですか。じゃあ、他に隠していることは何ですか?」
鋭く問い詰めると彼は肩をビクリとさせて、恐る恐るこちらを見上げた。
「やはり、何か隠していますね。戸森さんの経済事情以外に何を隠しているのですか」
彼はカッと目を見開いたかと思うと、首を小さく横に振り、
「俺は知らない。何も見てない。俺は知らない。知らない。もう帰ってくれ」
そう言いながら背を向け、布団を頭からかぶって潜り込んでしまった。だが彼が中で震えているだろうことはよく分かった。
「すみません。余計な事を言いました。今日はこれで帰ります。でもまたお伺いしますね。その時は何か思い出したことがあれば教えて下さい。ではお大事にしてください」
これ以上の追及を諦め、席を立って病室を出た。だが間違いない。彼は何かを知っている。そう確信した。
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