第14話
「お前があの日、盗んで質屋に流したブラックオパールは、やっとの思いで俺が取り戻した!この30年間、世界中を巡っていたよ」
ゆっくりと近付いていくる前川を睨みつけながら金森が言った。
「へっ…ご苦労さんなこった…あのケチな質屋の親父、たった20万しかよこさなかったよ」そう言いながら、前川は拳銃のセーフティロックを外した。
「希夢、美琴、後ろのドアから逃げろ!走るんだ!」
そう言うと、金森は前川に飛び掛かった。
希夢は、美琴の手を掴んで屋敷へ繋がる渡り廊下のドアへ走った。
ドアを開け美琴を押し込み振り返ると、金森と前川がもみ合っている。
金森が視線を希夢に向け
「早く行け!」と言った。
希夢は頷くと美琴の手を握り、渡り廊下を走った。
屋敷側のドアを開けた瞬間、パーンと後方で銃声が響いた。
二人は驚き振り返ったが
「行こう!」
希夢が言い二人は屋敷の長い廊下を走った。
「この部屋に隠れよう!」
あの銃声から、すぐに前川が追ってくると感じた希夢は幾つ目かのドアを開け二人は中に入った。
ドアを静かに閉めると、窓にカーテンが掛った部屋は薄暗い…しかし目が慣れると、そこにはベビーベットや赤ん坊用の玩具があるのが見えた。
「希夢の部屋…?」
美琴の言葉に希夢は頷きながら人差し指を口にあてた。
「おぉ〜い!どこに隠れやがった!」
前川の声だ。
一部屋ずつドアを蹴り開けている衝撃と音が一部屋、また一部屋と近づいてくる。
希夢は部屋を見渡し、そこに綺麗に積まれた衣装ケースと木製のおもちゃ箱を積み直しその影に二人は隠れた。
その直後、二人の隠れる部屋のドアが前川に蹴り開けられた。
ドン!ガガ~ン「どこなんだぁ〜!」
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