ヒューマノイド、それはロボット三原則に囚われる悲しき存在。召使として忠実に主に尽くす姿は、どこか淡々としていて冷たく無情を感じるものです。ですが、同じヒューマノイドでもロゼは何処か違います。見詰める眼差しは、温かくそして愛情を感じるもの。母性愛とでも言うのでしょうか。
そんなロゼは、主であるシャロンに律義なまでにも尽くします。シャロンは自分の名前に蟠りを持つ少年でありますが心優しく、ロゼを本当に大切にして心の拠り所にしていました。
二人の仲睦まじい姿はまるで、家族のよう。微笑ましい光景の日々は、この先もずっと続くのとばかり思っていました。ですが、ある日の出来事を境にして、胸を締め付けられる日々が続くのです。それは、ロゼが優しい嘘を付き続けていた事に気が付いたからです……。
思わず、私も胸を締め付けられていました。この先はどうなる、シャロンやロゼはどうなるのか、と夢中になって読み進めていました。そして読了してみれば、涙を零さずにはいられませんでした。それは人とヒューマノイドの垣根を超えた、真実の家族愛の姿を見たからです。
おススメです。是非とも一読ください。きっと精錬された描写が涙を誘い、感動することに違いがありません。