第18話スターレイン(5)

私は不思議な女の子と出会った。

その女の子は私ソックリな顔をしていたの。

更に不思議な事に私の大事なミサンガと同じ物を付けていました。


だから私は、この子は未来から来たのだと思った。

でもそんな事ありえる??

あり得るわけないと思いながらもその子と私はゲームをした。

その結果、考え方が似てると思った。

ますます、私の仮定が現実味を帯びてきた。


だから私は聞いたんだ

「あなたは何者なの?」


彼女は凄く困っていた。

その様子が、私の仮定もうそうを確信に変えた。

そうか…この子やっぱり私の肉親なんだ。

だからちゃんと名前を知りたかった。


その子の名前は花岸凛華と言った。

凛華も歌手だと言う。

彼女の歌を聞いて私はある事に気付いた。



「なーつーこー!!」

「うおおぉぉぉぉぉ!!」


私の目の前には沢山の人がいる。

ここはアフタヌーンガールズのライブ会場で、私はマイクを持って立っていた。

現在年越しライブの真っ最中なのだ。



私はアイドルになりたかった。

アイドルとして羽ばたく為に色んな苦労も乗り越えてきた。

時にはメンバーに強く当たった事もあっただろう。

でもそれは、それだけ本気だったと言う事だ。


そんな私が、未来に夢を託しても良いと思えた。

そう思わせてくれたのは凛華のおかげだ。

どのぐらい未来なのか、まだ私が生きてられる未来なのかは分からない。

でもその未来には、私以上に素敵な歌手がいるんだ。


だから私は―――




「えっと…突然ですが、私は今日を持ってアイドルを卒業して普通の女の子に戻ります」



―――この選択に後悔はない。










「でわ次はHANAさんです!」



司会者の紹介と共に私は光り輝く舞台に立つ。

今日は大晦日のカウントダウンコンサートで、私はトリを飾る。



「魔法を授けよう♪魔女との共犯けいやくが僕を偉大な勇者にしたんだ〜♪」






「皆さんにお話があります」


カウントダウンコンサートを締める1曲を歌い終わった後、私はマイクを持ち話しかける。


「今日はもう1曲皆さんに聴いてもらいたい曲があります」


私のこの発言にライブを見に来た客や裏方のスタッフまでもが{ざわざわ}としだす。

それもその筈だ。予定では1曲歌ったら終わりだったのだから。


「この曲はとても大切な曲で、どうしても皆さんに聴いてもらいたいと思います」


私は批判されるのを覚悟だったが



「アンコール!!!」

「アンコール!!!」


と観客達が熱く乗ってくれた。

スタッフを見るとOKサインが出た。



「ありがとうございます。では聞いてください。スターレイン」

曲のタイトルを言った瞬間、予めマネージャーに渡していた音楽が鳴り出す。

私はその音楽に合わせ左右に動く。


そして軽く深呼吸をして歌を歌うのだ。



「スターレイン♪輝く星の数〜♪迷い道 照らし続け 君を導くよ〜♪」



夏子お婆ちゃん天国から見てるかな?

あなたから受け継いだきもちは、ちゃんと繋げてるよ。

だからこれからも私を見守っていてね。






2060年某日。

ここは、とある病院の一室。

そこには体が弱り動けなくなった女性がベッドに横たわっていた。

その女性は、もういつ亡くなってもおかしくない状態だ。


そんな女性に赤ん坊を連れた男女が面会にきた。



「母さん!見てくれ曾孫産まれたよ」


その言葉を聞いた赤ん坊を抱いた女性はベッドに横たわる女性に自分の子を見せる


「お婆ちゃん!女の子産まれたよ」



自分の顔の前に差し出された赤ん坊の頭をベッドの女性は優しく撫でる。

そしてゆっくりと口を動かしながら言葉を述べた


「やっ…と会え…たね……凛華…」


そう言って女性は笑顔を見せそのまま息を引き取るのだった。






2081年1月2日


「去年の年越しライブで、いきなり発表となった人気アーティストのHANAさんの新曲スターレインが300万ダウンロードを達成しました。この記録は――」

{ぷつん}アナウンサーの声を遮る様にテレビ画面が消される。


「やっぱり母さんは凛華と会ってたんだな」


「そうねぇ…あの時お婆ちゃんが凛華の名前を知ってたのは驚いたけど今なら全部繋がったわ」



2人の男女が話をしていた。

それに割って入るように


「お爺ちゃんもお母さんも何してるのー?早く墓参り行くよー!」

と部屋中に声が響いた。


「凛華が急かすから行くかの」


こうして2人は玄関へ向かう。


「やっと来た!もー遅いよ!!」

凛華は頬を{ぷくぅ}と膨らませる。


「ごめんごめん」


祖父、母、父、妹…そして凛華。この5人の家族は墓参りへと向かう。

玄関を出てすぐ凛華が祖父に言った。


「そー言えばお爺ちゃん!華支凪夕子かしなゆうこって知ってる?」


「華支凪夕子…?はて?聞いた事あるような無いような…」


「私知ってるよ!童謡を世に広めた人でしょ?」

妹の美花みはなが得意気に言う。


「おぉ〜俺も小さい頃歌ったな〜ゆうやけこさめとか」


「懐かしいわね」

と皆が盛り上がる。

そんな中ポツリと凛華は言う


「夏子お婆ちゃんの曾祖母が華支凪夕子らしいよ」




「えっ!!!?」

凛華の発言に皆は驚く。


「だとしたらウチの家系ってとんでもない音楽一家だったって事?!?」

祖父が驚きながら言った。


「みたいだね」


「って事は凛華!つまりこー言う事か?」


「そーそー!そう言う事!」

凛華は祖父が何を言おうとしてるのか分かってるので話に乗る。


そして2人は口を揃えて言うのだ。




「「ウチの家系はかっけー!」」

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