第15話スターレイン(2)

「はぁぁ?タイムマシン!?!」



夜になり美花とお父さんを交え晩御飯を食べてる時に父が

「そう言えば知り合いのツテで回り回ってタイムマシンお試し券を貰ったんだ」

と言い出した。


タイムマシンと言えば数年前ぐらいに蔵安久くらあく博士が開発に成功したとかで話題になってたのを思い出す。

だけどまだ実用化するには問題があって、選ばれた人を実験がてらにタイムマシンに乗らせてるって話で

とても父の様なサラリーマンが手に出来るチャンスなんて無い筈なんだけど…



「だからさ〜凛華!それで20年前ぐらいに飛んで夏子お婆ちゃんに会ってきなよ」


「おぉ〜良いんじゃないか!母さんも喜ぶぞ」


「ちょ、ちょっと待ってよ!話が急過ぎるって!」


「何か不満なのかい?」

祖父が問いかける


「不満って言うかさ…会いに行った所で私の事分からないでしょ?それに何を話すのよ…それこそお爺ちゃんが行けば良いんじゃない??」


「俺?…俺はもう67で20年前の母さんとは同じ歳ぐらいだからなぁ…老けた俺よりひい孫の凛華に会う方が喜ぶと思うんだけど」


「それに――

とお爺ちゃんは言葉を続ける


――これを持っていけば凛華の事分かる筈だ!」


そう言ってお爺ちゃんはピンクと白の紐を編んで作った輪っかを渡してきた。


「これはミサンガと言ってな…手首とか足首に巻き付ける物で、母さんが大事に持ってた物だ」


「これ貰っていいの?」


「うむ…母さんも凛華が持ってくれた方が喜ぶ」


「そっか」


私は初めて見るミサンガにどこか懐かしさみたいなのを感じていた。

それにピンクと白は私の好きな色でもある。だから私は、嬉しくて早々に手首に巻いた。



「わぁ〜お姉ちゃん良いな〜」

美花が羨ましそうに私の手首に巻かれたミサンガを見る。


こうして私の過去に行く旅は始まりを告げた。

尺の都合でサクサク進みます。






次の日




「わしが蔵安久じゃ」

お爺ちゃんと同じぐらいの男性がそう言った。

「そしてボクが助手の新月です」

こちらは40代ぐらいの男性だ。



「タイムマシンを利用するには幾つかの注意点があります」

助手の新月さんが、そう説明を続ける。


「時と言うのは不安定な物です。なので、過去を変える様な事は絶対にしないでください。今回は20年前に行きひいお婆様に会いに行くと言う事なので、それ以外の人との接触は避けてください」


「例えば過去のお父様やお母様に会うとかは絶対にやめてください。下手をしたら貴女の存在自体が無くなりますので」


「更に自分が未来から来た事も内緒でお願いします。これは貴女の為でもあります。もし過去の人に未来から来たとバレたら大変な事になります。なので、絶対にバレない様にお願いします」


「更に――――」



こうして長い長い説明を受け最後に命の危険があるかもと言う説明を受け契約書にサインもした。


「でわ…20年前の世界へ行ってらっしゃい」



1人乗り用のコンパクトサイズの車みたいなのに乗り私は過去へと行く。



「は、博士!!大変です!」


「なんじゃ?どうした新月くん!」


「タイムマシンで設定したのは20年前の2060年だったんですが…」



まさかこの旅が一生の思い出になるなんてこの時の私は思いもしなかった――



「どうやら70年前の2010年に向かってる様です」


「な、なに〜〜〜」







2010年12月30日夜



「うぅ〜さっぶぅ〜」


私はタイムマシンを出てお爺ちゃんが渡してくれたジャンパーやマフラーを装備していた。

しっかし20年前なのにこの寒さは何よ?

2080年は気温とかはコンピュータで制御していて基本的に生活しやすい温度を保っている。

20年前もそんな物だと思ってたけど、くそ寒いじゃない!!



「え〜と確かこのアプリを開くんだったわね」


私は携帯を取り出し新月さんに貰ったアプリを開く。

このアプリを開くと過去の時代の電波を読み取りその時代に合わせた携帯になる…とか。

その電波を読み込んでるのか、ダウンロードゲージみたいなのが出て5%…10%と増えていく



「に、してもここ何処だろ?公園??みたいなのあるけど…」


ゲージが貯まるには、まだ時間がかかりそうなので私はタイムマシンをミラージュライトで背景と同化させ少し歩く事にした。

歩いていると公園の入り口が見えそこには『白金公園』と書かれていた。


白金公園しろがねこうえん…??知らないなぁ…」


そう思ってた時だった。

公園の中から歌声みたいなのが聴こえてきた。


「綺麗な声ね…」


私は声の主が気になり公園へ入る事にした。

その公園は特別広い公園じゃなかったので、すぐに声の主を見つける事が出来た。


暗くて顔は良く見えないが、踊りながら歌ってるみたいだ。

私は更に近づく事にした。


その女の子との距離は縮まり完全に目視出来ていた。

しかし私は女の子の後ろに居たみたいで、その子の顔を見る事が出来なかった。

そんな時



ぴろん


と携帯が鳴る。

どうやら先程のアプリのダウンロードゲージがMAXになったみたいだ。


「誰か居るの?」


私の携帯の音を聞いて驚いたのか女の子が振り向く。

振り向いた女の子の顔を見た私は


「えっ?」


と声を漏らして驚く。

何故なら私と同じ顔をしていたからだ。(正確には似てる顔)


そして携帯を見ると{2010年}と表示されていた。

2010年…??えっ?2060年じゃなく2010年??70年前??

じゃあこの子は…?私と同じ顔をしたこの子は……もしかして……??




「そんなバナナ」

私は思わずそう呟いた。




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