第12話ダジャレを阻止せよ
ダジャレを言うまで後10分…9分59秒…58秒
俺は今急いでいる。
学校が終わり部活をしてない俺はクラスメイトと軽く談笑をしていると――
「むっ!これはっ!!」
「あっ!お、おい!ル!どーした?」
クラスメイトの声を無視し俺は教室を飛び出す。
何故なら嫌な予感がしたからだ。そのまま学校を出て家を目指す――
※
「でさぁー!
「えっ?なにそれウケる〜!天然過ぎだよ由衣は」
「え〜〜?だってうなぎじゃなくてうさぎって聞こえたんだもん」
「あ、でもそれならこの前、
「えっ?私が?なんかあったっけ律?」
「覚えてないの〜?先週の…」
と1人の女子中学生は目線の先に走る人物に気付き立ち止まる。
「あれって律のお兄さんじゃね?!」
長い黒髪に眼鏡が特徴の如何にも優等生と言った感じの女の子がそう言った。
「い、いや…
真ん中の綺麗な黒髪をツインテールに結んだ可愛らしい顔立ちの女の子が顔を引き攣らせながら言った
「えっ?でもあれ律ちゃんのお兄ちゃんだよ!
と、断言する茶色がかったセミロングで胸元がふくよかな女の子。
「だからあれは!知らないって!」
律は強く反対するも
「ううん!あれは律ちゃんのお兄ちゃんだよ!」
と引かない由衣。
そのやり取りを見る
「その辺でやめてあげな」
と由衣を制す。
由衣は{えっ?}と状況が分からないと言う感じで、律は下を向いて頬を紅潮させていた。
ダジャレを言うまで後6分20秒…19秒…18秒
※
「あっ!鈴林さん!」
走ってると知ってる声が聞こえてきた。
声の方を見るとそこには可愛い女の子が手を振っていた。
「夢ちゃん!!何してるの?」
その女の子は今をときめくアイドル
流石しっちーの妹だけあって可愛い!
10月と言えどまだ暑いからスカートを履いていて都会のギャルって感じの服装だが、どこか清楚感もあるのは白が基準のコーディネートだからだろうか。
「来年鈴林さんと同じ
「へ〜彩月に来るんだ?!」
「はい!そーなると先輩ですね!鈴林先輩!!」
可愛い子の先輩呼びに思わず{ドキッ}としてしまう。
こんな可愛い子が後輩かぁ…放課後図書室で勉強教えたり昼休み2人きりで弁当食べたり…はたまた一緒に下校したり…
「先輩…」
そう言いながら{もじもじ}する夢ちゃんに
「どうしたんだい?」
とかっこよく返事する。
「私まだ…帰りたくないです」
そう言う夢ちゃんの頬は紅潮していた。それは決して落ちていくオレンジの夕陽のせいではない。
「だったら…どうしたい??」
俺は意地悪な感じに聞く。もう答えは分かってる!でも女の子から聞きたいのだ。
「キス…してほしいです…」
真っ赤な顔をして恥ずかしそうに言う。
そして俺達はお互いの唇を重ね―――
「鈴林さん!!」
「はっ!!!?」
おっとどうやら童貞丸出しな妄想をしていたみたいだ。
安心してくれ!今までのは俺の妄想だ!!
……ん??そー言えば何か忘れてたような……
「あっ!!!」
忘れていた大事な事を思い出した俺は声を荒げた。
「ごめん!行かなきゃ!もし何かあったらラインして!んじゃ!」
そう言って俺は走り出すのだった――
ダジャレを言うまで後2分5秒…4秒…3秒
※
「お邪魔しま〜す」
そう言って私は家の中に入る。
家の作りは隣の私の家と似ているし何度も来てるから私は迷う事なくリビングに行く。
「
「
「使うわよ〜未来の娘なんだもん♪」
「ちょっ!へ、変な事言わないでください!!」
「美向が言ってたわ美影はよく出来た子…どうだ!これ―――
※
ダジャレを言うまで後30秒…29秒…
「はぁ…はぁ…」
正直休憩したいほど辛い。
途中で夢ちゃんと話したとは言え学校からフルで走ってる。
だが、目標まで目と鼻の先だ!
ガチャン!!
勢いよく玄関を開け{ドタドタ}とリビングに向かう
「美向が言ってたわ。美影はよく出来た子…どうだ!これが私の娘よ!daugh―――」
「言わせるかぁぁぁぁ!!!」
夏子の話に割って入る麟太郎。
急に入ってきた麟太郎に驚く2人。
ダジャレを言ったらこの話が終わる。
もっと出番が欲しい俺は何とかダジャレを阻止する事に成功した!
しかし
「ちょっと麟太郎!!靴のまま入ってきたの!?」
そう!急ぐあまり靴を脱がなかったのだ。
「あ、ごめん!脱いでくるよ」
「それと床もちゃんと拭いてね!!!」
「オカンがおかんむりだ…」
いや、俺が言うんかーーい!!!
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