第9話優しさがボクを悪者にした(後編)
2100年
タイムマシンで僕と博士は本来の時代に戻ってきた。
戻ってきた場所は、タイムマシンを開発した研究所だ。
博士はすぐさまモニターで外の様子を確認する。
「な、なんじゃこれは……」
そんな声に釣られて僕もモニターを見る。
モニターには、水しか映ってなかった…つまり過去に行く前と何も変わってなかったのだ。
「過去は変わったんじゃないんですか?」
「わ、分からん…ん?
「あ、はい!」
僕は一通のビデオメールを開く。
「くらちゃん、このメールを見てると言う事は無事に戻ってきたんじゃな」
ビデオメールを開くと先程まで一緒に居た壊さんが映った。
「時間がないので要件だけ言う。すまぬ、、メテオインパクトは防げなかった。色々あって儂は追われていてな…急がないといけないんじゃ」
その言葉通り壊さんは何かに追われてるのか後ろの方では雑音が騒々しかった。
「くらちゃん達が未来に帰る時に見せた宇宙人は分かるよな?隕石はあの宇宙人が落とした物だと調査の結果分かった―――
壊さんの後ろで
「見つけたぞー!あそこだー!」
と言う声が聞こえてきた
―――おっと、ここまでのようだ。詳しくはデータを調べてくれ!」
こうして壊さんのビデオメールは終わった。
その後すぐ博士は、この世界に何が起きたのか調べ出した。
そしてすぐに口を開く
「あった!この記事じゃ」
博士は、モニターに見つけた記事を映す。
記事には{世紀の裏切り者一片壊}や{人類を滅ぼした者一片壊}等の見出しがあった。
その内容は、地球を滅ぼす為に捕らえていた宇宙人を逃した…みたいな事が書かれていた。
僕はその記事を見て胸が苦しくなる。
なんで……なんでこんな事に…
僕はただ助けたかっただけなのに……
壊さんに申し訳なくて、何も知らないのに好き勝手書いてある記事には怒りもあって、裏切られて困惑した気持ちも他にも全部全部色んな感情が混ざり合って――僕は涙を流す。
「ど、どーしたんじゃ新月くん!?」
涙を流す僕を心配して博士は声をかけてきた。
僕は自分の犯した罪を語る事にした。
「宇宙人を逃したのは僕です…」
「な、なんじゃと!?」
「宇宙人が僕に言ってきたんです…そこの赤いボタンを押せ、、と」
「ボタン…??」
「部屋を出る時に僕は宇宙人が言ったボタンを押したんです。だから多分そのせいで宇宙人を…」
「しかし何でまた?」
「あの宇宙人が僕に助けを求めたからです!!!助けてくれ…助けてくれ!って何度も何度も言ってきたんです。でもまさかそのせいでメテオインパクトが起きるなんて…」
それだけじゃない。
僕のせいで壊さんにまで迷惑がかかった。
人類が滅んだ…全部、全部僕のせいだ…!!
思いや後悔が涙として溢れてくる。
この世界を壊したのは僕だ。その事実が僕を責める。
僕はただ助けたかっただけなんだ!
可哀想に見えた宇宙人を助けたかっただけなんだよ!!なのに、、何でこんな事に!!!
「うっ…うぅぅ」
嗚咽が溢れる。
もう僕はどーして良いのか分からなかった。
「わしには威嚇してるように聞こえたの…」
博士がポツリと呟いた。
一瞬何のことか分からない僕は
「え…???」
と聞き返した。
「いやの…新月くんが宇宙人は助けを求めてると言ってたがの…あの声わしにはここから出せ!絶対に許さない!やここにいる奴ら皆ぶっ殺してやる!と言ったような威嚇に聞こえたんじゃよ」
更に博士は言葉を続ける
「かいちゃんが言ってたがの、あの宇宙人の声は人それぞれ聞こえ方が違うそうでな。新月くんの様に可哀想等と思う人は操られるみたいなんじゃ」
操られる…?え?それって…??
「まあ、つまりじゃの…新月くんは操られてただけだから自分を責めるもんじゃない」
「嘘だ…博士は嘘を言ってる」
「何故そう思うんじゃ?」
「だって壊さんと2人でそんな話いつしたんですか?僕ずっと一緒に居ましたよ!?」
「え?いつって…かいちゃんと別れる時じゃよ」
壊さんと別れる時?2人きりになるタイミングなんてなかった様な……い、いや、そう言えばあった!
てっきり別れ話をしていると思ってたけど本当はそんな話をしていたのか…。
「じゃが、一つ分かった事があるの」
「そーですね!」
僕は服で涙を拭いた。
分かった事と言うのは、メテオインパクトが宇宙人の手によって起こった事。
そして僕がその宇宙人を逃がしたから起こったんだ。
つまり…宇宙人を逃さなければメテオインパクトは起きない!!!
「しかし…時のカケラはもうありませんよ博士」
「うむ…過去に置いてきたからのぅ…時のエネルギーも帰る分だけしか貯めてなかったしの…」
そうなのだ。
僕らは過去に時のカケラを置いてきたので、もうタイムマシンを乗る事は出来ないのだ。
他に代用できる物もないし僕らはお手上げ状態だった。
「そもそも時のカケラって何で持ってたんですか?」
僕は長年の疑問をぶつける。
「うむ、わしの父親が言うには、ある日自分宛に届いた手紙と一緒にあったって言ってたぞ」
「ある日突然ですか…まるで僕らが過去の博士に贈ったみたいな状況なんですね」
ん??
自分で言って気付く
「それだ!それじゃないですか!」
「お、おう!それじゃのう」
つまり時のカケラは僕らとは別の未来人が持ってきたんだ。
それも多分博士の父親の知り合いだ!
博士や博士の父親は学者をやっていた。不思議な物を研究する学者だが、知名度はそんなになかった。
なのに博士の父親に時のカケラを渡すと言う事は、知り合いかもしくは博士自身しか居ない。
いや、むしろ博士自身だと考えた方がしっくりくる。
博士の父親本人の可能性は低い。年齢的にもだ。
何故そう思うのかと言うと僕らは時のカケラをずっと研究してきて、やっとカケラが生成する時流エネルギーをコントロールする事に成功したんだ。
って事は、少なくとも2100年以降の年代でタイムマシンは作られた可能性はある。
って事は、別の未来の博士かその息子さんかはたまた僕が過去に行き時のカケラを渡したと考えるのは自然な事だ。
それはそうと時を操ると言えば昔に宇宙人が撒いたコロリウイルスも2週間ぐらい症状を出さないって言ってた…それって言い換えれば2週間程の時を操ってたと考えられないだろうか??
ん?だとすると……あの宇宙人は時を操る事が出来たって事??
その宇宙人が隕石を落とした……
も、もしかして!!?
「は、博士!!隕石です!隕石を調べてみましょう!!!」
「はて?隕石??」
僕は自分の考えを博士に話した。
「ふむ……しかしのぉ新月くん、、隕石が時のカケラの本体だとしたらあの隕石は時流エネルギーを発生させる訳じゃろ?そんな物宇宙人が落すかの?」
確かにそうだ。
コロリウイルスも時流エネルギーを利用した物なら宇宙人からしたら時流エネルギーは武器だ!
そんな大事な物をわざわざ落すのか疑問に思うのも無理はない。
しかし今は藁にもすがる状況!考えられる物は何でも使う!
「それと新月くん今この星は全て水の底じゃ……隕石は残っていても海底じゃぞ」
そう……だった!
僕はどうしようもない現実を叩きつけられ頭が真っ白になる。
せっかく可能性を見つけたのに……もう駄目なのか……
そう絶望しかけた時
「いや、待てよ」
博士が何か思い出したのか研究室を飛び出して行った。
この研究室を出ても風呂場やトイレやキッチンぐらいしかなくて、あとは3部屋個室があるだけだ。
多分博士は自分の部屋に行ったのだろうけど……どうしたんだろ?
「やっぱりじゃ!流石かいちゃんじゃ!」
そんな声が響いてきて{バタバタ}と駆け足で研究室に博士は戻ってきた。
「隕石あったぞ!」
そう高らかに言い手に持った石の破片を見せる博士
「え?これ隕石ですか??」
「まあまあ、1から説明する。かいちゃんのビデオレターは今から21年前の物じゃった。つまり過去に行った世界の4年後と言う事じゃ。それから察するに隕石が落ちた時期が早まったのが分かるじゃろ?そしてかいちゃんは追われてしまう。しかしじゃ、かいちゃんはイシスの総司令!ただでは転ばん!!それもわしらの事情も知っておるからの」
「つ、つまり…?」
「かいちゃんなら何かしら掴んでわしに預けると信じた!その結果わし宛に荷物があってな…丁度21年前に届いていた。この隕石がな!!」
「し、しかし幾らなんでも出来過ぎじゃありませんか!?!」
「まあまあ、ええじゃないか。この話もダラダラ続けても面白くないじゃろ」
「え?何のことですか?」
「こっちの話じゃ。それよりほれ隕石が時のカケラじゃと証明する為に調べようじゃないか」
僕らは隕石を調べた。
その結果時のカケラと同じ物だと判明した。
それから僕らはタイムマシンに乗りまた過去戻るのだった。
今度こそ人類滅亡の歴史を防ぐ為に…!!!
「僕らは
「メシアか…ええのう。そう言えばこんなダジャレがあったのう。
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