第7話優しさがボクを悪者にした(前編)
カチャカチャとキーボードを叩く音が響く。
パソコンの前で男が独り言を言っていた。
「あと少し…あと少しだ…」
どこかの研究室みたいな空間に二人の男性がいた。
一人は40代ぐらいの男性で、パソコンの前でカチャカチャとやっている。
もう一人は白髪が頭の7割ぐらいある老人だ。
「これがこれで…
カチャカチャカチャカチャ……バン!
…出来た!」
勢いよくキーボードを叩き40代ぐらいの男性は歓喜した。
「
「はい!博士!やっと解析完了しました!あとは、時のカケラをタイムマシンに装着すれば過去に行けます!」
「でかした!!メテオインパクトから20年…長かったのぉ」
「やっとですね。これで人類滅亡の危機を救えますよ」
「でわ早速、タイムマシンを起動しよう!」
「はい!博士!時代はどうしますか?」
「そうじゃのう……」
*
今から20年前、隕石が地球に落下した。
隕石が落ちた衝撃で大地は割れ海は波打ち大陸は海の底へ沈んでいった。
1つでそれ程の被害を受けるのに、なんと隕石は世界各地に落下した。数は20個までは数えられた。
こうしてあっという間に地球は水の星となり人類は滅びたのだ。
いや、正確には滅びたと思われた。
日本のある場所で、隕石が落ちる事を予測しそれに対処する為研究をしていた人達が居たのだ。
時のカケラと言われる青白く輝く宝石の様な物があった。
どうやらこのカケラには、時を操れるエネルギーの様な物が備わってるらしく
そのエネルギーを流用出来ればタイムマシンが作れると言うのだ。
そしてメテオインパクトから20年の月日を経てタイムマシンは完成した。
タイムマシンを完成させた2人は、この時代から25年前……つまりメテオインパクトが起きる5年前の2075年にタイムスリップをした。
*
2075年
タイムマシンはそれほど大きな物じゃなく車ぐらいのサイズと思ってくれていい。
なのでタイムマシンを隠す事も簡単だ。
25年前と言えど、この5年後には水の世界に変わるので全てが久しくて新月と博士は涙が溢れそうになる。
だが、感傷に浸る場合ではないと気を引き締める。
過去に戻ってきた理由は二つある。
一つは5年後のメテオインパクトへの警告。
二つ目は時のカケラの譲渡。
他にもメテオインパクトで亡くなった家族に会いたいとか様々な理由はあるけれども主な目的はこの二つである。
二つ目はどうにかなるとは言え一つ目は難しい。
想像してほしい、いきなり2人の人間が{未来からやって来た}と言い5年後に世界が滅びるなんて言っても信じられないだろう。
例え水の世界になった未来の写真や動画なんかを見せても加工だとか言われ信用はされない。
かと言って日本のトップが信じてそれを報道したとしても国民は大半が信じないだろう。
それどころかタイムマシンなんて物を公開したら争いが起きるかも知れない。
「困ったねえ新月くん…」
「しかし博士!人類を救うには信じてもらうしかありません」
「うむ…。それより新月くん。君は《イシス》と言う組織を知ってるか?」
「イシス?神様とかにそんな名前居ませんでした?」
「うむ。由来はその神様からなんじゃが、今から約50年ぐらい前……わしらの時代からは70年ぐらい前になるかの。2020年頃に人類の生活や歴史を変える殺人ウイルスが流行ったのを知ってるか?」
「2020年って産まれてないので分かんないですが、なんか聞いた事はありますよ。コロ…コロリ?でしたっけ?」
「コロリウイルス…これに感染した者は死に近づく危険なウイルス。このウイルスの厄介な所は、自覚症状がないのに飛沫感染してしまう所だ」
「自覚症状がない…?」
「例えば風邪ならば咳をしている人に近付かなければ良いが、このコロリウイルスは人体に入り込んで2週間後に症状が出る。つまり感染して2週間ぐらいは熱もない普通の状態なんじゃ。しかし感染はしてるから、飛沫でウイルスが飛ぶ。感染者は無自覚に感染源となるのじゃ」
「恐ろしいウイルスですね…」
「このウイルスは表向きは動物が持ってきたと報道されたが、実はこのウイルスはの…宇宙人がばら撒いたんじゃ」
「えっ!!!?宇宙人……ですか??」
「この宇宙人と我々地球人は実は昔から争っていての。その宇宙人と戦う組織がイシスなんじゃ」
「話がぶっ飛んでいて理解が追いつきませんよ」
「そうじゃろうな。じゃが、詳しい話は後々するとして、、そのイシスになワシの古い知人がおるんじゃよ」
「なるほど!宇宙人を相手にしてる組織の人間ならタイムマシンとか信じてくれるって事ですね!」
「なんじゃ、いきなり物分かりが良くなったの…」
「尺の問題です!」
こうして2人は対宇宙人対策組織【イシス】の総隊長に会う事になった。
総隊長の
「おぉ〜かいちゃん!」
「くらちゃん!久しぶりじゃの〜」
そう言ってお互いハグをする。
「しかしくらちゃん!だいぶ老けたの〜」
「説明は後でする。例の場所用意してくれたかの?」
「勿論じゃ!儂にかかればすぐじゃよ」
こうして
ここにはパイプ椅子があり小さいテーブルが一つあるだけだ。
それぞれ飲み物をテーブルに置き椅子に座る。
「ここは完全に外と隔離している。特殊な電磁波を常に発しているから盗聴等の心配もないぞ」
「すまんの〜かいちゃん」
そんな会話を横に僕は、ある事に感動していた。
「は、博士!この椅子!凄いですよ!」
「新月くん!どうしたんじゃ?」
「一見古くからあるただのパイプ椅子ですが、これ座った人の体重を認識してお尻の負担を和らげてます!」
「なんじゃ、座った事なかったのか?」
「はい!これめちゃくちゃ良い椅子ですね!」
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