第5話夏休み2

夏休みと言うのは大概暇だ。

友達皆でプールに行く?BBQする?悪ノリの延長でナンパする?…そんなの一部の人しかしない。

かと言って引きこもり過ぎも良くない。


今年の夏は例年類を見ない暑さらしい。

毎年言ってる気もするが、毎年暑いのだ。

クーラーの効いた家でのんびりしたってバチは当たらない。



「さて、と…リビングに行きますか。」


俺はそう呟いて部屋を出る。

部屋を出るともう一つ部屋があるが、それを横切って階段を降りる。

階段を降りてすぐの所にはトイレや風呂場とかがあり、俺はそれらを無視しリビングへと向かう。

リビングへと繋がる扉が閉まっていたので、開けて入る。


入った瞬間、涼しい風が俺を迎えてくれる。


「ちょうど良かった。ソーメン出来たわよ」


リビングでは、ソファに寝転ぶ妹。台所で昼飯の準備をする母親。テーブルにお皿とか置いて母親の手伝いをする美影。

さてさて、お腹も空いてるし頂くとするかな。



って!!!



「なんで美影みかげが居るんだよ!!!!」


よく見たらこの前選んだ肩出しのワンピースを着てる。


「その服可愛いな」

思った事だから素直に褒める


「えへへ〜ありがとう」


「で、何で居るんだよ」

俺は昼飯の準備を手伝ってる美影をよそに席に着く。


美向みなたが、今忙しいでしょ?だから頼まれたのよ」


美向みなたと言うのは、美影の母親の事だ。坂氷美向さかごおりみなたの名を知らない人は居ないと言えるほど有名な女優さんだ。

因みにアフタヌーンガールズと言うアイドルグループの二代目リーダーだった人だ。

過去形なのは、もうアイドルを卒業してるからだ。


何故こんな説明をしたかと言うと、ウチの母親はそのアフタヌーンガールズの初代リーダーだったからだ。



「お母さんもまだ芸能界居たら忙しかったんじゃない?」

と、いきなり話に入ってきたツインテールの可愛い女の子は俺の妹のりつだ。


律も手伝いご飯をテーブルに用意して皆それぞれの席に座った。


「私に演技は無理よ」


「演技じゃなくて歌手として!」


「それより早く食べないと冷めるわよ」


「ソーメンだから冷めてるけどね」

俺は呟くように突っ込んだ。


そして各自食べ始める。

食べ始めてすぐに律が口を開いた。


「んっ!!?このスープ薄いよ!!」


「え?―――

母親は律の言葉を聞いてスープを一飲みする

―――あらやだコンソメが足りなかったわ。ちょっと作り直すわね」


「お母さんにしては珍しいね」


各自のスープを鍋に移しながら母親が{ペロッ}と舌を出して謝罪する

「アイムソーメン」



コーンソーメンってか。

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