第4話夏休み

俺は至って普通だ。

何事も普通が1番良いのだ。

リンリンリンと言うあだ名からして普通じゃない、とか母親の存在からして普通じゃない、とか色々言われたりするが

俺は普通になりたいんだ。


とにかく目立たない。

それだけを目指して生きてきた。

何故そんなに普通になりたいのかは、次話辺りで触れるだろう。

今はそんな事より、俺と幼馴染の美影は無事に赤点を免れ夏休みを堪能していた。


夏休みに入って1週間ぐらい経った時に美影からラインが入った。

【どうせ暇でしょ。買い物に付き合ってよ】

内容はこんな物だった。


どうせ、と決めつけてきたから無視してやった。

未読スルーじゃなく既読無視だ!!ふはは!クラスの男子が美影と遊びたいだの、付き合いたいだの、思ってるが

そんな美影の誘いをガン無視してやったのだ!はーはっは


なんて思ってた時にもの凄い足音が響いてきて、それは俺の部屋の前で止まり部屋の扉が思いっきり開いた。


美影の襲来だ。

しまった!と思ったのも束の間


「なんで無視するのかな〜??」

口調がおで、言いながら卍固めを喰らわされ


「ギブ!ギブ!」

と言うとベッドに向かってジャーマンスープレックスを放たれた。


こうしてボコボコにされた俺は、美影の買い物に付き合う事になったのだ。(過去形に注目)



「ルーくん!こっちとこっちどっちが可愛い?」



おっとすまない。また雑音が聞こえたな。

そうそう、あの騒がしい幼馴染の美影が夏休みの最初の1週間音沙汰なかったのは、その1週間で宿題を終わらせたからだ。

正確には終わる物を終わらせた、だが。


美影の持論としては、めんどくさい物は先に終わらす!と言うのがある。

これは確かに理に敵ってる。


結局しなきゃいけないのだから後回しにしても意味ないんだよ。

だから先に終わらすのは良い事だ。


「ルーくーん???」


おっと、怒りの籠もった口調になってきた。

これは無視すると命がヤバいのでそろそろ相手をしなきゃ。


「今良いところだったのに、何だよ!」


「良いところ??何が???」


「いや、忘れてくれ。んで?」


「だーかーらー!このワンピースどっちが似合う?って聞いてるの!!」


そう言って美影は、2着のワンピースを自分にあてがう。

ぶっちゃけ美影に似合わない服なんてない。こいつは何でも着こなす。

でも適当にそれ良いじゃんって言うと怒るから真剣に評価しないといけない。


さて、1着は緑がベースの花柄のワンピースだ。

髪を両サイド三つ編みにして麦わら帽子なんか被ったら夏らしくなって良いんじゃないか。

でも俺は三つ編みは好きじゃないから却下。


さて、2着目は真っ白なワンピースだ。

白のワンピースは、純粋な可憐な少女をイメージする。

美影は綺麗な長い髪をしているからこのワンピースは見事に似合う。

だが、これは少女過ぎる。いや、可愛いけどさ!

それに白は……ねえ?透けるだろ?美影みたいな美女が下着を透けさせてたらそれはそれで問題だ。なので却下。



「どっちも駄目だ」

俺はそう言った。


「えー!可愛いのに!」


「これだな。」

俺はそう言って1着のワンピースを渡す。

それは黒をベースにした真ん中にベルトが付いていて、肩が露出してる大人っぽい物だ。


「これ、肩露出してるじゃん!ちょっとエッチじゃない!?」


「今時の高校生が肩出しぐらいで狼狽えるな!パンツが見えるぐらいのダメージジーンズとか履いてる人も居るだろ!それに比べて肩出しぐらいは普通だ!」


「そ、そうなの??」


「なんならもう一段階上のこの全体的に透けてるワンピースでも良いんだぜ?」


「これは流石に無理!!」


今時のJKってエロに耐性が緩くなっていて、パンツ見られるの平気みたいな奴が多いのに美影は、その辺の耐性がない。

それも美影の魅力の一つだが、流石にこのままじゃ硬すぎる。この辺で少し耐性付けとかないと。


「じゃあ、これで良いんだよね?」


「おう!」



こうして美影の服を買った俺達は一息つく為自販機に向かった。

お金を入れ何を買おうかと思案していたら


「えい!」

と言う声と共に{ガチャン}と何かが出てきた音がした。

恐る恐る開けてみると


「おい!!!コーンスープじゃねえか!!このクソ暑い時期にやってくれたな!!」


「えへへ」

そう言ってイタズラそうに舌を出す美影。


「あつっ!」

取り出そうと缶を持つと熱くて触れなかった。

仕方なしに服の裾を引っ張って缶を取り出す。



このコーンスープを飲みやすくする為少し冷めるのを待つ間、俺は美影を見ていた。

美味しそうにゴクゴクと炭酸を飲んでいた。

ムカつく。何か仕返し出来ないか??

もういっそオッパイ揉んでやろうかな。

そんで、きゃっ!やめて!なんて言って恥ずかしがる美影を尻目にそのまま大胆なキスして舌も入れてやろう。


おっと、童貞バレバレな妄想をしてしまった。

しかも外だ。危ない危ない。続きは夜楽しむとして、そろそろ飲みやすくなった。


俺は真夏の炎天下の中あったかいコーンスープを一気に飲み干した。


「さっすがルーくん!」

そんな賞賛を無視して俺は缶の底を叩いていた。


「どうしたのルーくん?」


「コーンが出てコーン!」


「それは、おコーン」



コーンな締め方どっすか??




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