第2話報酬に…

俺の人生は至って普通だ。

普通に生まれ普通に小学生を卒業し普通に中学生も卒業し、そして普通に高校生を全うしてる。

取り柄もなければ特技もない。

友達も多くなければ少なくもない。

テストだって中の中だ。

人の在り方は名前で決まる…なんて言うけど、まさにその通りだと思う。

鈴林麟太郎すずばやしりんたろうついたあだ名はリンリンリン。

このあだ名も最初だけで、リンリンと略されリンと略されRと略され…今では"ル"と呼ばれたりする。

いや、ルって!せめて"リ"にしろ!って思うけど、それじゃ理解の"り"や了解の"り"と被るから駄目なんだって説明されて妙に納得しちゃった自分が悔しい。


そんな普通な俺なんだが、普通じゃない事がある。

実はを駆ける大泥棒!……とか、を助けるヒーロー!……とかを仕掛けるボランティアマン!……とか、そんな事は無い。

何度も言う、俺は至って普通だ。



「ねえ!ルーくん聞いてるの?」



今雑音が聞こえたと思うが無視してくれ。

俺には趣味がない。好きなテレビとか音楽とかもない。

妹は一人いる。


え?それだけで勝ち組だって??

それは否定しない。悪いなそれは否定しないぞ!

妹は可愛い。2個下の中3だ。

うちの妹は街中でスカウトされたぐらいに可愛いんだぞ。大手芸能事務所だったなぁ!

だが、妹は芸能活動に興味ないとかで断っていた!!


それぐらいウチの妹は可愛いのだ。

それに比べて俺は普通過ぎるほど普通。



「ねえ!なんで無視するの?ルーくん!」



「おっとまた雑音が聞こえたな」


「ちょっと!!雑音って何よ!!!」



しまった!つい口に出してしまった。

おかげで隣の女はご立腹だ。


「いつも言ってるだろ美影!俺とは関わるなって!」



「なんでよ!ルーくんとは小さい時から一緒だったじゃん!!」



この隣の女は、追春美影おいしゅんみかげ

美影の母親と俺の母親が親友同士で、所謂幼馴染ってやつだ。

普通の俺の普通じゃない事は、この幼馴染だ。


美影は見ての通り綺麗な長髪が似合う美人だ。

美影の母親……と言うより…いや、この説明はいつかまた!って事にして

とりあえず美影の可愛さは血筋だと言う事を強調したい!美影の母親はすっげー美人なんだ。


それだけじゃなく美影は頭も良い、運動も出来る、そのくせ性格も良いから人望もある。

まさに俺とは正反対な人種だ。


俺なんかせいぜい美影をオカズにシコるぐらいしか出来ない普通の人種だ。

そんな俺が美影から距離を取りたくなるのも理解してほしい。

俺が月なら美影は太陽。決して交わる事はない。

そんな存在の二人が幼馴染??ぷぷぷ笑っちゃう!あぁ!笑っちゃうよ!



「ねえ!ルーくん!聞いてる?」


「なんだよ!今いい所なんだよ!」


「え?何が?」


「あー、忘れろ。で?」


「あ、そうそう!今日のテスト勉強ちゃんとした?」


「したよ!多分大丈夫だろ」


「多分じゃ駄目だよ!赤点取ったらどうなるかの!!?」


「報酬にが貰えるだろうね…」

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