第五十二時限目

「ついでにお前も捕まえた」






嬉しそうに歯を見せて笑い、あたしを抱き締めた拓はあたしの耳元でこう囁いた。






「許してくれますか?」






もし




もしこれがただの夢なら、目が覚めた時のあたしはもう生きて行けない。





「…もう離れたりしない?」




「しない」




「もしかしたらやっぱり兄妹かもよ!?」




「輸血出来るな。あれ?兄妹じゃなくても出来んのか!?」





でも、拓の温もりがちゃんと伝わる今




あたしはようやく目が覚めて素直にならなきゃいけない。





「拓」




「ん?」




「一緒に宮城帰ろう!?」




「…うん」





拓の腕から離れ、あたしは精一杯の勇気を振り絞る。





「好きなんだからね」



「はい」




「あたしは拓がずっと大好きなのっ!!」



「ついでにお前も捕まえた」






嬉しそうに歯を見せて笑い、あたしを抱き締めた拓はあたしの耳元でこう囁いた。






「許してくれますか?」






もし




もしこれがただの夢なら、目が覚めた時のあたしはもう生きて行けない。





「…もう離れたりしない?」




「しない」




「もしかしたらやっぱり兄妹かもよ!?」




「輸血出来るな。あれ?兄妹じゃなくても出来んのか!?」





でも、拓の温もりがちゃんと伝わる今




あたしはようやく目が覚めて素直にならなきゃいけない。





「拓」




「ん?」




「一緒に宮城帰ろう!?」




「…うん」





拓の腕から離れ、あたしは精一杯の勇気を振り絞る。





「好きなんだからね」



「はい」




「あたしは拓がずっと大好きなのっ!!」



あたしと拓を繋ぎ戻してくれた土地。




そして




拓のお母さんが眠る所でもある街…





あたしにとって一生忘れる事が出来ないこの風景は、多分薄れる事無く瞼に焼き付いたままになるはず…






「じゃぁ帰ろっか!」



「あ、待て」




「何?」




「今日が記念日だからな」




「分かってるよ」




「後さ…」




「何っ(笑)」





あたしの前に、拓が手を差し出す。





「繋いでやる」




「…繋がれてやるよっ(笑)」





ギュッと握り合うあたしと拓の手。




あたし達の居場所は、お互いの隣…




それって何より幸せな事なんだよね…?





「拓~?」




「あ?」




「湿布用意しとくね(笑)」




「え、何故っ…」




「頑張れ~(笑)」





こうしてあたし達は富山に別れを告げ、故郷である宮城へと舞い戻った。



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