第20話 その二十 特別編 秋山瑞人

 秋山瑞人は天才である。異論は認めない。

 漫画ばかり読んでると思われる私ですが、活字もちゃんと読んでます。秋山瑞人はライトノベルじゃねーかと言われるかもしれませんが、ライトノベルの青春群像が陳腐だとは断言できないでしょうし、村上春樹がラノベを書いても売れる作品にはならないでしょうね。

 あ、一応言っておきますと、ローマ人の物語とか、逆説の日本史とか、十八史略とか、司馬遼太郎とか、大学での経済学の本とかもちゃんと読んでますよ。純文学は太宰ぐらいでしょうけど…。あ、三島も読んでました。


 それで現在進行形で私が天才と認める作家は三人いるのですが、その中で最も私に影響を与え、最も遅筆で寡作なのがこの方です。

 発表された長編作品は6作。うち完結したのが3作という……。それも1作はノベライズですしね。

 E.G.コンバットの最終巻はやっぱり出ないんだろうなあ…。


 さて、今回取り上げるのは『猫の地球儀』と『イリヤの空、UFOの夏』の二作です。

 前者は私に深いトラウマを与えた傑作であり、後者は私のベスト・オブ・ライトノベル長編部門です。

 猫の地球儀の方が、未来の世界で廃棄された宇宙ステーションで、知能が発達した猫たちが生きていくという物語。

 イリヤの空、UFOの夏は、晩夏のほんのわずかな間に起こった、普通の少年と普通でない少女との物語。


 どちらも切ないんですよ。

 泣ける! とか力説はしないですけど、切なすぎて再読するのに多大な精神力を必要とするほど。

 傑作ではあるんですけど、同時にトラウマを与えてくれるというか、どうしようもない無力感に苛まれるというか、そういう物語です。


 海が――。とか「苦しまなかったであろう」とか、書いてるだけで頭の中身が「うあああああ」となります。

 イリヤなんて自分用と初版と布教用で3冊買いましたしね。うん、学生にはよくあることです。


 内容を説明するのは難しいのですが、私は猫の地球儀を読んで、絶対に猫は飼わない、と決めてしまったぐらいの作品ですし、イリヤはアニメの凡俗ぶりに怒りよりも悲しみを感じてしまいました。

 イリヤなんて無銭飲食列伝なんていうおちゃらけた話もあるので、本編とのギャップでよけい切なさが炸裂してしまうのです。

 ……それでも幽もイリヤも幸せだった、と思えてしまうのがなんとも……。


 こんなところを読んでるわけはないと思いますが、秋山さん、どうかミナミノミナミノの続きを書いてください。

 あんな序盤の謎が炸裂したところでおあずけを喰らっているのは辛いのです。

 佐藤御大は52歳でお亡くなりになったのですよ。どうか続きを書いてください。


 あ~、思い入れが強すぎて、どうしても散漫な文章になってしまいます。とりあえずイリヤの1巻をオススメします。EGコンバットの方はおそらくエタっているので、物凄く面白いですがオススメしません。

 ぐだぐだな文章ですが、金をもらっているわけでもないので、ここらでシメとさせていただきます。でわでわ。

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