第21話 その二十一 ディスコミュニケーション 植芝理一/講談社アフタヌーン
作者は植芝理一。掲載誌はアフタヌーン。
代表作はアニメ化もした「謎の少女X」でしょうが、私が好きになったのはディスコミュニケーションでした。
女の子と涎の交換をしたり、実の母に劣情を持ったりと、マニアというか変態チックな作品の多い作者でありますが、それでも現在はちゃんとまとめられていると思います。
とりあえず近所の古本屋にでも行って、一冊ペラペラとめくってください。
この作者は空白恐怖症なのかというくらい、無駄なのかそうでないのか分からない書き込みがされています。
新しい二作は作者の性癖を感じさせるものでありますが、ディスコミに関しては、作者の精神性がそのまま原稿に表れているような感じがして、非常に心理学的に考察してみたいものでした。
話の粗筋は、基本的に普通なはずの女の子戸川と、奇人変人の松笛君のお話なのですが…説明をするのが難しい。
怪異と言うか、UMAと言うか、この世とあの世の狭間にあるような、不思議な空間が出てきます。
松笛は正体不明の存在なのですが、むしろ正体を簡単に説明してしまえる存在ではないと思うのです。
一応伝奇的要素があって、冥界編などは心理学的考察が出来るような話なのですが、正直当時も今も、よく分かりません。
……この頃から考えると、本当に今の作者さんは、丸くなったと言うか、作風が変わったと思います。フェチなのは変わりませんが。
結局このディスコミュニケーションという作品は、松笛の謎が解明されないまま終わるのですが、それでもハッピーエンドです。
タイトルの通り、コミュニケーションが完全でなくても、恋人たちの関係は成立する。相手の全てを知ることなど出来ない。そういう意味で作者はこのタイトルを付けたのでしょうか?
今では古本屋を巡っても全てを揃えることは難しいでしょうが、ネット全盛の時代、amazon以外でも色々と入手方法はあります。
……学生時代京都の古本屋を巡って、必死で苦労したのもいい思い出。目に付く作品をとにかく読みまくり、知識は増えたと思います。
ネットのレビューとかを読んで作品を買う人もいるとは思うのですが、やはり佳作は足で探すものだと、私は今でも思っています。
(現在は電子でいくらでも手に入るようになりましたね。一部は除く)
……実家近くの目の付け所がいい本屋が潰れてしまったのは、本当に残念ですが。
今後も私の紹介する作品は、所謂「売れた」作品だけではないと思います。でも絶対に、どこか尖った要素はあります。
では今回はこのへんで。さよなら、さよなら、さよなら。
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