第19話 その十九 彼方のアストラ  篠原健太 集英社

 え~、この文章を最初に執筆していた時は、まだ連載中でした。


×××


 もうすぐ終わりそうな作品ではあるんですけど、多分この作品、同時に追っかけたほうが面白いと思うので。

 作者はスケットダンスの篠原健太。ジャンプで有名なギャグ漫画を描いていましたね。あれも普通のギャグとは一味違ったものでしたが。


 作者は新境地を求めたのか、昨今珍しいSF作品。しかも冒険物です。

 あらすじを簡単に言うと、人類が宇宙に進出するのが当たり前になった未来、学校のメンバー8人+1で、他の惑星で5日間のキャンプをすることになります。

 ちょっとどきどきしながらも、楽しげな一同。しかしそこにいきなり、謎の球体が出現。

 それに飲み込まれた一同は、宇宙空間に飛ばされてしまいます。

 幸いスーツを着ていたこともあり即死は免れ、周辺に漂っていた宇宙船に緊急避難することになります。


 ちょっとしたアクシデントもありましたが、なんとか全員無事に済み、連絡を取って母星に帰ろうとしたところで、通信機が壊れていることが判明。

 さらに自分たちのいるのが母星からわずか9光年のマラバではなく、5012光年離れた惑星の衛星軌道上だと判明。

 船の機能的には帰ることも可能なのですが、水や食料をリサイクルするシステムが壊れていて、どうしても帰還は不可能だと思われます。

 しかしここでヒロインその1アリエスさん、途中の惑星を経由していけば帰還が可能なのではと発言し、惑星のデータを拾って、5つの惑星を経た上で帰還できることが判明します。

 生態も違う惑星5つを巡り、母星へと帰る。冒険譚の始まり……でした。


 このまま冒険物でもそれなりに面白かったのでしょうが、とんでもないサスペンス要素が判明します。

 それが何なのか……ここで説明するべきかどうか、迷うのですが、書いてしまいます。いいですか? 書いてしまいますよ。

 このメンバー全員、命を狙われているようなのです。しかも内一人はその刺客ではないかと推測されます。

 それが誰か、なぜ狙われるのか、謎はそのままに、とりあえず一同は冒険の旅を開始します。


 不思議な、けれどSF的な生態の惑星を巡る旅で、9人はそれぞれのエピソードを語り、物語は続くのですが、4巻でそれが大きく動きます。

 ある疑問から、ある検査を経て、それまでの謎が判明します。それは確かに納得出来るものなのです。

 これで母星に帰る理由はさらに大きくなり、しかもついに母星の姿をその目にすることが出来るようになります。

 しかし、4巻の最後の数ページ。

 この作品には多くのミスリードがありましたが、決定的なものが判明します。

 それはそれまでの整合性の取れない理由を全て説明してしまうものであり、メタ的な読者にしか分からない、しかしあまりにも衝撃的な事実なのです。


 ……この作品、webコミックなんですけど、その次の38話が読めない期間になってたんですよ。

 もうググりまくって、一話飛ばして読んで、2ちゃんや他の提示版も読んで、納得するのですが、この展開、伏線の張り方、作者は神か! と思いました。

 SF作品の名作、あるいは古典として、もしくはSFサスペンスとして、この作品は4巻の時点で到達しています。

 残りのおそらくは数話、よほど無理やり読者を裏切らない限り、傑作認定していいでしょう。

 とりあえず私はレンタルで2度読んで、やっぱり買おうと思いましたが……なんで販売コーナーには置いてないんだよ!

 仕方なく注文しましたよ。


 とにかくね、4巻が衝撃的すぎて、続きが気になる。

 最終回にかなり近づいているとは思うのですが、まだまだ予断を許しません。

 彼方のアストラ、ぜひ私と一緒に、残りわずかなこのワクワク感とドキドキ感を共有してください。

 リアルタイムで読んだ方が、絶対に面白いです。4巻のラストなんて、ドラゴンボールで悟空が超サイヤ人になった時と同じぐらいうおおお!と思いましたもの。

 小学生の衝撃とおっさんの衝撃では、ひねたおっさんはなかなか衝撃を受けたりしないので、この作品すごさはそれを考慮した上でもすごいと思います。


 彼方のアストラ。とりあえず無料で見れるとこまででも見てください。


×××


 後にマンガの賞も取りアニメ化もしました。

 わいの目に狂いはあんまりないんや!

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