第2話 その二 となりのロボット 西UKO 秋田書店
またかよ! と私の昔からの割烹などを読んでいる人は言うかもしれません。ですがまた紹介します。
となりのロボット。所謂一つの百合物です。はい、この時点で興味を失う人が多いのは確かでしょう。でもちょっと待ってください。
昨今の百合は数こそ増えたものの、その内容は薄まっているというか、可愛い女の子がいちゃいちゃしてるだけだろう、という偏見もあるでしょう。「けいおん」なんかも男子が出てこない時点で百合物、と解釈出来なくもないわけです。薄い本ではそういうの多いでしょうね。
でもこの作品には明確な違いがあります。
それはこの作品におけるカップルの片方が、ロボットであるということです。
ただでさえ百合というニッチなジャンルに、片方をロボットとする。だがこれはちゃんとした理由があり、むしろ片方がロボットでないと、この作品は成立しないのです。
片方の女の子はロボット。それに対するもう一方は人間で、当然成長するに従い、姿は変わっていきます。しかしロボットの彼女は中身だけが変化して、外見はそのままなのです。
高校時代に二人はキスをしますが、ロボットさんの方はその意味が分かりません。そして人間の女の子は、分かっていないことが分かってしまうのです。
変化する人間と、変化しないロボット。しかしそれは外見だけで、中身はロボットも変化します。
そして自分の想いが一方通行だったと思う女の子は、ロボットちゃんから離れ、普通の女性として成長するのですが、偶然ロボットちゃんに再会します。
ここからの展開は書きませんが、この作品がおそらく主題とするテーマが描かれていきます。
ロボットに感情はあるのか。ロボットは恋をするのか。ロボットには愛があるのか。もしあるとすればそれは何なのか。
ここで作品は、百合物という形は確かにとってあるけれど、実は人間の心理に迫るものであり、極めてSF的な作品であると判明します。
最後まで読んでから、また最初から読む。すると散りばめられた伏線が明確になり、より作品の見事さに感嘆せざるをえなくなるのです。
この部分にはこういう意味があったのか。それを改めて読むことによって気付く。名作の条件の一つだと思います。
そして読むことによって自然と気付く。これも名作の条件だと思います。
この作品のカップルは成熟することによって、思春期にだけ特有の同性愛的感情ではなく、本当に他人に感情を向けるということは何かを示してくれるのです。
となりのロボット。全一巻。おそらく今後も中編マンガを紹介することはたくさんあるでしょうが、まずはこの一冊。
思春期の切なさ、SF的な面白さを求める方に、ぜひオススメします。
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西UKOさんは通販で同人誌販売をされております。
さすがにページ数に対しては割高ですが、それでもファンは買うのです。
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