第5話 外国人を積極採用することで生まれる3つのメリット
ここまでお話ししてきたとおり、日本ではますます外国人の雇用が増加していくであろうと考えられます。
わたしは現在、DMOのファンドマネージャーをやっており、PEファンドの運営をさせていただいておりますが、地域に入り込んで疲弊した地方を活性化させるには人材の登用が欠かせません。
そこで「コト起こし未来塾」では、地方で起業やキャリアを考える人のための情報発信のための場として機能させており、キャリアコンサルのお仕事もさせていただいております。
そういった中で必ず議論に上がるのが、外国人の採用についてです。
そこで、外国人を採用することで会社にどんな利益をもたらしてくれるのか、明確にイメージしづらい部分もあると思うので、外国人を採用することのメリットを実際の事例を織り交ぜつつ紹介させていただきます。
メリット① シンプルに優秀な人材を確保するから、生産性が高まる。
外国人の人材市場は、優秀な人材の宝庫です。毎年100名以上の外国人と面接していますが、「こんな優秀な外国人が日本にいるのか」といつも驚かされると同時に焦りを覚えます。
もちろん日本人のなかにも優秀な人材はいますが、日本人とは違った面で高い能力を持っている人材が多いのです。
たとえば、日本で働きたいと考えている外国人の中には、いずれ自分の国に帰ってから起業しようと考えている人が多くいます。
そういう人は、これまでに起業した経験がなくても、経営者の視点で物事を考えることができます。
また、向上心のある人が多いので、自分の現在の仕事に直接関係のないことでも、貪欲に学ぼうという姿勢が素晴らしいのです。
国籍によって多少の違いや方法性や感覚のズレはありますが、そういった情熱が会社の成長を助けることは間違いないのです。
もちろん日本人のなかにも向上心のあるビジネスパーソンは大勢いて、やれ「〇〇活」だなんてやっていますが、熱が冷めると「古い」とか…「コト」がすぐに消費されて持続性に欠ける品証があります。
それに比べて、向上心のある外国人社員は、自分の職種を超えてなんでも自らの糧にしようとするマインドがあります。
さらに、語学力に長けている人材が多いのも特徴です。
中には5ヶ国語をビジネスレベルで話す人もいます。また、読解力、筆記力、会話力も非常に高くて、たとえば決算書などについても、「コト起こし未来塾」のほうでも教えており、日本独自の部分とグローバルな会計基準との差異なんかはすぐに理解してしまいます(日曜更新|決算書から仕事や転職に”利く”知識を簡単に得る方法)。
こうした能力の差って、それぞれの国の教育制度が根底にあって、日本では、一部の私立学校を除いて、平均レベルの生徒に合わせて授業が進むことがほとんどで、受験を勝ち抜くためのテクニック中心の「傾向と対策」的な勉強が中心です。
わたしもそうやって生き抜いてきましたし、サラリーマン社会でも「傾向と対策」のテクニックを応用することは役に立ちましたから否定するつもりはまったくありませんが、欧米諸国などでは、勉強ができる子にはどんどん勉強させます。
わたしの通っていたアメリカの大学でも多様性の中で他者と意見を交換しながら、与えられた課題を解決していく過程が重視されていました。
そうした国には、自主性や積極性を持っていますし、問題解決能力やコミュニケーション力に優れた人材が育つ土壌があるのではないかと思います。
メリット② 外国人社員に刺激を受けることで、日本人社員のモチベーションが爆上げする
日本で働く外国人にはメリット①で挙げたような人材がたくさんいて、そんな外国人社員から日本人社員が刺激を受けるという相乗効果が生まれます。その結果、会社の発展につながったという事例を紹介したいと思います。
ちょうどわたしが「コト起こし未来塾」を立ち上げた頃に日本の大学を卒業し、IT企業に就職が決まって、そこで数年勤務した後、わたしの知り合いが経営する、あるIT企業に中途採用で入社しました。
IT業界は転職が多い業界でして、この会社でもシステムエンジニアの平均在職年数は5年程度でした。
ところが、彼が入社してから、退職者が減ったそうです。
友人である社長に聞いたところ、彼がいることで、他の社員が刺激を受けて、この会社で「もっと学びたい」、「もっと成長したい」と感じるようになったからだそうです。
その社長がいうには「彼は、いつかは自分の国に帰って、自身で会社を立ち上げたいと考えています。だから、どんな仕事をするにしても、経営者の視点で考えます。そして、社長である私にいろんなことを聞いてきます。私はできるだけ他の社員がいる前で、彼の質問に答えるようにしています。それまでは私の理念や考え方を朝礼などで話しても、ほとんど誰も聞いていなかったと思います。しかし、彼への回答という形で伝えることで、他の社員も真剣に 耳を傾けるようになりました」
また、彼はシンガポール育ちのタイ人ですので、英語は流暢に話すのですが、日本語はあまり得意ではありません。彼がいることで、社内で英語を使う機会が増え、エンジニアたちの英語力アップにつながったそうです。
英語を理解できるエンジニアが増えるということは、会社にとって大きな強みとなり ます。
まさに、いろいろな意味で日本人社員にとっても良い効果を生み出しています。 また、このように社内で外国人が活躍し、英語を使う機会が増えることで、対外的には、グローバル企業というイメージを出せることもメリットです。このイメージは、日本人採用においても有利になりますね。」
メリット③ 人脈やネットワークが広がり、販路拡大になる
たとえば、インバウンド事業を新規事業として推進するのであれば、外国人採用は特に有利に働きますし、外国人の語学力はインバウンド事業に欠かせないものです。
それに、採用した外国人が持つ、人脈やネットワークを活用することで、販路拡大につながることもあります。そこで、私の出先企業の事例を紹介させていただきます。
きっかけは台湾の百貨店で日本の食品を宣伝販売するところでアルバイトとして採用しました。わたしはある企業の依頼で出店をしていましたが、私の請け負っていたお店は後発組だったので日本で話題の店に人気は集中します。
その時に彼女は自身のブログやSNSで宣伝記事を書いてくれて拡散してくれたところ、なんと最終3日間には売り上げトップをとることができるまでになりました。
そうした実績もあって台湾のある企業にそのビジネスを売って欲しいと相談を受けて、日本での依頼元企業とジョイントベンチャーを立ち上げることに繋がりました。
以上、外国人を雇用することのメリットを3つ取りあげさせていただきました。
外国人を雇用することは、単純に人材不足を解消するだけでなく、会社にとって大きな メリットがあることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
コンサル先企業でよく耳にするのが、「外国人は低賃金で雇うことができるのもメリットだ」と思っている経営者や担当者もいるかもしれません。
しかし、外国人社員を雇用した場合の給料については、法務省令で「日本人社員と同額以上」と定められています(一部例外規定あり)。
外国人だからといって不当に安い賃金で労働をさせることはできませんので、ご注意を!。
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