第4話 日本は外国人にとって就労しやすい国
この連載では、外国人を雇用するためのノウハウをお伝えしていきますが、今回は「技能実習」について、少しつっこんでいこうと思います。
技能実習制度もいくつかありまして、企業単独型というようなマイノリティな技能実習の活用も経験しており、具体的なノウハウや闇の部分にまで迫っていこうと思います。
ところで、最近は地方でもコンビニに行くと外国人の店員さんをよく見かけるようになりましたね。彼らはフラッと日本やってきてアルバイトをしているわけではありません。
深く考えないでいると、「あぁ外国人の人か」。くらいのインプレッションですが、技能実習制度を利用したり、在留資格の資格外活動で働いている方が大多数だと思います。
日常生活の中でも、日本で働く外国人の増加を実感することがあるのではないでしょうか。私の在籍していた会社でいえば、そもそも海外籍の会社のときなど日本人は逆に私一人だったり、意外に外資の日本企業は経験はありませんが、打ち合わせ先が外国人だったりします。
ひと昔前はなら、「日本は移民の受け入れに積極的ではない」という話もよく耳にしましたから隔世の感がありますね。
ですから、日本は外国人に対して閉鎖的だというイメージを持っているかたも多いかもしれません。しかし、グローバルな視点で日本をみてみると、実は日本は外国人にとっ ては、就労が比較的容易な国の一つなのです。
日本で働く外国人労働者の総数は、年々増加しており、特に「専門的・技術的分野の在留資格」「技能実 習」「資格外活動」の割合が増加しているんです。
「専門的・技術的分野の在留資格」に該当する人たちは、大学教授や医者のように、高度人材にあたり、専門的な職業ですし、語学学校の教師などは、外国人特有の能力を活かした職業、他にも、ホワイトカラーといわれる事務職に就いている人たちです。
大学を卒業して日本の一般企業に就職する人たちの多くが、このホワイトカラーの仕事に就いており、今回は、そんなこのホワイトカラーとして外国人を雇用する場合を想定して説明していきます。
「技能実習」に該当するのは、農業・漁業や建設業、製造業などで現場作業を行っている人たちで、最近では介護や自動車整備などの職種が追加となり、技能実習生を呼び戻すことができる制度も整いつつあります。
冒頭でも取り上げた、「資格外活動」は主に留学生のアルバイトのことを指し、学業をメインの目的として日本にやってきた外国人留学生が日本でアルバイトをする場合には、「資格外活動許可」というものを取得することで、週28時間までアルバイトをすることができる制度をさします。
「身分に基づく在留資格」とは、日系人、日本人を配偶者に持つ外国人、日本に永住する外国人などが該当します。
さて、いろいろな思いがあって、それぞれの選択肢を選んで日本で働く外国人労働者について、ザックリと説明しました。
タイトルで日本は外国人にとって働きやすい国と書いていますが、どんな点がそのように評価できるのか世界の他の国々と比較して見てみましょう。
たとえば、就労ビザの取得が最も難しい国の一つがアメリカです。特に、トランプ政権になってからは、アメリカ人の雇用を脅かさないよう、外国人就労については見直しがされてきました。
ですので、大学院卒などの高学歴者や、高度な専門職に就いている人や技術者でないと、アメリカの就労ビザを取得するのは、かなり厳しいようです。
私の場合は、アメリカで働いていたときは、アメリカの大学を出て、ロンドンに本社のある会社のサンノゼ支局に配属だったので問題ありませんでしたが、ブログのほうでも書いているように、無実でも「逮捕歴」があります。
そこで気になるのが、有罪判決を受けておらず、不起訴処分となった場合もビザが必要なのか?ということ。
以下に、アメリカ大使館HP(有罪判決を受けた方)
(https://jp.usembassy.gov/ja/visas-ja/faq-list-ja/criminal-convictions-ja/)からの引用です。
私は米国で有罪判決を受けています。裁判記録をどのように入手したら良いですか?
判決を受けた裁判所にご連絡ください。裁判記録には、犯罪の種類、法律違反条項、実際の刑罰などが明記されていなければなりません。
逮捕が有罪判決に至らなかった場合、あるいはあなたへの告発に関する犯罪記録を入手できない場合は、逮捕場所、住所および逮捕の理由が記載された宣誓書を申請書類と共に提出してください。逮捕が有罪判決を受けた場合は、犯罪の種類、法律違反条項、実際の刑罰などが明記されていなければなりません。
ここには、逮捕が有罪判決に至らなかった場合は、その証明が必要であるとされています。
米国での逮捕歴に関しての記載ですが、どの国での逮捕歴に関しても同様です。
日本国内で逮捕されたが、有罪判決に至らなかった場合は、「不起訴処分告知書」という書類を検察にて発行してもらえます。
逮捕から一定の期間が過ぎると発行してもらえないので、処分時にもらわれた書類は保管されておくことが必要です。
ビザ申請には、その書類の他、どのような罪で逮捕され不起訴となったのかの説明が必要です。
ビザ許可の可否には、事件の内容も当然ですが、不起訴処分となった事件が、嫌疑なしなのか、嫌疑不十分なのか、起訴猶予なのかも大きく関わります。
正直に誠実に虚偽なく申告することが必要です。
つまるところ、不起訴処分となった場合の逮捕歴に関しても、申告が必要で、アメリカへの渡航にはビザが必要です。
このようにアメリカなどは厳しいのですが、比較すると日本での就労ビザの要件は緩いです
ある程度の学歴は必要ですが、大学・短大・専門学校などの卒業生で、それをきちんと証明できる資料があり、職務内容が就労ビザの対象で、ビザ申請に必要な書類をきちんとそろえることができれば、基本的には許可されると考えていいでしょう。
職務内容は、一人一台PCを使うようなホワイトカラーの仕事であれば、通常は問題ありません。
そしてアルバイトについても、日本は他の国に比べて非常にハードルが低いと言えます。
アメリカでは、学業を目的とした学生ビザで入国した場合、大学キャンパス以外でのアルバイトは原則禁止されていますし、カナダでは、大学などの正規コースで学ぶ場合には週3時間までアルバイトをすることが認められていますが、語学学校で学ぶ学生はアルバイトができません。
その他の国も原則禁止、または認められるとしても週3時間までの国がほとんどです。
では次回は、そんな外国人雇用のメリットについて解説させていただきたいと思います。
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