第2話 インバウンド研修と税務

前回は「外国人社員研修と労務管理」と題して、これまで多くの日本企業が海外進出を果たし、グローバル採用が実施されることが一般的になった現在は現地で採用した外国人社員の研修を日本で実施する企業が増えている中での対応策について解説させていただきました。


今回は、実際にインバウンド研修を実施するにあたって実務的な面について解説させていただきたいと思います。



源泉徴収


日本に滞在する現地社員が居住者か非居住者かにより、源泉徴収の方法が異なり、さらに源泉徴収額を算出する際に課税対象となる所得の範囲についても、同様に異なります。


日本で行う研修などに参加する現地社員は、多くの場合居住者(非永住者)に該当するケースが多く、この場合には


・国内源泉所得のすべて

・国外源泉所得のうち日本国内で支払われたもの

・国外源泉所得のうち日本国内に送金されたもの


以上の3つが原則として課税対象となります。



住民税


日本に滞在する現地社員が居住者か非居住者かにより、住民税の支払い義務も異なります。居住者の場合には、その年の1月1日時点ですでに日本に住んでいて住所がある者、または居住して1年未満でも住所があり1年以上継続して居住することが明確な場合には、原則として課税対象となります。


住民税の納税義務がある場合で、12月末までに出国する場合には、未払分の税額を納めることになります。



扶養控除


海外に居住している親族などが、日本で働く外国人社員から生活費などの送金を受けている場合には、所得税や住民税の税額算出の際に扶養親族とするこが可能です。


ただし、生活費を送金している証明が必要となることが多く、本国へ送金した際の国外送金依頼書などを保存しておく必要があります。


また、ケースによっては就労ビザの申請にも影響が出ることがあるので、十分に注意してください。



経済的利益と課税処理


現地社員の場合、一定の範囲内であれば、雇用企業等が与えた経済的利益を非課税の扱いとすることができます。


具体的にはホームリーブの渡航費用、家族の来日費用、税金や社会保障費の企業負担、さらに家賃や水道光熱費などの企業負担などが考えられます。


ただし、非課税とするためにはそれぞれについて詳細な規定があるため、慎重に行う必要があります。



外国人社員研修のスキーム構築よくあるQ&A




どのような方法によりインバウンド研修を実施するかは、研修の目的、方針、受入れ状況などにより全く異なります。


まずは日本国内で研修を行う目的、期間などを明確にし、そこからどのような受け入れ方法が可能かを検討したほうがよいでしょう。





現地社員のインバウンド研修を実行するには、入管法、労働法、税法など、多くの分野にわたりコンプライアンスが求められます。


それぞれの分野を掘り下げて考えることはもちろん必要ですが、他分野との連携を意識しながら総合的に判断することが非常に重要となります。





どのような方法により外国人研修を実施するかは、研修の目的、方針、受入れ状況などにより全く異なります。


まずは外国人研修を行う目的、期間などを明確にし、そこからどのような受け入れ方法が可能かを検討したほうがよいでしょう。





外国人研修を実行するには、入管法、労働法、税法など、多くの分野にわたりコンプライアンスが求められます。


それぞれの分野を掘り下げて考えることはもちろん必要ですが、他分野との連携を意識しながら総合的に判断することが非常に重要となります。

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