4日目

今日も朝から車を走らせる。

今日の目的地は地図には載っていない。そのため直接座標を打ち込み、確認しつつハンドルを握る。

途中川や崖を迂回しつつ向かうため、直線距離で進むより時間がかかる。


宇宙空間の移動が盛んになってからも、私のようなバックパッカーは各宿泊施設に設置してある"メモ"が重要な情報源だ。

辺境の地ともなると、現地のネットワーク施設が古すぎて、最新端末は使い物にならないことが多い。

そのためそういった地域では皆"メモ"で情報交換をする。

この場所の情報も、そういった"メモ"に誰かが書き込んだものだ。


随分と旧式でタッチパネルでさえなく、そもそもサポートもとっくに切れているであろうその"メモ"は、その年季に似合うだけの古い情報も満載だった。


目的地が近づいても、景色はさほど変わらない。"メモ"通りだった。


「この星は魔法と科学が反発して、長い間戦争の歴史が続いてた。だけど実は第三の勢力があって、そこは2つの力が合わさった魔法科学が主力だったらしい。実はこの前、その遺跡っぽいところを見つけた」


なんともオカルトめいた情報だが、試しに行ってみる気になった。元々この星の遺跡には興味があった。


何の変哲もない丘の上に、見逃してしまいそうなほどこじんまりとした小さな石がある。

よく見るとそれには魔法陣らしきものが書かれており、7つある穴のうち6つから人工的な光がチラチラと瞬いている。

ここだ。


"メモ"から引っ張ってきたデータを確認しながら歩く。わかりにくいが、痕跡が見つかった。"メモ"通り操作すると、何も無かったはずの地面に扉が出現した。

地下遺跡への入り口だ。

覗いてみると、独特の甘い香りがする。中で植物が育っているのだろうか。

ぱっと見た感じでは、あまり劣化はしていないようだ。

今まで見てきた遺跡を考えると、人工物と魔法は相性が良くないのがこの星の特徴のようだが、もしこれが本当にその両方を兼ね備えた遺跡ならば、それを覆すシステムがあるのかもしれない。


もちろん中に入るつもりだったが、思ったよりも暗い。

ライトは車に置いてきてしまっていたので、いったん取りに戻ることにした。」

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