2日目

今日は朝から車を走らせる。

ナビを確認しながら進むと、景色が砂漠から草原へと、そして森へと変わっていく。

車で行けるギリギリまで近づき、目的の街まで。


ここは昨日の街より年代はあとに作られたはずだが、侵食する植物たちによって廃墟と名乗っていい形相だった。

うねる木の根が家を飲み込み、そこかしこに壊れた電子機器の部品が散乱している。

一見普通に見える壁も、ひび割れた隙間から配線が見え隠れする。

ここは科学が発展した街のはずだ。

この星の住民が最後に暮らした都市も、ここのはずだ。表向きは。


昨日の街のように、この街も果てしなく広い。しかしこちらの荒廃ぶりは凄まじく、あと何百年もすれば完全に森と同化してしまうだろう。

昨日の街のように、魔法での維持がされてないからだ。


高度に発達した科学は魔法と区別がつかないらしい。が、違いは見てのとおりである。

術式によっては、施行者が消えたあとも魔法の加護は続くが、科学では維持のためのエネルギーが尽きてしまえばその意味をなさなくなる。


こちらのほうが魔法の街だと言われたほうがしっくりくる事に皮肉を感じる。

街を覆い尽くす木々が、神秘的な光景を生み出していたからだ。

しかしここは、実際には魔法を捨てた街だ。


この街の住民は、科学に何を求めたのだろう。


しばらく歩くと、おそらく居住区だったのだろうと思われる場所に出た。

天に向かってうず高くビルが立ち並び、薄暗い。

高層部分は富裕層が住んでいたのだろうな、と勝手に想像し、その生活を思い描く。

あそこから見える景色はどんなものだったのだろう。

てっぺんからならこの街を一望出来るだろうか。

上に登る手段が見つからないので、想像する以上のことはできないのだが。


夜は車まで戻って野宿した。

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