第15話 予想外の二人
*
小鳥がさえずる。風がマゴラの部屋のカーテンを揺らし、足の裏をくすぐった。その感覚でマゴラは目を覚ます。ゆっくり瞼を持ち上げると、両方の視界がそれぞれ異なるものでふさがっていた。それはどうやら顔で、女の子と男の子のようで――
「うわっ」
「ちょっ!」
「きゃあ!」
マゴラは体を起こす。その勢いで凜太と鈴子はマゴラの被る布団に投げ出される。マゴラは目を擦る。
「鈴子と凜太……だよね?」
「そうだよぅ」
凜太が不満げな視線を向けてくる。鈴子も同様だった。
なぜこの二人がいるのだろう。昨日は昼頃二人を迎えに行って、遊んで……。そのあと、エレス達が来た。それで知らない人物がマゴラの体を操ったのだ。
「……そうか」
思い出して二人を見ると、そうだと言いたげな視線を向けてくる。
「……ごめん。昨日、あのまま寝ちゃったのか……」
「オレら放って寝ちゃったもんね」
「つまんなかったー」
「ごめん、なさい……」
鈴子と凜太は布団に足を取られつつマゴラの顔の方へ向かってくる。マゴラが手を差し出すとその上に乗った。
恐怖に飲まれて、こんな小さな子供を家に帰さないなんて、大変なことをしてしまった。きっと二人の両親は心配しているだろう。もしかしたら警察に届けたりして、大ごとになっているかもしれない。そうなったら二人は大変なことになるうえ、地球人にスサインのことを知られてしまう。
じわりと涙がにじんでくる。大変なことをしてしまった。最低最悪だ。
「マーゴーラー」
「えっ」
「冗談だよ。怒ってないから」
「昨日大変だったもんね」
「でもご両親とか……」
「平気、平気!」
二人は顔いっぱいに笑顔を広げる。その表情から嘘は感じられなかった。安心が胸に灯る。二人には気を遣わせてばかりだ。どちらが年上なのかわからない。少し情けないけれど、友達ならではという感じがして嬉しかった。
「とりあえず家まで行く……?」
「うん!」
二人の笑顔を真似して、マゴラも口角を上げてみた。
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