きつねとめだかのはなし
ねなしぐさ はな娘
第1話
きつねはめだかが寒いのではないかと
しんぱいでした。
冬になるときつねの住むちかくの川の水は
凍ってしまうからです。
何匹も何匹も、きつねは冬が来る前に
お別れしているのです。
まってまって、
そうして雪がとけて5回めの春には
狐は川に行かなくなりました。
それよりは畑の芋や林にうわっている
アケビをとっていた方が
いくらか気がまぎれました。
8回目のある春の日に、
仲良くなっためだかがいました。
きつねはそのめだかとお話するのが楽しくて
朝も昼も、お話をしました。
9回めの冬の前に、
狐はめだかを家に招待して、
一緒に冬越ししようとけいかくしていました。
水は新しいものをきつねは汲めば
いいと思っていましたし、
そのための水草も育てていました。
それでも
「きつねさんきつねさん、わたしはめだかだから
きつねさんの食べているものは食べられないし、
あたたかい部屋の中ではいくら水にいても
わたしは息がしにくいんだよ」と
言われてしまいました。
仕方なく、新しく用意したバケツは
植木鉢として使うことにしました。
そうしてそうして、
今9回めのふゆのあけ。
きつねは地面に白いかたまりがないことを確認し、
あたらしいチョッキを羽織って川に行ってみました。
なんとなく、行ってみたかったのです。
そうすると、どうでしょうか。
めだかは沢山お魚をつれて戻ってきました。
あかいおさかなやあおいおさかな。
おっきいさかなやちいさいさかなも。
きつねはうれしくなって、
栗の木で作った椅子とひざかけ、
それから自分用のホットミルクを
急いで家から持ってきました。
きつねはいろいろなさかなの話を
きょうみぶかく
楽しそうに聞き、
きつねもまた魚たちに
自分の作った家具や育てた野菜や花の話を
してやりました。
おわり
きつねとめだかのはなし ねなしぐさ はな娘 @87ko
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