第236話王城の地下
311日目
昨日はパルン王国に野田課長の今後について話をしに行ったのに主要な人達がみんな講習受けに行ってたから話しできなかったけど、恐らく講習が続いている間はいつ行っても話しできないだろうな…。
鈴木さんには朝一で野田課長の件を話しておいたけど、予想通りめんどくさそうな顔をして上に報告してきますとの事だったけど、明らかに面倒事を持ってきやがったって感じだったし。
確かに面倒事だけどね。
マスコミでも日本人が反乱を主導して平和な国を混乱させて死傷者も出てる何で報道されたらネットの住人なんかからは日本人の恥、処刑されても自業自得とか言われているみたいだし。
日本政府としても、人命重視と表面上は言っていても、実際の所、融合前に処刑してくれたら…、なんて思ってるだろうし。
まあ、野田課長の件はなるようになるでしょ、自分は関係ないし。
そう思いながらも、ノンザイル王国に偵察に行っているゴブリンからの報告を受けますが、明日ぐらいには両軍が対峙し、早ければ即日戦闘が発生する可能性があるとの事です。
オダ帝国軍は、町の包囲に千人程の兵を残し、進軍を開始し恐らく自分達の都合の良い決戦場に展開してノンザイル王国軍を待ち受ける感じだそうです。
どうせ何を言っても戦争は止まらないし、下手に介入なんかしたら混乱を招きそうだし、略奪や暴行なんかをしない限り静観を決め込もう。
実際、オダ帝国とノンザイル王国の争いなんて自分には関係ない事だし。
さて、何をしよう…。
異世界に転移させられて当初は自分の生活向上と同じように転移させられた日本人からの嫉みなんか気にして色々とやったけど、地球と融合するってなったら異世界生活って感じじゃなくなってきたし、ダンジョンとかも中途半場になって最終的にはプレモーネの冒険者が攻略に行ってるみたいだからな~。
今更ダンジョン攻略に参戦するのもどうかと思うし…。
月山部長の所に行って雑談しながら時間でも潰すか…。
そう思い家から出ようとすると、首都クルセルで調査をおこなっているロゼフから通信魔道具で連絡が入ります。
ロゼフの話ではどうやら王城に地下へ続く隠し階段を発見したとの事、ただかなり深い場所へつながっているうえ、そこで発見したものがモノだけにどうしたらいいものか? との事で連絡をしてきたそうです。
ロゼフが発見した場所の状態も気になる為、暇つぶしに行こうとしていた月山部長の相談所から目的地を変えて転移魔法のゲートでクルセルの王城に移動をします。
王城の中に入ると、案内の為に待機していたと思われるホブゴブリンが、隠し階段へ案内をしてくれたのでそこから下へ降りていきますが、ロゼフの行っていたようにかなり深いようで螺旋状の階段が永遠と続いている感覚に襲われます。
うん、長い螺旋階段って目が回る感覚に襲われるんだよね…。
しかも、階段を降りるだけって楽そうに見えて意外と足の筋肉使うから地味に疲れるし、しかも帰りは登りって、クルセルって過去に魔法や魔道具で栄えた国なんでしょ?
だったらエレベーターみたいな魔道具作れよって。
まあ帰りは階段を登らずに転移魔法のゲートで戻るけどさ。
そんな事を思いつつ永遠に続くかと思われる段を降りていくと、やっと最下層に到着します。
ロゼフ達が居るであろう場所へ続く通路を歩き、広い空間に到着しますが、広い部屋はコロシアムのように円形の造りではあり何故地下にこんな場所がという疑問も覚えますが、なにより目の前の光景に息をのみます。
そこに広がっていたのは以前、ネレースによって結晶に閉じ込められた日本人のように結晶に閉じ込められた人々、それも日本人のように2万人どころではなく恐らく10万人以上と思われる人々が閉じ込められています。
そして何より不思議なのが、閉じ込められていた日本人は全員眠ったような感じだったのに、ここに閉じ込められている人は、皆、生活をしていた状況そのままに結晶に閉じ込められているかのようで、呼び込みをしていだろう体勢や料理途中、談笑中だった状態で閉じ込められている。
「こ、これは、どういう事だロゼフ?」
「分かりません、恐らくマサト様の世界より転移させられた人と同じ様な状態と思われますが…」
そう言うロゼフは、中央へと言い、自分を部屋の中央に案内をし何かの操作をする為と思われるような石板を指し示し自分が来るまでに調べた調査報告を始めます。
「マサト様、恐らくここは魔力石に魔力を供給する為では無く、恐らく大地に魔力を流し込んでいるようです」
「大地に魔力を? 何のために?」
「分かりません、ただこの国が滅びた時からこの場に閉じ込められ魔力を大地に流し込んでいたとは思われますが、目的までは…」
そう言いながら明確な回答が出来ず申し訳なさげなロゼフに、分からなくて当然と言葉をかけ周りを見渡しネレースの考えそうな事を想像して予測を立ててみるも、サッパリ分からない為、一旦思考を止めて、結晶に閉じ込められている人を解放する方法があるかロゼフに聞いてみます。
「この操作盤で魔力供給を停止すれば結晶も溶け解放できると思われますが…。 ただ解放した後どうされますか? 恐らく結晶から解放され目を覚ましたら混乱が起き、収拾がつかなくなる恐れが…」
「確かに、とは言えこのままにしておくわけにもいかないし、解放した際の混乱は今でも後でも変わらないから早いうち解放しよう」
ロゼフが納得するのを確認し、操作盤のような石板に手を当て魔力を流し込むとなにやら文字のような物がうかびあがりますが、何をどうしたらいいのか分からないのでロゼフに任せます。
うん、分からんものは分からん!
下手に操作して万が一自爆装置的な物があった際はヤバいから一応調査したロゼフに任せるに限る!
そして指示を受けたロゼフは自分に替わり操作盤に手を置き魔力を流し込みなにやら操作を始めますが、ふと疑問が浮かびロゼフその疑問をぶつけてみます。
「ロゼフ、この文字みたいなの読めるの?」
「はい、この王城の書庫を調べた際にこの国で研究をしていた魔法文字の本がありましたので読ん居たのですが、まさかこんな所で役に立つとは…」
そう話しながらも操作を続けるロゼフの邪魔にならないように、その場を少し離れ部屋の様子を再度観察してみますが、やはりたとえるなら部屋はコロシアムのように円形ですり鉢状になっており今自分達が居る場所が闘技場だとしたら結晶がある場所は客席と言った感じの印象を受けます。
ロゼフの操作はあとどのくらいかかるのかな…。
そんな事を思っていると早々に操作を終了したロゼフが完了の旨を報告にやってきます。
「マサト様、操作は終わりました、恐らく暫くしたら結晶が溶け中の人間が解放されるでしょうが、生きているかは不明です。 場合によっては全員死んでいる可能性も」
「いや、多分生きてるよ、大地に流し込んでいたって事はその魔力は中の人が生きているから生み出されるって事だし」
そう話していると、部屋にピシ…。 ピシ…。 と音が鳴り響き、その音が連鎖するようにどんどん増えて行き、そしてガラスが割れるような音が次々に響き渡ります。
「日本人の際は氷が溶けるような感じだったのに、ここの結晶は割れる感じなんだな…」
そう思っているうちに、結晶から解放され、自身の現状が飲み込めず何がどうなっているのか分からず動揺する人達の声がしてきます。
さて、どの程度の人数が結晶から解放されたら現状説明をしようか…。
王族とか居たらその人に説明をして他の人に説明をさせれば楽なんだけど、そう簡単にはいかないよね…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます