第163話二ホン砦の区画整理

229日目


久しぶりに自宅で午前中のんびりと過ごし、昼過ぎに日本へゲートを開きオフロードバイク20台とガソリンを受け取ります。


日本側から見ていた政府関係者は、20センチ四方のゲートから手が出てきて一瞬で消える光景に目を見開いていましたが、その辺は気にせず黙々とアイテムBOX収納したらゲートを閉じます。


その後、オフロードバイクを魔道具化しようかと思いましたが、まずは不足している魔石を補充するために、ラルに乗り採石場を目指します。


採石場には夕方には到着しましたので、アルチ達サンダーウルフには森に散ってもらい、明日の朝から採石場に魔物を出来るだけ多く追い込んでもらいます。


カウア達ミノタウロスには周辺警戒を頼み自分は野営用の家をアイテムBOXから出して明日の朝まで休むことにします。


さて、明日はカウア達にも魔物狩りに参加してもらってサクッと終わらせよう。


230日目


日が昇り始める頃、サンダーウルフの遠吠えを皮切りに森から魔物が溢れ出してきます。

自分は大剣を構え、カウア達はバトルアックスを構え森から溢れ出してくる魔物に斬りかかります。


アルチ達に出来るだけ大量にと言ったからでしょうが、森から出て来る魔物は途切れることなく湧き出てきます。


途切れることなく森から出て来る魔物を斬り倒し続けて、魔物が居なくなった頃には夕方になっていました。

カウア達には明日の朝迎えに来ると伝えて魔石回収を依頼し自分はプレモーネの自宅に戻ります。


これで魔石の補充は済んだし、明日ぐらいから魔道具の銃を製作開始しよう。

それにしても調子に乗って小さい魔石を融合して大きな魔石を大量に作ったけど今になって役に立つとは。


まあ魔力石にしてバイクの原動力か魔道具の銃のエネルギー源にしたらすぐ無くなりそうだけど、無いよりはましか。


231日目


朝一で採石場にカウア達を迎えに行き、その後は自宅に戻り、魔道具の銃を作ります。

原理は火縄銃のような物ですが、本来火薬を詰める所に魔力石を嵌め込み魔道具化していきます。


とは言え、毎回弾丸を込めるのは面倒なのですが、とりあえずは先込式にし、風魔法と火魔法を付与した魔力石で圧縮した空気に火魔法を加え爆発力による圧力で弾丸を飛ばす作りです。


錬成術で金属を加工するので銃身にはライフリングを刻み、弾丸も鉛で制作をしておきます。


思考錯誤しながら熱中して作っていると、200丁程出来たところには夕方になっていました。

まあこれなら弾丸があれば銃身が壊れない限り撃ち続けれるし、魔物討伐にも役に立つから二ホン砦のゴブリンに使い方を教えて鉄砲隊でも組織しようかな…。


232日目


今朝は二ホン砦に向かいゴブリン達の様子を見に行きます。

ゲートを開き二ホン砦へ向かい砦内を歩いていると、何故かゴブリン達に交ざってアウトドア好きの滝山さんが作業をしています。


うん、確かに以前別荘作ったけどさ、何で自然とゴブリン達の生活に馴染んでるの?

そう思いながらも滝山さんを見なかった事にして砦の中心にある館に向かいます。


館ではロゼフが何やら図面のような物を眺め何かを書いては消してを繰り返しています。

「ロゼフ、おはよう、ていうか何してるの?」

「これはマサト様、おはようございます。 只今二ホン砦の内部の建物の区割りをしていたところです」


「区割り? 何か今のままだと不都合でもあるの?」

「いえ、不都合は無いのですが、急激に拡張し住居などの建物なども拡張の都度建てていたので見栄えが悪いのでいっその事区割りをし、見栄え良くしようかと思いまして」


そう言うロゼフの言う通り、拡張した際やゴブリンが増える度に建物を空き地に木造住宅を建てているので砦の中は結構ごちゃごちゃしています。

「それはいいかもね、整然と建物が建って道があると見栄えも良いし、移動も楽だもんね」


そう自分が賛同するとロゼフは図面を見せて意見を求めてきましたが、結構前から考えていたのでしょう、何度も書いては消してを繰り返したと思われる図面は素人目に見ても良く考えられている感じです。


「うん、いいと思うんだけど、下水とかは大丈夫? 再度下水設備とか作らないといけなさそうだし、既存の下水設備との兼ね合いとかないの?」

「それにつきましては、区画を整理し建物を建てた後に整備していきます。 元々は野良ゴブリンだった者達です。しばらく下水が整備されてなくても問題ございませんので」


「そう、それならいいんだけど…」

「それでマサト様、折り入ってお願いがございまして」


ロゼフは少し言いにくそうにしながら口を開きます。

どうやらロゼフは自分の錬成術で今ある建物を解体し角材にして欲しいとの事です。


「それは良いけど家を建てるのはゴブリン達だけで大丈夫?」

「はい、それは問題ございません。 マサト様が建ててくださった家を参考に現在もゴブリン達だけで建築をしておりますので」


そうロゼフが言うので一旦ゾルスを呼んでから区割りと建築の話をします。

話が終わるとゾルスはゴブリン達を招集し建築の指示を出し始めます。


「じゃあこのロゼフの図面通りにする為に館の辺りの建物から錬成術で解体し角材にしていくよ」

そう言って木造住宅を錬成術で解体し角材にしていきます。


角材の山が建物があった場所に山積みになるとロゼフの指示のもとゾルスとゴブリン達が基礎を作り家を建て始めます。

なんでこんなにゴブリンが建築や土木工事に長けてるんだろう?


そんな事を思いながらも次々に建物を錬成術で解体し角材にしていきます。


「ロゼフ、燻製小屋や保存庫に滝山さんの別荘だけどあの辺は放置でいい?」

「はい、あの辺りは本丸の外れ辺りですのでそのままで構いませんが、穀物庫は別の場所に移動をお願いしたいですな」


そう言ってロゼフが指定した場所は本丸中央にある屋敷の近くと保存庫の近く、そして二の丸的な場所になります。


「増えてるね。 やっぱり数が増えたら食料消費早くなるよね…。」

「はい、それもありますが、有事の際に穀物庫を一か所にまとめていると被害を受けたら食料をすべて失ってしまう恐れがございますので分散させようかと」


何だろう、ロゼフの言ってることは正しいんだけど絶対ゴブリンの発想じゃないよね…。

何処でこんな事を学んだんだろう。


とは言えロゼフのいう事はもっともで反対する理由も無いのでアイテムBOXから丸太を出して指定された場所に穀物や武器庫などを錬成術で建てて行きます。


昼を過ぎる頃には砦内にある大体の建物を解体し角材にしたけど、これって今日中に家を建てないとゴブリン達はみんな地面に雑魚寝じゃない?


そう思いロゼフに疑問をぶつけてみましたが、返ってきた答えは野良ゴブリンの頃は地面に雑魚寝が普通でしたのでとの事です。


うん、ロゼフさん、意外と同族のゴブリンに厳しいね…。

まあロゼフがそう言うので暫く家が建つまでの間、ゴブリンが何処で寝るかは考えない事にして公衆浴場の増設と炊事場の増設などを行います。


夕方頃になり、一旦本丸にある屋敷の横にある櫓に登り砦の中を見渡しますがロゼフの指示のもと建物の建設予定地と道路も綺麗に区画整理されているようです。


「マサト様、本日はお手伝いを頂き誠にありがとうございました」

「いや、その辺は全く構わないし、むしろ砦の中が見栄え良くなるからいいんだけどね」


そう言って再度砦の中を見ますが、建物が完成しているのは以前の1割程なので暫く地面に雑魚寝する事になるゴブリン達に少し同情してしまいます。


そんな事を思いながらもロゼフとゾルスにはプレモーネに戻る旨を伝え、滝山さんにも声をかけましたが帰りたくないとの事なので二ホン砦に滝山さんを残して自分はプレモーネ戻ります。


うん、滝山さんが完全に野生化したな…。


とりあえず月山部長へは報告だけしておこう。

さて、明日は新たにドグレニム領になった土地の魔物討伐にあたっているバルタとハンゾウを迎えに行こうかな。


グレームさんに統治の状況の確認もあるし、旧ウェース聖教国兵の登用状況も気になるからな。


あとは土田の所に行って教国の宝物庫にあった物を受け取ってくるかな。


うん、やっぱりやる事沢山あって忙しいな…。

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