第91話疑問

121日目


とりあえず城壁は昼頃に完成し、あとは四方の門作成地点に門と防衛設備を作るだけです。

とりあえず、2か所程門の作成と防衛用の設備を作り後は城壁に上る階段などを作る形になるので一旦、今日は終わりにしてグランバルさん報告に行きます。


「そうか、じゃあ明日、門を作って完成か」

「そうですね、まあ城壁に上る階段とかは城壁が長い分それなりに設置が必要かと思いますが、それをどの辺りに設置したほうが良いのか聞きたくて来たんですよ」


「わかった、その辺はアモンに伝えておくから明日の朝、アモンの所に行って話をしてくれ、それにしても兵舎なんかも新しく出来た門の方に移さないと不便だな」

「まあその辺はお任せします」


「それと商人達はルイロウ領への交易を快諾したぞ大店どころか小規模の商人達も、既に準備を始めて明後日には出発するそうだから、交易品の用意をしておいてくれ」

「わかりました、じゃあ明日の夕方に門の前で品物を渡します」


「わかった、その辺は俺から伝達しておくが、いくらで卸売するんだ?」

「とりあえずルイロウ領に販売した価格の半分を支払うという事で今回は渡します」


「販売額の半分か・・・。いくらで売れるか分からんから何とも言えんな」

「まあその辺は晩餐会に出席した商家の人が行きますからうまい事値段を吊り上げるでしょ。とりあえず試飲用として幾分か多目に渡しますんで。それで帰って来てから利益が出てないようならこっちの取り分を減らしますよ」


そう伝えるとグランバルさんも納得したようで了承してくれます。

その後、少し打ち合わせ等をして自宅に帰ります。


明日は城壁の仕上げと門作り、そして夕方には商人達に交易用の品を渡すだけで一日が終わりそうなので、今のうちにネレースが言っていた望む物を貰って聞きたいことを聞こうと思います。


家のリビングで一息ついた後ステータスを開き「質問1」アイコンを押します。

うん、質問と望む物一緒だからどれ押してもいい気がするんですが、取り合えず以前貰っていた質問権を行使します。


アイコンを押すと目の前が真っ白になり、目を開けるとネレースが居る部屋に転移しています。


「あら、あなたよく会うわね、今回は質問を一つ答えてあげれば良いのね?」

「いや、とりあえず聞きたい事と望む物を貰いに来たんだけどアイコンの同時押しとかできないからとりあえず質問アイコン使ってみた」


「そう、まあいいわ、で、何が聞きたいの?」

「聞きたいことがあるんだけど、その前に1ついい?」


「なにかしら?」

「その格好なんだけど、ボーイッシュな感じで似合ってはいるけど、神としてはどうなの?なんか神々しいと言うよりも女性の可愛さをより引き立ててくれる感じなのはわかるんだけど何か神って言う感じじゃないんだよね」


「そう?あなたの中の神の印象ってどんな感じなの?」

「う~ん、まあ派手じゃなく、また服に頼らずとも美と尊厳がある感じ?それか、シンプルなドレスを着こなす感じ?」


「なんかあいまいな回答ね、だったらあなたがこれと思う服を用意して見せなさいよ」

「まあそれは後々で考えとくけど、サイズが分からんよね」


そう言うとネレースの手から光の玉がこちらに向かって来て手のひらに収まります。

手を開くとそこにはネレースの体形などが書かれています。


「これで採寸とかしなくて済むでしょ?あなたがこれと思う服を用意してくれるのを楽しみにしてるわ」


そう言うとネレースは自分との会話を終わらせ元居た部屋に戻そうとします。

「チョイ待て!!!!話は済んでない、むしろ自分が聞きたかった事はネレースの体のサイズじゃないから!!」


「ちがうの?」

「違うに決まってるだろ!何処をどう間違ったら服装が神っぽくないという話が質問になったんだ?それに欲しい物もネレースのサイズじゃないから!!」


「そう、じゃあ何が聞きたくて、何が欲しいの?」

「まず、今回欲しい物はヌスターロス大陸の精密な地図詰合せセット。と日本の新聞、自分達が転移してからの分とこれからの分、毎日お届けで」


「地図セット?それは具体的にどんなもの?」

「大体2メートル四方の紙に書かれたヌスターロス大陸の地図3枚と、1メートル四方で、各国の首都を中心とした領内の地図3枚ずつ、あとプレモーネを中心としたドグレニム領の地図3枚のセットだね」


「あなたそれで望む物一つとか言うつもり?」

「まあ地図の詰合せセットだから一つだよね?」


「本当にあなたは、まあいいわ、詰合せセットをあげるわ。それにしても、今回の報酬で何人かが望む物を求めたけど、あなた程、タチの悪い日本人は居なかったわよ」

「そう?それはただ単に考えが単純か応用性が無いだけでしょ」


「それで?他には新聞だっけ?これから毎日っていうのもどうなの?」

「いや、新聞と言えば継続して購読しないと・・。なので一日遅れでタイムラグが発生するのは仕方ないから、朝刊と夕刊を毎朝自分と月山部長のアイテムBOXにお届けでおねがいします」


「図々しくて呆れて物も得ないわね、ていうか月山部長って誰?」

「プレモーネに居る月山博さん51歳だけど?」


「これも望む物1とか言うつもり?」

「まあ新聞を毎日と言う望む物だから1つだよね?」


「ほんとに呆れるわ・・・・どう言う理屈なのか理解に苦しむわ・・他にほしいものは?」

「今回はそれぐらいかな、あとは聞きたい事ぐらい」


「そう、なら聞きたい事を言いなさい。」

「じゃあ、質問なんだけど、順位発表の際に時間軸をずらしてるって言った際に。(まあどうなろうと、おぬし等が望んだことだ)と言ってけど、それってどういう事?時間軸をずらした事で何が起きるの?」


「わらわがそんなことを言ったか?よく聞いていたな」

そう言いネレースは、ふっふっふ・・悪戯っぽく笑います。


「そうだな、時間軸をずらした場合何が起きるとおもう?」

「世界のバランスが崩れる、いや歪む?」


「ほぅ、物分かりがいいな、なら歪んだらどうなる?」

「そこまでは分からないけど、歪んだら元に戻ろうとする力が働くんじゃない?」


「そうじゃ、歪みが元に戻ろうと力が働く、このウェースでは、歪みを戻そうと更に魔力が溢れる事になる、言うなれば歪みを元に戻そうとする力とは魔力、その魔力が歪みを元に戻す力となって大地へ大量に漏れ出すという事だ、まあ今は日本人を多数転移させたことで魔力が活発化しているが、それが更に大規模になると思えばいいだろう」

「それでウェースは崩壊とかしないのか?」


「崩壊はしないが、魔力の影響を受ける物は何かしらの影響があるだろうな」

「それは、迷宮や洞窟、遺跡から魔物が溢れるということ?それとも人間が魔物になったりとか?」


「ふっふっふ・・人は魔物にはならんから安心せい、ただし、迷宮や洞窟、遺跡から魔物が溢れはするだろうな、それにそう言う場所でなくても魔物が自然発生するかもしれんな」

「そんな事したらウェースが滅びるんじゃないのか?」


「ウェースが滅びる?何を言っている、ウェースが滅びるのではなく人間が滅びるの間違えではないか?」

「ネレースとしてはそれでいいのか?人間が滅びたら人間を眺めて暇つぶし出来ないだろ」


「そんな事か、なら魔物を一度滅ぼしてまた人を作り出せば良いだけだろう。むしろそれはそれで今度はどの様になるか眺めるのも一興と言う物じゃな」

「ネレースにとってはこの世界の人間繁栄も衰退も楽しみの一つと言う訳か」


「まあそれを望んだのはお前たち日本人だろう、その結果だ、人間が滅びるというならその原因を作ったのはお前たち転移して来た日本人だという事だ」

「そういう事か、じゃあその歪みが元に戻ろうとするのはいつぐらいなんだ?」


「それは時間軸を正常に戻したらすぐに起きるだろうな、まあせいぜい滅びないように頑張ってくれ。では聞きたいことはこれで終わりだな」

「今回は1つだからこれぐらいだけど、あと望む物が2つ思いついたんだけど・・・」


「なにが望みだ?」

「この前アイテムBOXに付与してもらった特殊フォルダーなんだけど、もう2個追加してくれない?」

「2個追加で一つの望む物と言うのは虫が良くないか?2個追加なら望む物を2つだな」


「じゃあ特殊フォルダー1個追加で」


「ではもう一つはなんだ?」

「一つは自分の思い通りのスキルをくれないか?」


「スキル?それならば特典のスキルがあるだろう?」

「そのスキルではなく、自分専用に新しいスキルを作って欲しいという事なんだけど、まあ望む物だからこう言う頼みでもいいんだよね?」


「そうだな、まあよいと言えばよいが、どんなスキルが欲しいんだ?」

「転移魔法、かな」


「転移魔法?それはどういうものだ?」

「自分が一度行った場所を思い浮かべてゲートみたいな物で自分の居る所と行きたい所を繋げ行き来が出来るようにする魔法だけど」


「ふむ、可能と言えば可能だが・・・」

「何か問題でも?」


「そうさな、人間には過ぎたる力という事だ、その力を得ても使うだけの魔力があるまい。」

「そうなんだ、じゃあ消費魔力90%OFFでよろしく」


「おぬし、毎回毎回ようそのような事が言えるな」

「まあ言うはタダだし、ネレースなら可能そうだし、それにお礼として、日本で高級ブランド品が多く売られている場所も教える事が出来るし」


「それは、高級ブランド品とは、服だけでないという事か?」

「そうだね、宝石類や時計類、服はもちろんだけどそれに合うバッグなどもあるよね。原宿が若者なら今度教える場所が大人のイメージかな」


「そうか、それならば仕方ないな、転移魔法のスキルを消費魔力90%OFFで与えよう」

そう言うとネレースの手から光の玉が自分に向かって飛んできて体の中に吸い込まれます。


「これで転移魔法が使えるようになっただろう、これはお主に与えた錬成術と同じでレベルとかはないからな、使いこなせるかどうかはお主次第だ、あと距離が離れれば離れるだけ魔力を消費する事を覚えておけ」

「わかった、ありがうございます。じゃあ、銀座を紹介します。百貨店からブランドショップまで多数のお店があるんで、原宿とは違った楽しみがあると思うよ」


「銀座じゃな?では行ってみるとしよう」


そう言い終わると同時に目の前が真っ白になり、目を開けると自宅のリビングに戻っています。


うん、毎回思うけどさ、ネレースせっかちだよね、ていうか神ってここまでファッションに飢えてるの?

てか自分の都合で追い出すの早くない?



122日目


朝食を済ませると兵舎に行きアモンさんと共に残りの門の作成と城壁を上り下りする階段の制作に入ります。


後アモンさんとは馬で新しく出来た城壁の内側を周り、一定間隔で階段を設置して行きます。

「それにしても、便利なスキルだな、石が生きているかのように形を変えてあっという間に階段が出来るとはな・・・」

「まあ、ネレースに作ってもらった特殊なスキルですから。とはいえネレースにとっては気まぐれなんでしょうけど」


「気まぐれだろうと有能なスキルには変わりないからな、こんな力があれば金を幾ら積んでも手に入れたくなるだろうよ。」


そう言いながら馬を走らせながら、階段を作っていきます。

流石に15.6キロある城壁を一周ともなるとかなりの時間がかかるうえ、4つある門に兵士の配置を指示しながらなので一周が終わった頃には日が傾き出していました。

なんか城壁を拡張したせいでアモンさんの仕事が大幅に増えたような・・・。


そう思いながら、門の前で待っていると、穀物を卸している商家の人がやってきます。

「これは、マサト様、この度はルイロウ領まで続く道の整備をして頂き交易をしやすくしてくださったとの事、誠にありがとうございます」

「いえいえ、交易でお金が回らないと経済が停滞しますから、とはいえ今回大店の方にはあまり旨味が無いのに引き受けて頂き感謝しているくらいですよ」


「いえ、卸して頂いている穀物もかなり安くして頂いておりますので、それをルイロウ領に売りに行き、向こうの品を仕入れて帰ってくればそれだけで十分な利益になります」

「そういって頂けると助かります。あとは、小規模の商人の人に販売を任せる品の値段交渉をお願いします。こればっかりは大店の方が交渉したほうが足元を見られることもありませんし」


「はい、そちらについてもお任せください」


そんな感じで大店商家の人と雑談をしていると、小規模の商人の人達が集まってきました。

大体20人位でしょうか、思ったよりも少ないのはよく分からない物を運んで果たして売れるのか?往復の安全は大丈夫なのか?などの懸念が払しょくされていないようで今回交易への参加が少なかったようです。


商人の人達には、大店商家の人達が値段交渉をして出来るだけ高値で売れるようにしてくれるので、叩き売りをしないようにと念をおしてから、ウイスキー、ブランデー、日本酒、焼酎、ジュース類、インスタントコーヒーに紅茶などのティーパック、塩に砂糖そして石鹸を説明しながら荷車に積んで渡します。


とりあえず荷車はそのまま自分の物にしていいと伝えて今日は解散となります。

明日は護衛の冒険者と合流して全員が纏まってルイロウ領に向かうそうです。


自分は本日の予定を消化したので自宅に戻りネレースに作らしたスキルの転移魔法を練習する事にします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る