第90話交易の準備
とりあえずネレースに深夜、起こされたおかげでなんか目覚めの気分は良くないですが、とりあえず取得可能スキル一覧を眺めながら朝食を摂ります。
使役や魔物支配なんかは良さそうですが、取りえず死霊術を使った後に眷属化しれば良いのである意味スキルの効果が被ります。
とはいえこれと言った物も見当たらず、とりあえず、今朝取得を決めたスキルは、見切り、加速の2つだけにしておきます。
残り5個スキルが取得できますが、これも前回同様暫く様子を見て必要そうな物があったら取得して行きます。
ていうか望みを叶えるってネレースが言ってたから思い通りのスキルを作らせるのもありな気がします。
うん、今晩あたり聞いてみようか・・・。
そう思いながら、今日も城壁づくりに向かいます。
あと1、2キロで完成するだろうと思いますが目測なのであとどのくらいあるのか分かりませんが、恐らく明日には城壁が繋がり、城壁四方に門を作る様に空けてある隙間に門を設置したら完成です。
大体城壁が15、6キロなので円周率で割ると、大体直径4.7~5キロぐらいの長さが理論上ある計算になります。
これだけ広い土地があればかなりの広さの土地を要求しても問題ないでしょう。
そして夕方まで城壁制作をして、月山部長の相談所に向かいます。
昨晩ネレースが夢の中に現れたのは自分だけではないのを確認する事と、全員だった場合、日本人がどのような反応をしているのか確認をする為です。
「月山部長、こんにちは~」
「ああ武内君、今日はどうした?」
そう言って普段通りに何やら書類を作っていた月山部長ですが手を止めコーヒーを用意します。
うん、魔道具化したコーヒーメーカが役に立っているようで何よりです。
部屋に美味しそうなコーヒーの香りが漂ってきます。
差し出されたカップに口を付けコーヒーを一口飲んでから話を始めます。
「月山部長は昨晩ネレースが出てくる夢を見ましたか?」
「ああ、見たよ、全員が見たようだな、因みに武内君は何位だったんだ?」
「とりあえず1位でした。まあ自分の場合スタートダッシュで先行逃げ切りでしょうか」
「1位か?それはすごい事じゃないか。望みを叶えると言っていたのだから今回は、日本に返してくれと言う望みも叶うんじゃないか?」
「あ~、それ以前頼んでみたんですけど駄目だったんですよね、多分今回もダメそうですし、それに自分だけ帰れても面倒事が多そうですし、それに、この事を日本で伝えても誰も信じないでしょうから最悪詐欺師扱いでしょうね・・」
「まあ確かに、日本では集団失踪とか騒がれているだろうけど、ネレースが言っていた通りだと日本ではまだ4日しか経っていない、そんな中で一人戻っても誰も信じないどころか詐欺師扱いされかねないか」
「ええ、なので自分だけ戻るって言うのは考えていないんですよ」
「じゃあ何を望むんだ?」
「そうですね、まだ考えてはいないんですが、一度ネレースに会ってみて聞き出せる情報を聞き出して日本に大勢を帰らせる方法を探りたいですね、以前ネレースは可能であって不可能だと言っていましたので方法はあると思うんですよ」
「可能であって不可能か、意味深だが可能ではある可能性があるってことだな」
「ええ、なので足掻くだけ足掻いてみたいんですよね。まあ昔の人が使っていた召喚の魔法陣があるんで理論上はその逆も可能な気がするんですよ、とはいえすぐにとも行きませんし、この世界と日本以外にも異世界があるっぽいんで確実に日本に帰れるか確証を得てからじゃないと安易に出来ませんが」
「そうか、私たちはあまり役に立てそうにないが、何か力になれる事があったら言ってくれ」
そう言いながらコーヒを飲む月山部長ですが、部長は何位だったのでしょう。
聞きそびれました。
「それと、冒険者志望組の指導の件はどうですか?文句とか問題とか起きてませんか?」
「ああ、全組一斉にとはいかないみたいだが今は3組が指導を受けているよ。それとトラブルは今の所聞いていないな、とはいえまだ指導が開始されてから2日しか経ってないからだろうがな」
「そうですか、まあそこは自分達で決めた事ですから嫌なら冒険者を辞めて働くでしょう。あと城壁ですが、明日にはほぼ出来上がり、明後日に城門を設置して完了ですね。そうすれば製糸工場や布を作る工場とかも建設できますから仕事が豊富になりますね」
「そうか、それは良かった、仕事があれば冒険者のような危険な仕事をしなくてもいいからな」
どうやら月山部長は日本人を危険にさらしたくないから冒険者志望組の増加を懸念していたようです。
相談所を後にしたらグランバルさんの所に提案をしに向かいます。
領主館につき取次を頼むとそのまま執務室に通されます。
「グランバルさん、まだ仕事してるんですか?」
「ああ、誰かさんのおかげで仕事が山積みなんだよ、区画の整備から道の配置に下水や浄水までいきなりプレモーネが予想以上の広さになったから一からやり直しだ。なんなら仕事分けてやろうか?」
「いえ、自分は大通り沿いの広い土地を2、3箇所と自宅用の広い土地と家を建ててもらえればそれでいいんで、事務的な仕事はご遠慮します。あと公衆浴場を作るんで人が集まりやすそうな建設予定地の選定と確保もお願いします」
「で、今ので仕事が増えたんだが、さらにどんな仕事を増やしに来たんだ?」
「そうですね、ルイロウ領へ続く道の拡張整備が終わったんで、規模の小さな商人達に声をかけてルイロウ領へ行商に行くのを推奨してもらいたいんですよね」
「規模の小さな商人達をか?大きな商家に行かせればいいだろう。何で規模が小さな商人なんだ?」
「まあ簡単に言うとパフォーマンスですよ」
「パフォーマンス?なんだそれは」
「そうですね、言うなれば人目を引く行為ってとこでしょうか。あと少量だけ日本の品をルイロウ領へ流して向こうからプレモーネと取引をしたくなるようにする為でしょうか。それに小規模の商人だと護衛もあまり雇えませんが、複数でグループを組んで行けば護衛も人数が雇いやすいでしょ」
「そういう事か、で何を売りつけるつもりだ?」
「そうですね、最初は石鹸や酒にジュース、そして穀物でしょうか」
「それだけか?それじゃあまり意味が無くないか?」
「そうですね、最初はあまり効果は無いでしょうが、徐々に需要が出てきてそのうち喉から手が出るほど欲しがるでしょう。なので最初は少量でいいんですよ」
「まあ確かに小規模の商人だと自分が背負える範囲ぐらいしか運べないからな、それにしてもな・・」
「まあリヤカー・・、荷車って言えばいいんでしょうかね、それを作るんでそれを2人1組で引いて行くとかも方法はありますよ。荷車なら担ぐよりは多く荷を詰めますし」
「それを運んで売って来いという事だな、だがそれじゃあ駄目だ、向こうで足元を見られて買いたたかれるだけだ。それなら最初から大きな商家を交易に行かせて、その後に小規模の商人に交易させないとマサトの言う効果は望めない。大店と大店の取引なら値段交渉も対等に出来るからな、そこである程度の価格を確定させて小規模の商人を向かわせるべきだ」
「そうですか、じゃあその辺はグランバルさんに任せます。とはいえ大店だけがもうかってもプレモーネは発展しないので小規模の商人に儲けてもらいたいんですよね」
「それなら、最初は大店の交易品に酒や石鹸などを入れるがそれ以降は小規模の商人に販売させるでどうだ?」
「それなら良さそうですね。じゃあ最初に向かわせる商家の選考とその後に向かわせる商人達への声かけをお願いします」
「それでいつぐらいに出発をさせたいんだ?」
「そうですね、準備が出来次第すぐにでもでしょうか。今なら道沿いの魔物もゴブリン達に追い払われて数が減っていますから」
「わかった、明日には商人達に話をして早ければ2、3日後には出発させるように言ってみよう」
「じゃあとりあえず領主館の入り口に荷車を作って置いておきますね」
「いや、それはやめろ!せめて城門の辺りに置いておいてくれ」
グランバルさんが全力で嫌がるのでとりあえず作った台車は門の辺りに放置しておくことにします。
城門の辺りに大量の荷車を置いたらアモンさんあたりに文句言われそうだけど、まあグランバルさんの指示だって言って責任を擦り付けとこ・・。
そう思いながら城門の所に行き、丸太を錬成術でで荷車にしていきます。
10台ぐらい作った所で、兵士さんが声をかけてきて、20台ぐらい作った所でアモンさんがやってきました。
「マサト、お前何を作っているんだ?」
「荷車です、これに荷物を積んで人力で引いて物を運ぶんですよ。あと30台ぐらい作ります」
「いや、荷車を作っているのは分かるんだが、俺が言いたいのは何で城門の所で荷車を大量に作っているかだ」
そう言うアモンさんにグランバルさんとの話を説明し、城門の辺りに置いておいてくれと言われた旨を伝えるとアモンさんはため息をつきながら諦めたように兵舎に戻っていきます。
うん、アモンさん城門の周辺を荷車だらけにしてゴメンね・・・。
うん、邪魔なのは数日だけだから我慢してね。
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