第3話

「ほれ」


「品数が。二倍に。増えている」


「冷蔵庫のなかに色々あったからな」


「うん。色々買ったの」


「俺に作らせるつもりだったんだろ?」


「うん」


「お前の目的は果たされた。さあ、食おう。いただきます」


「待って?」


「はい」


「冷蔵庫開けたんだよね?」


「はい。開けました」


「見て見ぬ、ふり?」


「あ、あれ。なんで冷蔵庫で冷やしてんの?」


「え、だってひんやりしたほうが」


「冷蔵庫から出したけど」


「は?」


「冷蔵庫から出した。いただきます。うん。みそしるおいしい」


「おま、おまえ。は?」


「なに。そういうこと、するとか思ったわけ?」


「思ったよ。勇気出していろいろ買ったよ」


「残念でしたねえ」


「ねえ。うそ。しないの?」


「しないけど。はじめてのおんなのこの部屋でいきなり盛り出すの、おかしいでしょ。男か俺は」


「そんなあ」


「泣くなって」


「かなしい。抱かれず」


「しかたないなあ。ごはん食ったら少しだけ相手してあげるか」

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