第2話

「はい。わかめ」


「おい。帰って匂いつけてから来いって」


「いいだろ。そこらへん軽く歩いたんだし」


「匂いが少なすぎるっ」


「はい。おじゃましますね」


「わかめ。みそしるに入れといてよ」


「はいはい。キッチン。お」


「なによ」


「意外と人並みの生活なんだな」


「わたしをなんだとおもってるのよ」


「犬」


「がぶぅ」


「噛むなって。おい。ほら。二の腕に歯形ついちゃったよ」


「味が薄い」


「それはどうも。これ、食っていいんだよな?」


「あ、待って。味見してみて。最終確認」


「ん」


「どう?」


「みそが足りない」


「まじですか」


「みそ。どこだ」


「戸棚の。そう。上のほう」


「おまえは座れ。あとは俺がやる」


「わんっ」


「都合の良いときだけ犬だな」

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