第19話 道具屋にて
道具屋の中に入ると、騒ぎを聞いていたのか、少しホッとしたような顔をした若い男性の店主が声をかけてきた。
「いらっしゃいませ。……ふぅ。ありがとうございます」
「礼はいい。それより、薬草がみたいんだが」
「ああ。それでしたら、こちらになります」
控えめな店主の案内で、二人は薬草の棚に向かう。
「それでは、自分はカウンターにおりますので。ご自由にどうぞ」
そう言い残し、店主は戻って行った。ユグルスが目を丸くしながら言う。
「薬草って、こんなに種類があるんですね! 効果とかそれぞれ違うんですか?」
「……ああ。アタシも詳しくはないがな」
シャインの言葉にユグルスが戸惑う。
「ええ!?」
「……だから、ラファが指示したものを買う」
【こういうところは、素直で好感が持てるんだけれどね!】
余計な一言を言うラファを殴りたい欲を抑えつつ、シャインは薬草を手際よく集めて行く。それをユグルスは興味深げに見守る。
しばらくして、目的の薬草を一通り集めたシャインは、
「……他にも見たいものがある。待つか、付いてくるか好きにしろ」
それだけ言うと、シャインは別の棚へ向かって行く。ユグルスは慌てて、シャインの後を追う。
****
「いやぁ、色々買いましたね!」
道具屋を出て、開口一番にそう言うユグルスに、シャインは、
「……どれも遺跡に行くには必要な物だ。お前も覚えておけ」
「はい!」
そんな二人の前に、先程ケンカしていた男の一人が現れた。
先程は苛ついていたためよく見ていなかったが、しっかり見ると異様な格好をしていた。
麦わら帽子にタオルをかけ、半袖短パンに腹巻に長靴と言う、まるで農夫のような格好なのに、種族はエルフだったのだ。金髪碧眼の甘いマスクに細身の身体とのギャップが激しく、思わず呆気に取られる二人に向け、男が言う。
「オラはマウンテン・エル・エクザだぁ! ざっぎは世話になっだっぺ!」
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