第18話 南西に着いて
「ふぁぁっ! うーん!」
四日後。南西の町、ギチャに到着した二人は馬車から降り、ユグルスが伸びをする。
「油断するな。ユグルス」
横からシャインがぶっきらぼうに言う。
「す、すみません! 身体がバキバキでつい……」
【まぁまぁ、何時間も馬車に乗っていたんだ。それくらい許してあげたらどうだい?】
ラファの苦言にシャインは少し苛立ちを感じながら、
「……行くぞ」
「はい!」
シャインのいつもの様子に慣れたらしい。ユグルスは笑顔でシャインの後に続いた。
****
「あれ? 今日はギルドに直行じゃないんですね!」
すぐに気づいたユグルスに、ラファが内側から関心したように言う。
【ほう! なかなか鋭いじゃないか!】
【……ラファ、は。ユグルスを、なんだと思って、るの?】
珍しくツッコミを入れるフレナに、ラファは、
【ふふふ。まぁいいじゃないか?】
笑って誤魔化し、話を無理やり切り終える。そんな二人のやりとりに、シャインは煩わしそうな顔をする。それに気づいたユグルスが、遠慮気味に声をかける。
「シャインさん? 何かあったんですか?」
「……気にするな。それより、道具屋に行く」
内側のことを話すのが嫌だったため、今行く目的地の話題に変える。
「道具屋? で、何するんです?」
小首を傾げるユグルスにシャインは、
「薬草等をな。……アタシとフレナは、ラファの回復魔術を受けられんからな」
「な、なるほど!」
納得したらしいユグルスを確認すると、
「……時間が惜しい。早く行くぞ」
「は、はい! 急ぎますね!」
トコトコ歩いていた足を早めるユグルスを見て、シャインは速度を上げる。
二人は足早に道具屋を目指す。
****
道具屋の前に着いたシャイン達を待っていたのは、睨み合う二人の男だった。
【おやおや。真昼間からケンカとはね!】
【……こないだの、ケンカ、思い出して、嫌、だな】
各々の反応をする二人を後目に、シャインは、
「……ちっ。邪魔だな」
そう吐き捨てると、取っ組み合いをはじめた男達とギャラリー達の間をシャインは進んで行く。
「しゃ、シャインさん!?」
焦るユグルスに後ろ手を振ると、男達二人の間に入る。二丁の拳銃を男達の顔面に向けて。
「な、なんだ!?」
「お、おい! オラ達の問題だべ!?」
困惑する男達に、シャインは殺気を放つ。
「……なら、店から離れろ。邪魔だ」
シャインのあまりの圧に、二人の男はたじろぎながらも店から離れていく。
「ふん」
シャインは冷たい視線を送りながら、ユグルスを呼び、店に入って行った。
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