第2話 シェオル!ダイブ・イン!!
兄貴の仕事中、オレは良い子でお留守番してるのが仕事みたいなものだから家のことを軽く済ませて自宅学習もさっぱり終わらせる。昼ご飯に昨日の晩飯の残りをもそもそ食べてると
差出人の
メッセージは簡潔に一言、『第4緑化公園にて午後3時』とだけ書かれている。
……建前はそのはずなんだけど。
オレは14時半には家を出て約束の10分前には緑化公園のベンチで
遠くから小さく聞えてくるのは女の子の怒った声だ。
「ああ、もう!」
トラブルに遭ってる女の子を放っておけるほどオレも人でなしじゃない。こういうところは兄貴譲りの損なところだ。声の方に駆け付けると、チンピラ風の男がオレと同じかひとつ上くらい、16、7歳ほどの女の子の腕を掴んで
「それ、返しなさいよ!」
女の子がチンピラ風の風体の男の腕を掴む。どうやら女の子の
「へっ、
男が腕を思い切り振り払う。尻もちをついた女の子が悔し気に男を睨みつけた。
「あのさ、黙って聞いてたけどそれは違くないか?」
女の子と男の間に割って入り、オレは
「あぁ?この俺様が
凄む男に舌打ち一つ。こんな奴が今日の相手だったわけか。正直、こんな形にはなってしまったけどまともに対戦しても難癖つけられるのが関の山っぽい。残念だ。とても。
「そりゃ手っ取り早くていいや。
オレが
「へぇ……」
男がオレを品定めするように視線を動かす。まさか。
「噂にゃ聞いてたけどよ、
やめろ、その先は言うな。オレの背を冷たい汗が伝い落ちる。
「まさか、あの」
やめろ、やめろ!!
「……ミトゥナ隊の大エース、松柏のアストの七光りがこんなチンケなガキなんてな」
「やめろ!」
「けっ、こいつぁ傑作だぜ。『あの』松柏のアストの弟が闇
男は笑いを堪えきれないとでもいうようにオレに下卑た笑みを浮かべて捲し立てる。うるせえよ。クソ。今は兄貴は関係ねえだろ。視線で訴えかけても男はぺらぺらと捲し立てるのをやめない。
「条件を一つ追加しようぜ。この女の
最悪だ。
「いいぜ。やってやるよ。あんたとオレ、全力を賭けて勝負だ」
オレが啖呵を切れば男は満足気に頷いた。
「……ごめん、体は任せていいかな」
耳元で囁くと女の子は小さく頷く。それを確認して
僅かな眩暈と視界が白く染まる感覚のあと、オレは――肉体という檻から解き放たれたオレの魂は。目を開く。視界にはいつものように「シェオル!ダイブ・イン!!」の文字が刻まれていた。
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