第3話:復讐

 俺は、案内用に一頭の豚だけ残して、残りの五頭の腹を手で突き破り、内臓を引きずり出して喰わせたやった。

 性根の腐った自分のはらわたの味は、さぞ不味いだろう。

 残る一頭も手を握り潰しているから、痛い痛いとうるさいの、もう片方の手も握り潰してやろうかと、優しく聞いてやったら喚くのをやめた。

 俺が優しく頭に手を添えて、早く案内しろと言ったら、急いで走り出した。

 

「嘘でございます、私は殿下以外の方とは手も触れていません。

 誰がそのようなあ嘘を言ったのでございますか」


 部屋の中から愛しい妹の声が聞こえて、ようやく安心できた。

 もう案内の豚は不用だから、殺すことにしたのだが、豚の鳴き声などを聞かせては、純情可憐な妹が穢れてしまうから、鳴かないように殺す。

 顎を握り潰して鳴けないようにしたうえで、他の豚と同じように内臓を引きずりだしてやったが、その間に王太子の声が聞こえてきた。


「黙れ、誰どころの騒ぎではないぞ、社交界の全員がその噂でもちきりだ。

 私は大恥をかいてしまったではないか、もう勘弁ならん。

 それに、誰の子かも分からん子供を生ませるわけにはいかん。

 恥を知るならここで自殺しろ、さもなくば私が殺すぞ」


 ふっふっふっ、俺には人を見る眼がなかったようだ。

 勘だけは優れていると思ったのだが、王家への忠誠が勘を鈍らせてしまったのか?

 まあ、いい、自分への罰は後日与えればいい。

 今はオイタの過ぎる王太子を躾けなければいけない。

 そう、泣き喚いて許しを請うまで、躾けて差し上げよう。


「嫌でございます、死んでしまっては殿下の御子を生むことができません。

 殿下と私の愛に結晶でございます。

 ああ、そうだ、お兄様です、お兄様なら私の身の潔白を証明してくれます。

 殿下も親友のお兄様の言葉なら信じてくださいますわよね?」


 ああ、愛しい妹よ、こんなにも醜い私の事を信じてくれるのだね。

 直ぐに助けてあげるからね。

 そして、ターニャが苦しんだ思いの全てを、腐れ外道のフレッドに、生まれてきたことを後悔するくらい、叩き返してやる!


「こいつ、何を言っているんだ。

 この前の事を全然覚えていないというのか。

 俺達二人の前で、六人に散々嬲らせたのだぞ、どう思うリアンナ」


「殿下、ターニャ嬢は狂ってしまったのだと思いますよ。

 なんと言って六人に三日三晩、上から下から、戦後左右から嬲られたんですから」


「アッハッハッハ、それもそうか、あれは見ものだったからな。

 狂っているのならしょうがない、俺が首を絞めて殺して、その後でロープで吊ってやればいいか」

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