第10話

タイムスリップ刃とテトラダイの炎が交錯した。2機のアームヘッドは同時に膝をついた。

「どうやらあなたのようDeathね」

フラガラッハが立ち上がった!

「エリザと再会するのは!」

その時だった。青い光とともに黒いアームヘッドが姿を現した。デスヒコは目を見開いた!

「サダヒコ様!」

「…サダヒコ?」

「俺がサダヒコだ。礼三郎。部下たちが世話になったな。おまえが死ぬ前に一度顔を見ておこうと思ってな」

「おまえか!おまえがいろんな時代で悪さをしてるのか!」

「ふん、…さあデスヒコ。もう十分だ。とどめをさせ」

「サダヒコ様」

「どうして?なぜ自分を倒そうとされるのです?」

朦朧とした礼三郎にはなぜ自分で倒そうとしないのかと聞こえた。

「…しかたない。俺がやろう。どきなさい。デスヒコ」

アダマンティンがゆっくりと歩み寄る。フラガラッハはエーデルワイスの前から動こうとしない。

「どけ、というのが聞こえなかったのか?」

「あなたは自分自身ですら救えないんですね」

デスヒコの言葉は誰に向けての言葉だったのだろうか?フラガラッハは刃をアダマンティンに向けた。

「さよなら、礼三郎」

「デスヒコ!」

二人の言葉が重なった!フラガラッハとアダマンティンが同時に青く光る!巻き込み型タイムスリップ現象だ!

「今度は私があなたを救います!」

2機のアームヘッドは衝撃波とともに消え、崩れた廃工場とエーデルワイス、救われた少女のみが残された。


礼三郎が屋上で佇んでも声をかけるものはもういない。結局誰も助けることはできなかった。彼に残されるのは思い出だけなのだろうか。その後ろで彼と同じ顔をした男が同じ空を見ていた。

「はやく俺のところまでこい」

タイムスリップ・サダヒコはそう言うと彼の後ろから消えた。


終わり

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その花の名は みぐだしょ @yosidagumi2000

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