第9話

あなたは私を救ってくれました。天使のラッパが吹き、悪魔が踊る終焉ジエンドの空で私はあなたに出会いました。


私の日常はその日、突然終わりました。アームヘッド最終反乱、そう呼ばれた終末の日々。白い天使セイントメシアが多くのアームヘッドを破壊するのを見ました。彼女を私は人類の味方だと思いました。でも彼女が破壊していたのは私の世界そのものでした。


私の街は燃え、私の家は燃え、私の日常も燃えました。天使の炎が私自身すら焼き尽くそうとした時、私はあなたに出会いました。


アダマンティン、時を支配するアームヘッド。そしてその玉座に鎮座するタイムスリップ・サダヒコ。私は選ばれたのです。


私は救われ、この世界を救う。今度は壊れない世界を壊れない日常を手に入れる。私は選ばれたのだから!


「私は選ばれたのだから!」

タイムスリップ・デスヒコは叫んだ!選ばれた!選ばれた!選ばれたはず!どうして!どうして!おなじエリザのはずなのに!エリザの動揺がフラガラッハにも伝わり精彩を欠く。選ばれたエリザと選ばれなかったエリザ。私は選ばれたはず。

「後悔しているのか?」

サダヒコ礼三郎の声が問いかける。前を見据えれば構えを解かぬエーデルワイスが私を睨む。私は嫉妬していた。サダヒコのアームヘッドはアダマンティン。礼三郎のアームヘッドはエーデルワイスなのだ。

「ふ…」

「?」

「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!」

エリザの頬に熱い液体が流れた。

「なにをいってるのDeathデス?すっきりしました。あの世で仲良くするDeath!」

デスヒコは頬を拭った。

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