Re DEAR
桐ヶ谷るつ 様作
────ラストまで読んだとき、全ての伏線が繋がっていく。(本編)
【物語は】
ある人物の人生を引き継ぐところから展開されていく。この作品は推理モノではないが、”チカ”が誰なのかを考えながら読み進めると、ラストの感動もまた違って来る。自分は、ラストでとても感動した。見どころは、それぞれの想いと、過去との繋がりだろうか。交差する想いの先にある真実とは?
【群像劇】
多視点から、過去、現在、真実についてゆっくりと解き明かされて生き物語。あらすじに、『リディア』が何であるのか記載されているので、あらすじを読んで理解をしてから読まれるのがおススメ。少し自信はないが、この物語は一話一人と視点が変わっていくスタイル。自信のない理由としては、滑らか過ぎるためである。各登場人物の心情が丁寧に書きこまれている為、すれ違う部分ではとてもハラハラする。
【物語の魅力】
ある終わりから始まる物語。明確な主人公を”マキタ”だとするならば、彼の人生のターニングポイントと言っても過言ではない。彼がどのように、他人の人生を生きようとするのか、とても興味深く読ませていたた物語だ。もし、自分ではない自分として、生きなければならないとしたならば?今ある人生に、どこかで突然終りがあるかも知れないという事だ。となれば、仮にその姿で誰かを好きなっても、終わりばかり考えてしまうかも知れないし、何よりも、自分が相手を幸せにすることは出来ないと、諦めてしまうかも知れない。
【自分は自分】
この物語から思うのは、どんなに記憶を得て容姿を変えようとも、人の思想や性格は生きてきた環境で培われると言うことだ。つまり、自分は自分でしかないという事。言語や表現、性格までは意識しなければ変えることは出来ない。コピーと言うとクローンのように同じというイメージがあるので、そういう意味で斬新だなと感じたと同時に、リアリティの持たせ方が秀逸だなと感じた。
主人公と、本体である人物どちらの過去についても描かれており、恋となる経緯などにもついて丁寧に描かれている物語だと感じた。自分はこの物語を拝読し、多くのメッセージを感じることが出来たと思う。もちろん、恋愛ものとしてドキドキハラハラする部分もあるが、”自分”という概念について深く考えさせられた作品である。言葉選びが素敵で、表現力にも優れた作品だと思う。
是非、あなたもお手に取られてみてくださいね。お奨めです。
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