Sweet Home, Sweet.


スズキ真実 様作



───現代を舞台にしているが、らしさを失わない書き方が読み手をぐっと引き込む。


【読みやすく、物語の世界に入りやすい】


出てくるアイテムは現代のものであるのに、書き方のせいかシャーロックホームズあたりの時代を感じさせる。つまり、ヨーロッパの雰囲気を醸し出している。


地の文が主人公のモノローグで統一されている為か、とても読みやすくまるで自分が主人公にでもなったように、周りの景色が目の前に映し出されるようだ。冒頭絵画に触れているが、作品名でどんなモノかは分からずとも、作者なら誰でも知っている有名なもの。どんな傾向なモノかも主人公目線で触れられており、何となくなら想像できるだろう。


【日本と違う文化や生活】


イギリスと言う国は、日本と違い”性の多様性”について子供の頃から自然に触れあっている国である。同性の両親に育てられた子供がいるのは、日本と違い自然な日常。主人公が潜入捜査(自分はそう受け取っている)で、パートナーを見つける場に赴くシーンがあるが、そのあたりについても自然に描かれており、舞台についてしっかりと違和感の起こらないように書かれているのだなと感じ、嬉しくなる。


【会話や状況で分かってくる人となり】


主人公がどんな人物で、何を考えているのか。それは、会話の中や人との関わり合いから見えてくる。とても自然に描かれているのだ。各人物の特徴などについては、主人公であるう刑事の視点から書かれているため、説明口調でもない。まるで、刑事が相手を観察しているかのような描き方は物語のバランスを崩すことなくとてもナチュラルである。


【物語全体のバランス】


物語は、ある事件をきっかけに主人公の変わりゆく人生について描かれている。スポットがあたっているのは”事件のほうではない”ということが、人にとっては面白く感じるのではないだろうか?

人がいかに現実と向き合い、またと逃避するのか、凄く興味深い内容でもあり、ラストは”え⁉”と驚く展開にもなっている。


是非、お手に取られてみてはいかがでしょうか?

シリアスですが、とても面白い作品です。

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