タフ&リカバリー
紅と碧湖 様作
───あり過ぎる温度差を両視点から描く、青春と変態の物語⁈
【素敵な情景描写から始まるのは】
真面目で、無口でストイックな陸上部の選手と、彼を崇拝するちょっとクレイジーな妄想が暴走する下級生の物語。両極端すぎる二人が偶然ではなく、無理矢理出会い…なぜこうなった?という噛み合わないのに噛み合っているという、なんとも不思議で面白い二人の日常。
作者のスポーツに関しての知識が高く、先輩サイドに関しては文献を読んでいるのだろうか、と思うほど、勉強になることがたくさんある。冒頭の情景描写に関しても、目の前にまるで星空が広がっているかのように、丁寧で言葉選びのセンスも素敵だ。
【真面目な陸上選手の青春と恋の話かと思いきや…】
『誰もそんなことは言ってねえ!』
と言わんばかりに、ド肝を抜かれる展開が待っていた。
この物語を読む前に、数点あったイラストを閲覧させていただきました。そのイラストから、こんな話だろうか?と想像した内容とは全く違い、いや…凡人では想像できない展開が待っていたのである。他の方のレビューを先に閲読し、なお想像とは全く違いました。
何が違うって、主人公に声をかけた後輩は想像を超える、妄想が暴走する変態くんだったから。
たぶん、このレビューを先に読んだとしても、ド肝を抜かれるに違いない。
【作者の技巧が半端ない作品】
温度差を出す方法は確かに色々あるとは思うのだが、よく見かけるのは無口な人物側はモノローグが多くなり、おしゃべりな人物側は会話文が多くなるというもの。これは性格を重視した書き方なので、わりと誰でも簡単にできる。しかし、この物語はそんな生半可なものではない。
ん⁈同じ人が書いているのだろうか?
と思ってしまうほどに、両サイドに差のある文体、描写がなされている。
なかなかできることではない。
是非お手に取られてみてはいかがでしょうか?
あなたも、この驚きと笑いを共有してみませんか?
おススメです。
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