幸せのありか



kota 様作



───現代社会の問題をモチーフに、シリアスとユーモアの光る作品


【前半と中半での印象が変わってくる作品】


自分も虐待経験があり、どんなに声をあげたところで大人は手を差し伸べてくれない生き物なんだと思って生きていた子供の頃を思い出しながら読ませていただきました。こういったデリケートな内容を扱うものには大きくニパターンあり、手を差し伸べ綺麗ごととして書かれているか、とことん地獄かどちらかに寄りやすい。しかし、この作品はどちらでもない。


しっかりと子供たちや、目の前にある問題と向き合う登場人物たちの奮闘する姿が描かれており、一筋縄ではいかないという”リアリティ”がここにはあります。主人公の相手役である人物のそんな姿に、主人公が性別を超え惹かれるというのが凄く納得でき、自然であると感じました。


【主人公の心の動きが丁寧】


それでも、自分自身の想いに葛藤する主人公の姿は応援したいという気持ちを誘います。実際に、主人公を取り巻く人々も、応援していることから、読み手と登場人物の気持ちがとても近く感じ、あたかも物語の中にいるような錯覚さえ起こします。


【シリアスとユーモアのバランスが素晴らしい】


モチーフがデリケートな内容な為、シリアスで進むのかと思いきや、笑ってしまうような場面も多々あります。それは日常でも同じ。確かに苦しく辛い毎日でも、フッと気がゆるんだり、笑顔になることもある。全体的に共感性の高い作品であると感じました。語りつくせない良さがこの作品にはあります。

是非お手に取られてみてはいかがでしょうか?おススメです。

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