異説 千本桜 (上之巻)


葛城 煌 様作


───拘りと技術の光る作品


【好きだからこそ拘れる】


正直、凄いの一言。

では何が凄いのかと言えば、文体、表現、世界観の保ち方が凄い。

BLと言えば、恋愛要素、濡れ場、プラス他のカテゴリーというもので構成されているものが多い。

その中でも、濡れ場については癖が出てしまうものだが、この作品は言葉の使い方、表現の仕方が統一されており、突然世界観が変わるということがない。一貫しているため、まるで古書を繰っているような錯覚さえ起こす。


かなり研究され、拘り、手を抜かず、愛着や愛情を持って書かれていると感じる。

単に、好きというだけでは書けるものではないからだ。


【華やかさを出せるのは独特の表現があればこそ】


現代語ではなかなか出すことの出来ない、華やかさ、雅、趣なども感じられる作品。

ゆったりとした時間の流れを感じることが出来るのも、やはり、表現によるものだと思う。

緊迫感などもあるが、現代のような時間の流れとは違うものを感じる。


有名なモノをモチーフにしているため、登場人物の想像がし易いと思われる。

登場人物名など、聞いたことがある名が多いため、覚えやすい。

それをアレンジし、オリジナリティを出した作品。


舞台について知識を持っている方には、更に親しみやすい物語なのではないだろうか。

元のストーリーに対し、この物語がどのように違うのか、その違いを楽しむのもこの作品の魅力の一つと言えるだろう。


歴史もの、古文などが好きな方には是非、おススメしたい作品です。

こうだったらいいな、と一度は妄想、想像したことのある、そこのあなた、是非お手に取られてみてはいかがでしょうか?


まるで時を超えたような世界が、ここにはあります。

おススメです。

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