人は何故散り急ぐ


朝比ゆいら 様作


───愛とは何かを改めて考えさせられる作品


【主人公には大好きなものが二つある】


この作品は、ある事を境に変わってしまう環境、生き方、考え方によりすれ違ってしまう、両想いの二人の日常が描かれている。before、afterの変化が分かりやすく、その理由について明確になるのはラストのほうなのだが、とても気になるため一気に読めてしまう。

(と、言うよりも気になって止められないが正しい)


まだ自分自身と深く向き合うことができず、諦めるというのが難しい時期である”学生”が主人公な為、自分の想いに振り回されたり、劣等感により素直になれなかったり、かと言って自分本位だけではいられなかったり。大人になれないからこその葛藤が丁寧に描かれている。


特に、自分の気持ちだけで突っ走ってしまい、その後どうしたらいいのか分からず、ただ目の前のことや相手から逃げるという選択も、この年代ならではの行動であり、リアリティを感じさせるものである。


【弱いからこそ】


自分の弱さを知っているからこそ、相手を思いやれるものである。

好きだからこそ好きな相手を自分に留めて置きたいと思い、なおかつ幸せを祈ろうとする。

この葛藤が行動を左右し、周りから見るともどかしいものなのだ。


幸いなことに、主人公には彼よりも冷静であり、聡明な友人がいる。

彼はこの物語の当て馬かと思いきや、キーマンなのだ。

いろんな意味で驚かされる、登場人物の言動と役割がこの物語の魅力の一つと言えるだろう。


ハラハラドキドキする展開や、感動して涙すること、ちょっと吹き出す展開もあります。

サッカーに詳しくないからなーと思っている、そこのあなた。大丈夫です。

わたくしサッカー全く分かりませんが、サッカーの知識がなくとも問題ありません。


この物語では、”主人公がどれほどサッカーが好きなのか”そこが重要。あなたにも譲れないもの、大好きなものがあるのならば、主人公に共感することができます。


是非、お手に取られてみてはいかがでしょうか?

おススメです。

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