第八話
「
(実体験してみて、分かったわ。世界最強を
しれっとした顔で。
「弾倉、交換してもいいですか?」
と、悪びれもなく尋ねたのであった。
アニーにとって攻撃する最高のタイミングを見逃すほど甘くない。精神の具現化で創り出さした高次元物質のレイピアとパリーイングダガーを主水に向かって打ち当て、振動波を発生させようとしたとき。
「おや、おや、おや。これは、これは、ひどい。西欧の騎士道精神とは、攻撃できない相手に平気で攻撃する卑怯者なんですね?」
顔の血管が見る見る浮き上がって、
「卑怯者とか言われたくないわぁー! お前にだけ――にぃーー!!」
激しい剣幕で怒鳴り散らす、アニー。
それを見事に無視し、
「と、いうことは。弾倉を交換しているときに攻撃してきたら。アニーさんは、俺と同じ卑怯者の仲間入り、か・く・て・い、ですね。クッ、クッ、クッ、楽しみだ」
言葉の揚げ足取りに煽り文句をトッピングする、主水。
「ぶ――殺」、
と
「では、弾倉を交換しますね…………」
主水は不安そうな顔をし、アニーをチラッと視る。
「さっさと、交換する!」
「ほ、ほんとうに攻撃してきませんよね?」
「あんた、ねぇー。攻撃するなら、とっくにしてるわよ」
「早死しにするタイプですね、アニーさんは」
「…………、…………」
銃口を上斜めに向けた状態で、トリガーを目の高さまで持ち上げ
主水は、再度、スライドを引き。
「待っててくださったお礼に、教えておきますね。いま、装填した弾丸は“
――――いま、敵機を迎撃する戦闘が開始される。
銃口から銃弾が撃ち出された瞬間、銃弾に対して垂直方向に疾風の如く駆けた。主水が口にした
魔を討ち倒すために、神が人に与えた知恵で創り上げた――銀の弾丸。
西洋で吸血鬼や狼男、魔女や悪魔などを射殺できるとされる伝説の魔弾。それを現代版に改良させたのが――
銃弾のなかでも現在ポピュラーな
――――威力、証明済み。
だからこそ。
六発連続で撃ち出された弾丸を意図とも容易く切断でき。さらに至近距離から撃ち出された弾丸すら、も、防ぐことができる剣技の持ち主であるアニーは目撃者の一人。
現代の魔弾、インターセプターの脅威。
世界最強の魔闘士と呼ばれた、十六歳の少女がいた。少女は、十年間、敗北の二文字という言葉すら失わせるほどの強さを誇っていた。
十歳の少年が世界最強の座を賭けて闘ったときに撃ち出し、十年間無敗を誇った世界最強の魔闘士を
少年は世界最強になると記者会見で、研究者が学会で研究成果を発表するようにインターセプターの製造方法と効力を語り、世界中を仰天させたのであった。
オーバーに距離をとりながら躱し、主水の利き腕でありM1911A1を持っている右側に大きく廻り込む。
基本、主水はウィーバースタンスで撃つ。
何にでも、デメリットは存在する。
ウィーバースタンスでは利き腕側の視野角が、狭くなってしまうこと。それとアイソセレススタンスのように身体真正面で構えていないので、身体をひねることが難しく左右への撃ち分け対応ができにくい――二つの欠点がある。
そして欠点は――――インターセプターにも。
「高次元物質にさえ接触させなければ、インターセプターは魔弾ではなく――ただの弾丸!」
と、アニーは視野角外から啖呵を切りながら、疾風迅雷の如き勢いで主水との距離を一気に詰める。
光った――左手のパリーイングダガー。刹那、アニー・ヴルガータに――――
「早死しにするタイプですね、と、忠告してあげたのに。ぁ、でも、死んでないので早死しにするタイプは、ノーカンかな」
そこに居た。
ニヤニヤと常に歯を見せながら笑い浮かべ、人の言葉を話し。自分の身体を自由に消したり出現させたりしながら遊び、まさに掴みどころがない不思議な存在。その物語のなかで主人公の少女や
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