第20話 変わる日常


 翌日、大庭園にて。


 早理教授が入院している最中では、早理教室もしばらくの間は閉鎖という形になるのかと予想されていたが……予想だにしなかった代理の人物が、代わりに教壇に立つこととなった。


「これから、早理教授が復帰するまで代理を勤めることになった────イェレ=クラウスです。皆さん、どうぞ宜しく」

(……マジか)


 普段は『魔庭』で教鞭を振るっているとはいえ、彼も大庭園の教授という立場だ。その為、別の教室に代理としてやって来るのは、なんらおかしい話ではない。


 そこまでは、まだ許容出来る範囲ではあるが……問題は、もう一点あった。先程からリューリがしきりに気にしている隣の席、そこには……。


「…………なんで……?」

「あら、私がこの教室に来るのは変なことなのかしら?」

「い、いえっ、決してそんなことは……」

「声、震えているけれど……まぁいいわ。改めまして、マシャル=ドゥデンヘッダーといいます。これからしばらくの間、クラスメイトとして……それから、あなたの“身辺警備担当護士”として、どうぞ宜しくお願いします、リューリさん」

「あはは……頼りに、しています。こちらこそ、宜しくお願いします…………マズいよ、これ……(ボソッ)」


 ここまでくると、流石と感服するしかない。


 今、俺たちが最も警戒している二人が……十中八九、リューリに当たりをつけてきた。恐らくは、死神である俺との明確な繋がりを掴む為に。


 皇選の最終項目、第三次実戦演習までは残り数日。


 果たして、こんな調子で無事に皇選の終わりを迎えることが出来るのだろうか……。

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