諸事情詩集

マカロンちゃん

ヤブ医者のマカロンちゃん

仕事終（お）わりはいつも

お薬（くすり）ポリポリ食（た）べながら

ジョッキになみなみ注（つ）いだ

防腐剤（ぼうふざい）をイッキ飲み

これよねーやっぱり

あたしこのために生きてるわ

オペ中（ちゅう）のあたしは

もうほとんど死んでるね

たぶん連日（れんじつ）の医療（いりょう）ミスはそのせいよ

明日（あした）から防腐剤（ぼうふざい）片手（かたて）にお仕事しようかなー

そんなひらめきは、三杯目（さんばいめ）と一緒（いっしょ）にごくごくごくり

永遠（えいえん）のようにねばつく、芳醇（ほうじゅん）な防腐剤（ぼうふざい）

かかえた気泡（きほう）がフレッシュで

いくらでも飲（の）み下（くだ）せて、とまらない

香（こう）ばしい粉薬（こなぐすり）

錠剤（じょうざい）カリリ

カプセルとろり

用法用量（ようほうようりょう）ガン無視（むし）で

流（なが）しこむ、ゾクゾクがたまらない

五杯目（ごはいめ）ぐびぐびぐびぐびぐびり

酔（よ）いがまわってとろけた頭に浮かぶのは

ツララができて、とけて消えるまでの早送（はやおく）り

時間が滴（したた）り、熱があちこち行ったり来たり

オーロラっていつか見たいよねー

飲んだ後（あと）のしめにはいつも

合成着色料（ごうせいちゃくしょくりょう）をたくさんかけた

甘（あま）くて切（せつ）ない果実（かじつ）をぱくり

薄皮（うすかわ）はじけて、ジュレみたいな果肉（かにく）があふれでる

お口直（くちなお）しはキスの味（あじ）

あーはやく、恋人（こいびと）みつけてオペしたい

そうすれば、なんかいろいろ、帳尻（ちょうじり）合（あ）うのになー