とけない酒

城下町の情景、測量士の手元狂わせる

歪んだ河川に呑み込まれるは

誰も訪れない寂れた公園

壊れたままの遊具は記憶まさぐるその先端で


連れ回された果て、車から見上げた空は

まだらに燃えて濡れていた

乾いた涙はそれでも涙?

そう問いかけたのは赤の他人

それに答えたのも見知らぬ誰か


失敗ばかりの人生にうすい幸せ感じて

ひとり、安酒の夢をみる

若くして死んだ父の、叶わなかった願い

いつかお前が大人になったら、一緒に酒が飲みたい


たった何百円の酒に手がとどかない

夢のとけない酒におぼれ、ただ自身の太ももを殴る

知らなかったなら、それは後悔じゃないのだろうか

幸せそのものだった父の背中に、何を思えばいいのか


その夜、夢をみた

なぜか断酒した父と一緒に、地図の修正をしていた

どうしてだろう、父はこのうえなく幸せそうだった

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